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8作品による連作短編集。
どの作品にも、椎名くんが出てくる。
地方都市の普通の女の子の話。
何か普通の話過ぎて、そうゆう事もあるよね〜的な感じ。
びっくりする話はないけど30代、40代の女子向けかな〜
'14.08.15読書完了
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「東京」という憧れの対象の町と子供時代の同級生の「ヒーロー」
その二つを中心にして、焦燥感と劣等感に包まれた女性たちの物語
「東京」と「地方」という対立関係は鮮明で、地方にいる人は、それだけで劣等感を感じてしまう。
日本における「東京」は、それだけ特別な町。
その東京の特別性は、「東京タワー」で見事に描かれ、この作品はそのことを再び思い出させた。
東京へ行けば、何者かになれるのではないかという、強い憧れは、小学校時代の「ヒーロー」への憧れと似ている。
しかし、「ヒーロー」が、結局は平凡な人生を送るように、「東京」へ行ったからといって、何かを得られ、自分が何者かになれるわけではない。
実体のない憧れは、虚しいが、そのことをわかっていても現状に満ち足りるということは難しい。
だからこそ、自分は特別ではないということを、認識できる年齢になっても、虚しさを見ないようにし、あこがれ続けるという嘘を自分に対してつき続けるのかもしれない
作者の年代とドンピシャで重なるので、そのときどきの文化が懐かしい。
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読んでいてとても落ち込む小説
でもおもしろいかったです。
年齢も二十五すぎて、地方都市に住んでいるわたしにとっては、思い当たる節というか、自分を各々にあてはめがちになりやすく
読んでいて辛かった。
とてもリアルに書かれていて、いやだなあと思った。
でも読後、最近よくある自意識をテーマにした小説の読後にある、ああ人間っていやだなあっていうのはこの小説で思わなかったです。
十六歳はセックスの齢のあたしと薫ちゃんのやりとりとか良かったです。
山内さんもこれでデビュー作らしいですが、書くのとても上手だ。なんかとっても正直な小説だと思いました。
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月4〜5冊本読んでるけど今年一番のヒット。全体は柔らかいけど、最近キーワードになる地方のことも深く考えさせられる。
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面白かった。
端々に、共感を覚えながら少し怖くなりながら。
まだ見ぬ場所への憧憬を感じながら、でもやっぱりいつもここでない何処かを求めている。
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地方都市に住む女性たち(&1人の男性)の短編集。
自分も地方出身なので、「あ~、こういう感覚あったわ」と思わずうなずいてしまう箇所が多々あった。
なかでもいちばん刺さったのは、「自分では特別なアンテナを張っていると思って渋谷に『トーク・トゥー・ハー』を観に行ったら、満員でびっくりした。」というくだり。地元で「普通じゃない」ことが東京では「普通」。逆もまたしかり。
それぞれのお話に特に大きな事件や大どんでん返しがあるわけでない分、かえって地方の淡々とした日常がうまくちりばめられているように感じた。
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地方都市に住む女性達が、都会(東京)に憧れてみたり、東京に住んだけど夢破れて地元にカムバックしたりして、所謂「ここではない何処か」を求めるけど結局何もしない物語。
タイトルがずるいね笑。めっちゃおもろそうやし「これは読みたい!!」と思わせる。まぁその分ハードルが高くなりすぎて読み終わったときはこれじゃなかったんだよなぁ感が僅かながら残ってしまったんやけど…
それでも面白かったことには変わりなく、特に最初の方はまさにタイトル通り東京に居場所を見つけられず、生まれ育った地元で悶々と(という程でもないかな?)日々を暮らす登場人物に共感を覚えてしまう。いや、厳密には僕は東京で疎外感を感じたことは1mmもないし、というか今まだ東京におるんやけど、それでもこの小説に共感を覚えるのは僕が中都市出身で、地元に残った友達に対して妙な「ズレ」を感じるからなんやろうね。
作品の中で、かつては学校の人気者でスターだった椎名が30超えて結婚して子供も持って何だか魅力がなくなってく姿なんて泣けてくる。「椎名はもう呼ばないと思う」って台詞がサラッと出てくるけど残酷すぎるやろ!
