投稿元:
レビューを見る
心の奥の混沌とした暗闇の中から何ものかを取り出して、陽の当たる場所にさらしたような、あるいは胸にあいた風穴から欠落したしたものを丁寧に掬いあげて提示したような、そんな短編集でした。フィクションをリアルな物語として捉えられるのは、誰もが心の奥底に混沌とした部分を秘め持っているからなのでしょうネ。文学のジャンルを超えた、とても味わい深い一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
「そんな人生は(中略)「よく人からエキセントリックな性格って言われます。自分ではそういうつもりはないんですけど・・・」なんてうかつな代物を顔文字つきで世界に向けて発信する、そのアップロードの一瞬を何十年にも引き延ばしたようなもんだと思うんだ。」
投稿元:
レビューを見る
五色の舟
なんなんだこれは
不思議な読後感
延長コード
これも不思議な話。結局何が言いたいのか・・・
追ってくる少年
う〜ん
微笑面・改
これ好きかも
琥珀みがき
なんとなく好き
キリノ
これは嫌い
読み辛い
〜的アトモスフィアってなんだよ
手
これは怖い
クラーケン
なんか気持ち悪い
YYとその身幹
結局気になってしょうがないという訳か
テルミン嬢
そりゃ薬漬けは嫌だろうけれども
土の枕
最後は歴史小説
これは面白い
投稿元:
レビューを見る
幻想、SF、ホラー、文学など11話の作品を収録した短編集。
自分が今まで読んだことのない物語たちでした。短編それぞれが多種多様なジャンルをまたいでいる、というのもありますが、それに加え文章もそれぞれの短編の味を最大限に引き出すため、それぞれに工夫が加えられている、そんな風に思いました。
そうした短編たちばかりだったので初読での評価が非常に難しい、というのが正直な印象…。自分の理解の範疇を越えているように感じた短編もいくつかあって、あらためて小説の世界は広いのだな、と感じました。
そんな中印象的だったのは、異形の家族がたどり着く新たな運命を描いた「五色の舟」。幻想的かつ圧倒的な物語の力、想像力の強さを感じさせられます。これまでも、そしてこれからもこういう作品は生まれないように思います。
「微笑面・改」は自分の顔の前に常に別れた妻の顔が見えるようになった男の話。シュールなホラー形かと思いきや最後で男がたどり着いた心理は過ぎ去った過去への郷愁を感じさせます。
「琥珀みがき」はショート・ショート。ラスト一行でぐっと心がつかまれます。
脳科学と音楽をテーマにしたハードSF「テルミン嬢」は理論が難しかったものの読みごたえは十分。
そして「土の枕」も「五色の舟」に負けない唯一無二の短編であるように思います。20ページに満たない短編ながら、戦争と、戦後の時代の雄大かつ急な流れ、そしてその流れの中での人間の小ささ、そんなものを濃密に感じさせてくれる短編でした。
既存の小説で満足できない、という人にはぜひ読んでみてほしい短編集です。自分もまた時を置いて再びこの短編集は読むことになるのだろうな、と思います。
第2回twitter文学賞
投稿元:
レビューを見る
11個の話が入ってるから「11」。ジャンルは幻想小説?スティーブン・キングの息子ジョー・ヒル「20世紀の幽霊たち」と似ている。神経や肉体を損傷するような話が多く、少し辛い。
「追ってくる少年」2回読み返した。犬と臓器が交わるとさらっと書いてあって怖い。
「テルミン嬢」1人の女性と大洋や宇宙との交感ってよくあるパターンだけど、これだけ痛みがあるのは珍しいかも。
「土の枕」これ好きです。読み返してもしみじみする。
投稿元:
レビューを見る
「五色の舟」の漫画版がたいへん素晴らしかったので原作も読んでみた。タイトル通り11の作品からなる短編集で、冒頭を飾るのが「五色の舟」だ。短篇ながら、漫画版の要素はほとんど含まれている。地の文で軽く説明されている内容を、漫画版は具体的に描いていたということだ。漫画版は淡々とした絵柄と残酷な物語の落差が魅力的だが、小説版は絵が無いことでイマジネーションが広がる良さがあり、どちらも文句無しの名作。
収録作品は、題材もストーリーもヴァラエティに富んでいるが、ほとんどは、明確な起承転結を持たない不条理感に満ちた幻想小説だ。文体も作品によって変わるが、基本的には純文学のタッチで、このような題材を、これだけ研ぎ澄まされた文体で書いてくれたことに感動する。幻想小説やホラー小説の類は結構好きだが、ベストセラーになっているものを読むと、どんなにストーリーが面白くても、読者におもねった下品な文体にガッカリさせられることが多い。その点、本作の存在は極めて貴重だ。別に純文学だから偉いと言うことではなく、文体そのものが持つ美しさと強度がまるで違うのだ。
最も好きなのは「五色の舟」だが、それに次ぐのが「延長コード」と「土の枕」。「延長コード」は、幻想色は薄いものの、「五色の舟」と同様、此方の世界と彼方の世界の間で揺れ動く人間の姿を描き、唐突な幕切れと相まって鮮烈な印象を残す。「土の枕」は、幻想色皆無と言っていい作品だが、大正〜昭和前半の小説を模倣した文体が面白い。「五色の舟」に通じる要素も垣間見られるし、ここでも2つの世界というテーマが貫かれている。文学的な完成度の高さでは、この3作が際だっているように思う。
