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四つの短編の中に、江戸の人々の悲喜こもごもが詰まっている。
藩の抗争に巻き込まれ、浪人となってしまった秋月六平太は、良家の子女の付き添いをして、日々の暮らしをしのいでいる。付き添い先は、味噌問屋や琴の先生などなど様々だが、どの家も現代と同じく、様々な事情を抱えていて、六平太は好奇心や人情から、その事情に巻き込まれたり、自分から首を突っ込んでいったりする。
江戸の世はずっと、太平というイメージしか無かったのだけれど、単純な身分制度に分類されない人間関係とか、大きなお店だと結婚問題とか、とかく現代にも通じるような厄介な問題は、この時代にも山積していたのだなあと思った。武士の体面は大変だ。
そして、なんと言っても最後の「霜の朝」は染みた。幸せになるんじゃなかったのかい、お佐和さん・・・・。彼女は最後には六平太と一緒になるんだろうか。おりき姉さんはなんとなく、そんな未来にも勘付いていそうな感じ。そして、全く沈静化を見せない、十河藩のその後は如何に。次巻は発売されるのか、気になる。
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軽いタッチの時代モノ。オムニバス形式になっているのは入り易くて良い。図書館事情により、2巻目から読み進めても、何となくストーリーに乗れる。人情モノである。
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L 付添い屋・六平太2
軽くて深みのない話。
どうやら前作で読み逃していたのか、子供がいたり元許嫁がいたりととってつけたような話が散見。何に重きを置いているのかさっぱりわからない。前作に出番が多かった面々の登場も少ないし付添い屋の仕事も妙に中途半端。強いて言えば妹の話が大筋なのか??前作であっさり嫁に行ったと思ったけどやっぱりねー的な成り行きだし。
作家は時代劇の脚本家とのことだけど、テンポの良さを重視しすぎた感も。
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2巻目。
『あやかし娘』『武家勤め』『むかしの音』『雪の朝』の4編。
1巻目より、さらに面白くなった。登場人物に慣れてきたからかな。
最初の短編『あやかし娘』は大して面白くなかったけど、その他の3編は秀逸。
『武家勤め』は六平太がある小藩の世継ぎの少年(でも妾の子)を助けたことが縁となって、その少年の武術指導のお勤めを始める話。
六平太には同じぐらいの息子がいたが、荒んだ生活をしていたころ、生活が立ち行かず、その子が3歳のときに養子に出してしまい、それ以来、会っていない。
その少年に自らの息子の姿を重ね合わせて熱血指導してしまう六平太と、強くなりたいと必死に稽古にくらいつく少年の一途な姿に感動を覚える。結構良い話。
『むかしの音』かつて実家の火災で味わったショックと、傷の治療に用いた薬のせいで目が見えなくなってしまった娘の話。盲目になってからは琴の腕を磨き、その道のプロとして若くして師範となった娘が、あるとき町中で聞いた職人が槌を振るう音がきっかけで、かつての恩人の消息を知ると言う話。
せつない結末になるが、これも結構良い話。
『雪の朝』は結婚した佐和と夫の間に亀裂が入る話。
容姿端麗、才色兼備の佐和だが、妻に欠点が何もないことで逆に惨めな気分になっていく夫との間で関係が悪化していく。そして夫は佐和のある気持ちに気づく。
佐和も夫も良い人なのに、関係が壊れていくので、やるせない気になる。
ラストは佐和にとっては良かったのかもしれないが、これで終わってしまっては兄として六平太は困るだろう。
読者も困る。
もっと続いて欲しい。
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うまい!
血が繋がらない妹の関係も、請われて嫁ぎ一安心していたが、あまりに懸命に頑張る佐和に、かえって不審を抱き夫婦仲が壊れる。
付添人となって付き添った大店の娘には、その奔放な行動の裏に、、、。
通りかかった大名の籠の前を通ってしまった農家のせがれ、幼いのに手討ちにされそうになる。
殴打され重傷を抱えた子供は、一命は取り止めたものの意識が戻らない。
農家の父親はその大名の門前に、毎朝糞尿を浴びせかける。
父親を捕らえようとする勤番の武士たちと、六平太のお節介。
エピソードそれぞれが、実に生き生きと表現されていて、面白かった!
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年末年始の図書館休館前に、金子成人さんの付添い屋シリーズをまとめて借りてきました。年内にもう一度借りに行く予定で読んでますw。「あやかし娘」、シリーズ№2、2014.6発行。あやかし娘、武家勤め、むかしの音、霜の朝 の4話。「むかしの音」が秀逸! 「霜の朝」では、佐和と由蔵が離縁。出来た妻を有難く思わないで、ついていけないからと別の女性に甘える男には鉄槌を!
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著者の作品、ブクログ登録は3冊目になります。
著者、金子成人さん、どのような方か、ウィキペディアで、再確認しておきます。
---引用開始
金子 成人(かねこ なりと、1949年1月15日 - )は、日本の脚本家、作家。長崎県佐世保市出身。
---引用終了
丑年、やぎ座生まれの方になります。
私と同じなので、親近感がありますね。
で、本作を書かれた時の著者の年齢は、65歳位になります。
本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
十一代将軍・家斉の治世も四十年続き、世の中の綱紀は乱れていた。浪人・秋月六平太は、裕福な商家の子女の花見や芝居見物に同行し、案内と警護を担う付添い屋で身を立てている。外出にかこつけて男との密会を繰り返すような、わがままな放題の娘たちのお守りに明け暮れる日々だ。血のつながらない妹・佐和をやっとのことで嫁に出したものの、ここのところ様子がおかしい。さらに、元許嫁の夫にあらぬ疑いをかけられて迷惑だ。降りかかる火の粉は、立身流兵法達人の腕と世渡りで振り払わねば仕方ない。日本一の人情時代劇、第二弾にして早くもクライマックス!
---引用終了
第一話 あやかし娘
第二話 武家勤め
第三話 むかしの音
第四話 霜の朝
以下は、備忘録です。
・矢島新九郎---北町奉行所の同心。道場の後輩。
・孫七(まごしち)---大家。
・藤蔵(とうぞう)親分---神田上白壁町の目明かし。
・穏蔵(おんぞう)---六平太の息子。
・佐和(さわ)---六平太の妹。血のつながりはない。
・『もみじ庵』---神田岩本町の口入れ屋。
・『市兵衛店』---秋月六平太が住んでいる所。
・『吾作』---六平太、行き付けの居酒屋。
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付添い稼業の依頼主に人情味ある対応をすることで深い人間関係を築きそうになるけれど、そうなるのが怖いのか何故か一歩引いてしまう六平太。
その臆病さのおかげで1話完結になり、毎回毛色の違う登場人物が悪い現れるので、飽きる事なく楽しめます。
佐和さんが出戻るとは意外でした。