紙の本
作家の同年代に対するささやかで優しいエール
2020/06/27 21:43
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
連作テイストの中編小説集。
同じ主人公は登場しないが、5話ある物語の主人公は、誰もが50代後半という人生の何回目かの曲がり角にいて、いままでにない大きな不安感みたいなものを抱いている。その不安がどんどん増幅するような物語ながら、最後にちゃんと希望の光を見せるという展開がよかった。特に、小学校時代にちょっと袖ふりあった程度の友人が、余命いくばくもないカラダを抱えて再会する、第2話「空を飛ぶ夢をもう一度」は、個人的に思う、村上龍氏らしい物語。手に汗握る思いで読みました。
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様々な熟年夫婦が抱える問題を描いた作品。ハローワークと思っていたら、よく読んだらハローライフ。たしかに死や終末を意識するような年代。人生をもう一度という意味なのだろうか。
ペットロスという話が一番グッと来たな。
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55歳、老後の入り口に立ち、これからの人生をどう生きるかに迷う男女を主人公にした5つの物語。
この歳で離婚した主婦、体を壊しながら細々とバイトで食いつなぐ男、ハッピーリタイアメントに見えた早期退職から再就職に苦労する元サラリーマン、夫に冷めペットに入れ込む女性、トラックドライバーの老いらくの恋。
あまり自分の境遇に嵌るものは無かったけれど、それぞれ、この歳になると身につまされる話ではあるな。
嫁さんが近くにいずに、あるいは、居ても自分の時間を大事にと言われたら、これはどうなんだろう。
その内に仕事が無くなるのは必定で、仕事するのが好きでもないので、まあ、それは良いけれど、今と同じように気楽に競馬が出来ないと困るな。
などと色々考えることはあるけれど、その時に向けて何か準備する訳でもなく、何とかなると思っているけど、それで良いのかぁ?
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どれも将来の結婚(再婚)とか、リストラとか、夫婦とか、リタイア後のセカンドライフとか夢とか、何を軸にして生きていけばいいのか思い悩むお年頃?の方々のありふれた話です。
多少の起伏はありつつ、「え?それだけ?」と思うほど、それぞれの主人公たちは、自分なりに解決の糸口を見つけていきます。
将来の夢とか希望とかを叶えるための行動を起こすのは容易ではないんでしょうけれど、ここに描かれる人たちはとてもプライドが高いように思えます。
それ故に、躊躇したり、先の先まで見通そうとしたり、いまひとつ一歩踏み出せない訳です。
だから読んでいてもとてもイライラしました。
一発逆転の人生が突如現れるような物語を期待していましたが、ある意味リアルすぎて、エッセイみたいでした。
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ちょっと枯れた小説かなと思い手に取るのに躊躇したが、結構面白かった。今の55歳の現実を、よく表した小説だと思う。決して読後が暗くならないのが良い。中編の5編、「空飛ぶ夢をもう一度」「ペットロス」が良かった。
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電車の中やスタバで読んだのが間違い。自分と重なってしまい、顔をあげられなくなってしまいました。第2話「俺は素晴らしい友人に恵まれた。それだけで生きた甲斐があった」最後にそんなことを言えるだろうか。自分の今のままでは、後悔しか口に出来ないと思う。第4話は電車の中で。ペットを失った寂しさではなく夫婦の暖かさが沁みた。これも自分を振り返っての憧れ。
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50代後半から60代を主人公にした中編小説集。日本が高齢化社会になってきているのでこのような小説が成り立つのかもしれない。社会生活をそろそろリタイアする年代、最後のターニングポイントである。 長生きになっている日本では一昔前のようにリタイアすれば後は「余生」というものではない。それから先が結構長い。この先どのように生きていけばいいのか人それぞれに悩む。この年代のいろいろな立場の人たちを取り上げている。長い人生を生きてきただけ会って一様ではない。様々なドラマが展開していく。どの話も実際に起こりそうなものばかりだ。そしてどれもが辛い話の展開をしていく。このまま悲劇として結末を迎えるのかと思わせながら、どの物語も仄かに明るい明日を感じさせる終わり方をしている。私はそれに救われた。
特に印象に残ったのはホームレスを扱った「空を飛ぶ夢をもう一度」だ。物語の半分近くまで暗く、辛く読むのを辞めてしまおうかと思ったのだが、主人公と友人が小さな旅のような移動をしていくあたりから、「これからこの二人はいったいどうなるのだろう」とハラハラしながら、先を読まずにはいられなかった。一気に最後まで読んでしまった。最後には涙さえ流しそうになった。主人公の友情、彼自身の今の立場等と対比させながら人間の「善」を感じさせる作品だ。
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26.4.某日
私にとっては大して代わり映えもしない毎日だけど、今日も世界のどこかでドラマが生まれてるんだろうし、視点を変えればあたしだって、それなりにドラマみたいな毎日を生きてるんだろう。
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熟年離婚、高齢者の再就職、夫婦の会話、子供の頃の同級生の現状、高齢者の恋心・・・そんなこんなの短編が5編。
若い頃に読んでいれば、そういう感じの五十路代の人もいるんだろうな、なんて人ごとのようにしか思えなかったかもしれないが、現在の自分と重ねて読んでいるとすごく心に響いてくる話ばかり。
超高齢化社会でこんな思いを持っている人がゴロゴロいるんだろうな、って思うといい歳の取り方をしたいものだとあらためて思った作品。6月からNHKでドラマ化されるみたいだし、映像でどう表現されるのか楽しみ。
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なんてこった!
自分の老後のこととか考えてしまった。
ますます高齢者の層には、暮らし難い社会がやってくる。
リタイアした者は大人しく死ね、ってわけにはいかないもんね。
貯金しちょかにゃ。
あまりドラゴンっぽくなく、読みやすい感じやった。
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定年が近づく55歳。セカンドライフまであと少し。自由な時間を目前に、楽しい時分かと思っていた。
しかし、本書を読んで、その考えは甘かったと痛感した。
現実は、厳しい。しっかり将来設計しようと思った。
NHKでドラマ化された作品。
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自分が55歳になったから単純に出張帰りの東京駅の本屋さんで購入。
55歳の登場人物がいるというよりは、その辺の世代の、仕事も中心から外れてしまい、人生の残りもそろそろ見えて来た疲れた、そんな人たち。
図らずもNHKのドラマ放映と並行して読んでいた。NHKはかなり忠実にドラマにしていましたね。
自分は犬の死に対してつらい思い出があるので、ドラマではその部分を見る事が出来ませんでした。
さて、55歳からのハローワーク、と勘違いした方も多いらしいですが、私もその一人。でも題名はあまり関係ない。55歳ってまだこれから一花咲かせよう、ってまた思えるわけですから。
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転換期の人生を、悩みながらも一生懸命生きる主人公たちに共感した。
人生に一生懸命向き合っていれば、何かのきっかけで「人生頑張ろう」と思える瞬間が来るもんだ!そんな気にさせてくれた。
村上龍って、もっとやんちゃな作家だとイメージしていた。とても視線が優しかった。これを機に読み直してみようかしら?
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実はニ十数年前の村上龍作品は好きではなかった。もうちょっと正確に言うと、トパーズという作品を読んで嫌になった。希望が感じられない小説だったから。それがこの小説では、辛いながらも希望が詰まっている。これなら、人に勧めたい。
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自分はまだ55歳になってないが、あと数年したらこういう話も強ち無くはないと思った。
それぞれの話に登場する【飲み物】が、富裕層や貧困層の象徴になっている。自分はどの飲み物かと考えながら読むのもいいかも。