それ以外では、ホラー小説風の「手」や、三島由紀夫と江戸川乱歩を混ぜ合わせたような「微笑面・改」などがかなり面白い。「YYとその身幹」や「テルミン嬢」などピンと来ない作品も幾つかあるが、総合的には傑出した短編集だ。今回初めて知った作家だが、他の作品も読んでみたい。ただしいろいろなジャンルで全く違う作品を書いているようなので、この手の作品が読みたいのであれば、事前の調査が必要になるだろう。
なお本作は、2014年のSFマガジンで、オールタイム・ベストSFの国内短篇部門第1位に輝いたそうだ。しかし「幻想小説」なら分かるが「SF」と言われると、いささか首を傾げる。普通にSFと言えそうな作品は「テルミン嬢」くらい。「五色の舟」など此方の世界と彼方の世界を題材にした作品をパラレルワールドものとみなすことは出来なくもないが、それにしても他の作品を押しのけてオールタイムのSF1位と言われると、何か違うような…
投稿元:
レビューを見る
SFのショートショートに期待するような明確なオチはない。どちらかといえば幻想小説だし、そうとも言えない作品もあるし、まぁジャンル分けなんてどうでも良いのだけど。
不可思議な世界に誘われ、虜となり、抜け出せないまま、不安なような、恐ろしいような、寂しいような…そんなさざ波立った心持ちのまま物語は終わる。これが何か中毒性のある快感なのだ。すっきりするわけではないのに。
ひとを選ぶけど、ハマるひとはハマる短編集です。
投稿元:
レビューを見る
初津原泰水。
幻想的な短編集なのだけど、怪談ありSFありと文章や設定に濃淡があり、ただふわふわした不思議なお話を集めました、という感じにならないのがよかった。
突然世界の真ん中に落とされるような始まり方と、余韻の残る終わり方が素敵。
投稿元:
レビューを見る
11からなる幻想的な短編集
なんとも言い難い、不思議な雰囲気を持つ作品たちです
1作1作が世界が変わり
クラリと取り込まれる感じがすごい
投稿元:
レビューを見る
11の短編集。質が高いことは(なんとなく)伝わるのだが、テーマが何なのかよくわからなかった。『バレエ・メカニック』のような幻想系が単に好みというだけかもしれない。
11話の中では「五色の舟」と「キリノ」が印象深かった。
----- ネタバレ
+ 五色の舟
欠けた者達が舟にのる
+ 延長コード
コードを延長して闇夜をてらし、後を追う
+ 追ってくる少年
追ってくる少年
+ 微笑面・改
面に押しつぶされる
+ 琥珀みがき
琥珀磨きをやめた女。よくわからず
+ キリノ
印象的なキリノの話。
+ 手
幽霊屋敷にいく
+ クラーケン
犬を飼う女の話
+ YYとその身幹(むくろ)
YYと性行為をしたあと夫のYにYYが殺される
+ テルミン嬢
能動的音楽治療にまつわる奇妙な話
+ 土の枕
小作農と入れ替わって日露戦争にいった領主の嫡男の話。なんとほぼ実話、らしい。
投稿元:
レビューを見る
11の短編集です。
表紙を飾る「四谷シモン」作の人形は
津原作品にはピッタリだと思うんですよね。
内容も期待を裏切りませんでした!
夢と現、幻想とホラーの狭間というのでしょうか?
あやふやな感覚と余韻がたまりません。
特に好きなのは「五色の舟」「手」「土の枕」
独特の時間を過ごしましたぁ~
投稿元:
レビューを見る
幻想短編集というべきか。
誰も、孤独をかかえ、ひっそりとでも大事に生きようとしている。それなのに、誤ったり踏み外したり、翻弄される。それが人間ってものだからな。
娘を亡くした父親の戸惑いと、悲しみが、「延長コード」の重さに象徴されている。感情をほとんど出してないのに、延長コードが切なく表している。
グレードデンに魅入られて、救われると同時に、結局は救われない女の話「クラーケン」
何かに依存することは、弱さだ。だがそれがどうしても必要な時もある。そして、それだけで救われないことも多々ある。
弱さと儚さと孤独と、そういうものの中に美しい瞬間は存在するのだろう。
美しい物語だった。
そして、悲しい話達だった。
投稿元:
レビューを見る
ファンタジーだったりSFだったりホラーだったりどれでもなかったりするが
いずれも作者の偏った範囲で高い技術を感じさせる短編集
基本は幻想文学というくくりの作品ら
どの箇所にも入念なこだわりがちゃんと感じられて気持ち良い
投稿元:
レビューを見る
FBで流れていた「五色の舟」というのを読みたくて借りた本。
全ての短編が、シュール。
予定していなかった、他の短編も全部読んじゃった。
札幌市の図書館で借りた本。
投稿元:
レビューを見る
単行本では既読です。今回再読してみて、かなり人を選ぶ作品集だろうというのは改めて思いました。SFに分類されるものが多いでしょうか、同じような不思議の世界でも幽明志怪シリーズの怪異とは全く違います。「琥珀みがき」が一番好みだった前回と違い、今回は「五色の舟」がすごく良かった。前回私はラストがきちんと消化できていなかったのかもしれません。そして前回名前をあげてない「延長コード」が凄く沁みました。「微笑面・改」「テルミン嬢」「土の枕」は再読でもやはり好き。きっとまた再読するでしょう。