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品川区立品川歴史館の特別展「品川御台場-幕末期江戸湾防備の拠点-」(2011.10.9-11.23) にあわせて開催された記念シンポジウム「江戸湾防備の拠点・品川御台場を考える」(2011.11.13) の記録をもとに構成。文献史学・考古学の最新の成果。
品川台場だけではなく、大阪町奉行の役割や、鉄製砲の供給をした佐賀藩の製造・輸送の実態、さらには史跡の保存・活用まで論究。幕末日本海防史研究の最前線を示す。
・品川御台場研究の新展開に向けて(柘植信行)
・幕末期江戸湾防備の拠点・品川御台場の築造と地域社会(冨川武史)
・台場の構築に用いられた木材を調べる(鈴木伸哉)
・ロシア船来航時における応接と大坂町奉行の役割(髙久智広)
・品川台場と佐賀藩 -鉄製砲の供給をめぐって-(本多美穂)
・史跡「品川台場」の保存と活用を考える(冨川武史)
内容は玉石混交。今は石の部分も磨けば光ると思う。今後の研究の進展を待ちたい。「ロシア船来航時における応接と大坂町奉行の役割」が面白い。長崎や浦賀の外交に比べ、従来、あまり注目されていない事件だと思うが、佐々木・川村両奉行とも幕府の海防政策に深く関与し、実績を積み重ねてきた人物であるという。(嘉永期における大阪町奉行について幕府は海防政策に精通した人物をあてていた)