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この作品は今年、お亡くなりになられた坂東眞砂子の遺作になるのだろうか。ファンではないうえにこの作品が初めて読むものなのでわからないが…。東日本大震災をテーマにした作品というのは少しだが読んできたがこの作品は意味がわからない。壮大なテーマであるからこそ、よくわからないのかもしれない。もう少し、時間をおいてから再読をする必要がある。
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ごく近未来の日本、震災による原発事故の影響と思われる健康被害が続発する、架空の村が舞台となっている。
東京オリンピックの準備を隠れ蓑に、放射線被害への危機感も薄れ、法律も変わって戦争へと歩みを進める日本。主人公の女性は、国の行く末を憂いながら、自らも病に倒れる。
本書は、今年の初めに癌で亡くなった作者の、未完の遺作だ。亡くなる寸前まで執筆していたそうで、主人公と作者の姿が重なり、痛々しい。文字通り身を削って書いていたであろう作者の母国への思いが、行間からあふれ出ている。
編集部の解説によると、ストーリーの続きは、崩壊に向かっていくはずだったそうだ。存命なら物議を醸すと思われる描写や、突拍子もない想定もあるが、完成品を読んでみたかったと心から思う。
個人的には作者の骨太な作品にひかれ、なかでも97年に直木賞を受賞した「山姥」が好き。読んでからずいぶん経っているので、感じかたも違うかもしれないが、近いうちに再読してみたい。
それにしても連城三紀彦氏もそうだが、デビュー作から追いかけてきた作家が亡くなり、もう読めなくなると思うと非常に寂しい…。
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丸木夫妻の『原爆の図』の表紙、坂東さんの絶筆。少し身構えて読み始めました。福島の汚染問題や日本人の事なかれ体質にやりきれない思いを持って、しかも個人の非力さに国家権力の恐ろしさに改めて気付かされました。この本がどこへ着地しようとしていたのか、希望はあったのかは分かりませんが、読んでみたかったです。
南太平洋のバヌアツ、この本で知りましたが、行ってみたくなりました。
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坂東眞砂子の絶筆となった作品。
作家は時に、情報量の少なさを、自分の想像の翼を拡げることによって、補うことがあると思う。
これは、私たち国民に知らされていない事実を、作家の想像の翼を拡げることによって示してくれた作品なのかも知れない。
この作品の中では、憲法第9条は改定され、自衛隊は合法的な外交交渉の一手段となる。
しかし、福島第一原発の事故は覆い隠され続け、国民の目は欺かれ続ける。
これは、ひょっとしたらフィクションではなく事実なのかも知れない。しかし、作者はこの書きかけの原稿を残し逝ってしまった。
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坂東眞砂子作品初読み。
絶筆の上に途中で終了しているので中途半端なのは仕方がない。
自分の体験を書こうとしたのかなあ。
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怖い。かなー。でも何だか尻切れトンボな感じがする。投げつけておいて、終わり。ちゃんと回収してほしい気もします。
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坂東さんの遺作。原発事故後の放射能被害をテーマにしてるようだが、主人公が手術前に絶筆となる。数多くの伏線は生かされないままで中断。面白い観点もあったので惜しいと思うが・・近未来として実際と切り離したのはどうかなぁ~むしろ勿体ない・・でも坂東さんに社会派は似合わないし・・
おそらく構想の3分の1かな。未完なので中途半端は仕方なし。好きな作者の一人だったので残念です。
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2014年に病死した坂東眞砂子の未完の絶筆。
作者と重なる南太平洋のバヌアツに住んでいる彩美は、父の死の知らせに帰国するが、東日本大震災後の福島の放射能の影響に怯えるが、平気でいる周りの人々や日本の「慣性の法則で動く」社会に違和感を感じる。
バヌアツへ帰る直前に舌癌が見つかって手術を待つところで、執筆は終わっているが、この小説をどう終わらせたかったのだろう。
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大平洋の小島から帰国した彩実は「思考停止状態に陥った」日本を憂います。彼女は坂東さん本人のように思えます。
絶筆となりましたが、最後まで坂東さんは力強い作家でした。
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昨年亡くなった坂東さんの遺作です。
物語の舞台は、
東日本大震災後原発事故に見舞われた東北の架空の町。
日本を離れ南太平洋のバヌアツで暮らす主人公の女性が、
実父の訃報を受けて、一時帰国します。
海外メディアが報じる放射線被害への危機感と反比例するような
国内の生活ぶりをみて、違和感を覚えます。
昔から伝わる奇妙な風土病も奇形の生物や作物も
主人公の恐怖感をあおりますが、
そのうちに主人公もガンの宣告を受けます。
そういえば、現実問題の
あの原発事故後の放射能汚染問題はどうなったのでしょうか。
のど元すぎれば熱さを忘れる、ではないですが、
一時のようなアツい報道もなく、
今現在放射能問題はどうなっているのか、
無知な私ははっきりとわかりません。
坂東さんは病床にありながらも
この作品の執筆につとめていました。
作品が中途はんはに終わっているのはそのためです。
この作品には、
「癌細胞が増殖していくように、物語も崩壊へ向かっていく」という
イメージがあります。
物語の終わりに何が見えるのか、
読者にお任せ、なのだそうです。
坂東さんが病に侵されながらも
伝えたかったことを
この作品から考えていきたいと思いました。
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坂東さんの遺作で未完なのだとか。
原発問題、どこか他人事のように感じている自分が。でも間違いなく自分に降りかかってくる問題なのだなと思い知らされる。
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未完の遺作。反原発ムーブや同調が基本の日本のムラ的社会に対する問題定義は「分かる」と思う反面、いまやすでにその方面の活動化が発する「典型的」な言葉であるとも感じた。それだけに、この小説をどう完結させるのか興味深く(「典型」からの脱出はありえるのか等)未完であることが惜しまれる。
著者の死後書かれた編集部の「解題」がこれまたぐっときた。閉鎖的な日本を飛び出し、海外を変遷した著者が余命宣告後、家と土地のある日本、故郷の地を踏んだ時にみせた喜び。
「自由」と「糸の切れた凧」ーその表裏一体。
「自由に生きる」ことの難しさを思う。