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書道教室の先生に片思いする佳奈.でも先生には奥さんが・・・・まばゆく切ない青春小説.橋本さんの作品はどれも好き.他の作家さんの青春小説とは,全然違うのだ.期待と不安,平均台を歩いているような不安定な頼りなさ.そして,そんな時にしか見えないモノがある.あぁもうあの眩しい季節には戻れないのだと,少し寂しい気持ちが残るのだ.
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タイトルがこれほどに物語に寄り添っている小説に、出会った経験がなかった。
私も高校受験のために書道をやめた一人だから…書に真剣に向き合い、無心に書き続ける人たちとは同じ立ち位置で話すことには気後れがする。
でも…書に没頭した時間、墨をすることで心を静めた時を、ほんのわずかなら共有できる。その共振は、書をやめたくなかったという心の痛みを伴うけれど。
すられる墨の色を青という作者もまた、書の世界にいたことだろう。
思春期から大人への成長という不可視なはずのものが、それぞれが抱えるものに向き合い、一歩を踏み出そうとする姉妹の言葉や姿、動き、表情、見ているもの、聞こえてくるもの…それらすべての変化という鮮やかな心象として、はっきり見える。
まるで半紙の上に迷いなく置かれてゆく墨跡のように。いろんな人に薦めたくなる、秀作。
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長く通う書道教室の先生に片想いを続ける女子高生が主人公。
でも、先生には素敵な奥さんが居て・・・
そして、「道場破り」にやってきた同い年の男の子から
好意をもたれたりもして、少しずつ自分の想いに変化が。
そんな主人公の心情の静かな変化を描いた物語。
大きな波もなく淡々と展開するけれど、
まったく退屈さを感じさせずページを捲らせてくれました。
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橋本紡さんの作品は、とてもていねいな言葉づかいと、情景・心情描写がとても穏やかなところ。
書道教室に通う女の子を描いたこのお話は、穏やかさにさらに磨きがかかっていた。和歌を書き写して書き写して、最後に和歌のやりとりで気持ちを伝えるシーンが、とても美しかった。
「思いは深く沈めたくらいでちょうどいいんだよ」
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切なくて、苦しくて、でも忘れたくない夏。
橋本紡さんはどうしてこんなに心を揺さぶる文章を書くのだろう。しかも静かに。
和歌でやり取りをするシーンが特に胸を打つ。
息が苦しくなってしまった。
佳奈と紗英の会話で終わるラストも秀逸。
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久しぶりに橋本さんの本を読んだ。
久しぶりに読んだ彼の話はシンプルに、かつ繊細に進化していた。
冒頭の 主人公と主人公が通う書道教室の先生の奥さんとの会話のシーンがいちばん好き。
橋本さんらしいシーンだと思った。
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橋下さんの作品には「九つの、物語」を読んでからずっと魅了されてます。
今回読ませて頂いた「葉桜」も切なさと、懐かしさと。
自然とか当たり前の中の美しさとか、そういったことを気付かせてくれたり、思い出させてくれたり。
そんな素敵な作品です。
中学2年で辞めた書道。
当時は嫌で仕方なかったんですが、この小説を読んで、少しだけ懐かしく感じました。
歌はあまり詳しくないのですが、最後のシーンは何か感じるものがありました。
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さて、と思う。字を書こう。たくさん書こう。
先生の暮らしが、決して豊かでないことは、なんとなく感じていた。穴の空いた服を平気で着ているし、車はものすごく古い。ただ、貧相かといえば、そういうわけではなかった。
先生も由季子さんも、呑気に暮らしているから、そう感じるのかもしれない。
「お土産に羊羹を置いてきた。我ながら気張ったな」
「高いんですか」
「ものすごく。財布が空っぽ。だけど最高のものを人に届けるっていいね」
うん、気分がいいよ、と彼女は頷く。
その笑顔、素直さに、わたしもまた笑っていた。
「そんな無理をしなくても」
「先生たちって食べるものにはうるさいから」
やっぱり彼女は笑っている。
「ごめんなさい」
「どうして謝るのかな」
「またせたから」
なるほど、と津田君は言った。顔は見えないのに、笑っているのがわかった。
「僕は案外と楽しかったよ」
「えーー」
「夏はずっと空が青いように思えるけど、実はどんどん変わっていくんだね。こうして眺めてるとよくわかる」
「ああ、うん」
「こんな時間を持てたのは貴重だったよ」
*・*・*・*・
安定の紡さん。津田君風に言うなら「こんな時間を持てたのは貴重だったよ」キリッ!
紡さんは家族を描くのが本当にうまくて、姉妹の空気感が絶妙だった。
17歳で死んでしまう天才がたまに出る家系で、そういう妹をもつ書道教室に通う姉がそこの先生に片思いをしているお話。
書道なんて苦手だったのに、やりたくなるから不思議。
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久々に橋本紡さんの作品を読んだ。透明度はあるけど、濃いお茶のような、いろんなものをぎゅっと濃縮して、それでも読みやすい感じ。
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高校生の主人公佳奈は通っている書道教室の先生に恋していた。しかし、先生は結婚している人で…というのがあらすじ。
パッと見ドロドロしく進む話なのかと思われそうだが、実際の本筋は佳奈達子供と大人の中間にいる人達の今まで抱えてきた葛藤や諦め、今後に対するおぼろげな方針がテーマになっているような雰囲気を受けた。
ひと夏の出来事と恋といえば甘酸っぱいというイメージに加えてほろ苦さ、拙さのようなものを感じていたので終盤に出てきた八朔がいいなと思う。
最近読んだガールズ・ブルーやミュージック・ブレス・ユーよりもやや薄暗くて(夕暮れのシーンが多いからか?)ほろ苦くてどこか優しさを感じる一冊でこっちの方が好きかな。
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久しぶりに、こんな甘酸っぱくて輝いている青春小説を読んだ。しかもただ甘酸っぱいだけではなく、色々な人の想いが交差して苦さも交えていてページを捲る手が止まらなかった。
自分の好きな人が最初から手に入らないとわかっているのに、どう結末に繋げるんだろうと不思議だった。だが、最後の和歌を2人で詠みあうシーンはとても印象的だったし、今時こんな高校生いないだろうと思った。
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高校三年生の佳奈は、書道教室の先生に長い片思いをしている。
けれど、先生には奥さんがいた。
叶わない想いを胸に、佳奈は日々教室で文字を書く?先生が見せた、知らなかった一面。
美人で天才の妹・紗英が抱える、命のリミット。
書道に打ち込む同い年の津田君。
周囲の人々に背中を押されるように佳奈の中で何かが変わって行く、、、。
春から夏へ、少女から大人へ。
眩しく切ない青春恋愛小説。
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書道教室に通う主人公は、その先生に長い方思いをしている。だが、先生には妻がいた。主人公の妹は類稀なる天才。だが、この親族は天才となった者は悉く若くして死を迎えた。屈折した愛、今にも消えそうな命の燈。複雑に絡み合う愛と生の物語。
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あらすじを読んでみて読みたいと思った。
書道の先生に主人公のJKが恋する話だ。
私も書道をしていたので興味惹かれた。
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書道のお話し。
思わせぶりな描写をしときながら最後は拒絶気味に返事するの、やな奴って思った笑 誠実に返事しなさい笑!
17歳で死ぬ伝説ってなんだ?って思った。
文章は美しくてサラッとした感じなとこが好き。