『マイルドヤンキー』て言葉が最近流行りやけど、地方に残った友達とライフスタイルだけでなく、価値観とか考え方がどんどんとズレて行ったら嫌やなぁ。。いや、この小説は別にそこまで深刻な問題を扱ってるわけでは決してないのやけど…
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地方都市に住む20代、30代を描く物語。自分自身とほぼ同じ年代を生きている登場人物たちで非常に共感しながら駆けていくように読み切ってしまいました。
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女子をこじらせ、
自分の本当の居場所はここではないと思い続け、
運良く仕事で東京に住むことになり、
何もかも嫌になって帰ってきた私のためにあるのかと思える小説。
「ここは退屈迎えに来て」にすべてが詰まっている。
東京に住んで明確に分かったことがある。
東京にあって地元にないものは、私にはなかった。
あるのは『東京に住んでいる私」という、
あまりにも儚く頼りないなけなしの見栄だけだった。
毎日中央線に乗って新宿へ行くあの通勤ルート、
西新宿の高層ビル街を歩く足取りは、
いつまで経っても覚束なかったし借り暮らしだった。
でもそれを確認するためだけにでも、東京に行ってよかったと心底思う。
「東京に行っていたら」というなけなしの感情に取りつかれなくてよかった。
だからこの子たちの感情は痛いくらいに解る。
だから、行きたいと思った子は一度東京に出てみたらいい。
「やらなかった後悔」を呪う人生はやめた方がいいから。
「国道沿いで悶絶する魂を見守るような雰囲気があるとも感じた」
あとがきのこの言葉にいちばんしびれてしまった。
どこへも行けない彼女たちの魂への餞みたいな言葉だ。
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自分が生まれ育ったところもこの小説の舞台のような微妙な田舎町で、ある種のイタさと併せて共感できる部分多し。
小学生の頃から「絶対ここから出ていく!」と決意していた私は、今で言う「非リア充」だったんだな。
大人になっても故郷で楽しそうに暮らしてる同級生に感じる羨ましさ、なんとなく納得。
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1…山内さんの初めて読む作品。空気を吸うように話が頭に入ってくる感じで読みやすい。人物が生き生きしていて嫌味もなく自然ですがすがしい。
2…結婚しない誓いなど何の役にも立たないんだよね。結婚する時は誓いなど忘れてるから。
3…評価はこの作品。えっ⁈ まさかのラスト、やられた〜と感服した。ゲイの感じ方に触れたような、妙にためになる。
4…古い物を捨てて新しい物を手にするように、過去を捨てないと未来はやってこない。
5…アメリカ娘に喘ぎ声のレッスンさせるシーンでニンマリ、妄想で泣くというのも最高にウケる。
6…地味そうな女子の東京での平凡な日々。彼女の個性を感じることもなく地味に終わる話。
7…いとも簡単に春を売り買いできる国って日本ぐらいだろうし、きっと信じられない程のこういう人が平気な顔をして道を歩いている。
8…乙女の夢に入り込んだかのような脳が溶けるような感覚。セックスほどやる前の期待感とやった後の失望感の差の激しいものはないかも。
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地方の文化系には、話が合う人がいない。見たいものも欲しい物も何一つない。早く出て行きたくて仕方なかった少女時代の記憶がよみがえったなぁ。
ここではないどこかなら、もっと素敵な私になれる気がしてたのは、多くの女の子が通る道だったのか。なんだか胸がずきっとするような、共感というかノスタルジーというか。
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退屈でも誰も迎えになんか来ないことに気づいてるけど。高校生のときからタイトルに凄い惹かれて気になってて、やっと〜 「試着室で思い出したら本気の恋」だっけ、これも凄いタイトル。でも、こういうOLさんが読みそうな小説はちょっと苦手かもな。自分は、こんな大人の女性になれない、なりたくない。社会にもまれたくない。ってなるけど、でも現実的だから読み入ってしまった。。。。
この小説は地方ガール小説とも呼ばれてるらしく、上京に憧れた登場人物が何人か出てくる。だけど、上京して上手くいってる子がなかなかいない。結局地元に戻ってくるパターンばっか。自分は、これから上京しようとしてるのに、嫌気がさすw でも自分が上京したいのは、退屈から逃れらるためだけじゃない。何かがガラリと変わるとも思っていない。むしろ変わりたくないから、きっと地元にいられない。東京に行ったってまた退屈はおそってくることは知っている。でもここは今居づらい。迎えになんか何もこない。だから、とりあえず、ここから出てみる。何かの出会いに自分が迎えに行ってみる。
どこも退屈 どこに居よう。
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彼氏も友達もいたけど、ここは自分の居場所じゃないと思い続けた高校時代を過ごし、大学卒業後訳あって地元に戻ってきた私にとっては、この作品はまるで他人とは思えません。
日本中にありふれたつまらない街。
そんな街を否定し、自分自身に言い訳しつつ、足掻きながらもその街で生きる。
悶々とした青春時代を過ごした方なら、ひとつくらいはグッとくる物語があると思います。
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アズミ・ハルコは行方不明に次いで2冊目の山内マリコ作品。ある郊外の街、というかその街で生まれ育った「憧れの椎名君」の周りの人物が主人公の話。「あーあ、なんでこんなことになっちゃったんだろうな」っていう登場人物たちが現状を肯定できるようになるまでの話が多い。椎名は『桐島、部活やめるってよ』の桐島のような周りに影響を与えてキラキラさせてくれる存在なんだけど、桐島が神様のような概念に近い存在なのに対して、普通に歳とって郊外の街に順応してる。でも登場人物たちは椎名の神様だった部分に縋って生きてるから、それを認めると自分がつまらない存在と認めてしまうようでつらい葛藤がある。それでも背中を押す何かを自分で見つけて一歩踏み出す。後半の話になるにつれてとっつきづらくなるけど、どんどん面白くなる。最後の2篇がとてもよい。知る由もなかった世界を見せてくれる。