紙の本
マルケスファンは必読
2021/11/07 21:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラテン文学の翻訳者・木村榮一氏が、ガルシアマルケスに迫った本を書いていると聞いて、まよわず読む。マルコポーロ、コロンブス、セルバンテスにも言及されていて読みどころが多い。大満足。私は「百年の孤独」もすきなのだが、一番、好きなのは「大佐に手紙は来ない」という短編、これでもかと冷徹に老大佐をいたぶる文章が何とも言えない
投稿元:
レビューを見る
「百年の孤独」で有名なガルシア=マルケスの生涯、作品の紹介とラテンアメリカ文学、歴史を含めて論じたエッセイ。ガルシア=マルケスはノーベル文学賞を授与された作家で、ラテンアメリカの人々を描いた作品は、緻密でオリジナリティーがあり大変人気がある。
若い頃から苦難の連続だったが、チャンスを捉える能力もあった。 コロンビアは、政治の堕落が激しくて、日本人の感覚では耐えられないような世界だ。著者は、明治維新の頃の日本を例えながら、ガルシアマルケスの置かれた状況を説明する。 彼が生み出した作品群の執筆経緯、時代背景、物語のモチーフとなった事件など様々な考察がされていて、この本を読むとガルシア=マルケスの作品を読んでみたくなる。 ただ大変面白かったけれど、経緯の説明に同じ文章が何度も出てきたり、少々文章が長すぎて読みにくいところもあった。それでもガルシア=マルケスの入門書としては恰好の一冊だと思う。
ちなみに「百年の孤独」を買って読もうとしたことがある。 多くの人物が登場して、途中で人物関係がよくわからなくなって挫折した。 ガルシア=マルケスの他の小説でも、とにかく人物が多く描かれているらしい。 名前も日本人には覚えにくい感じもする。 ラテンアメリカの小説が話題になりにくいのは、文化の違いなども含めてそういう抵抗感があるからかも。
投稿元:
レビューを見る
ラテン文学翻訳の第一人者木村榮一氏による、G.ガルシア=マルケスの人となりを主軸にした解説本。
これまであまり知られていなかったマルケスの、作家として成功するまでの苦労話や、強い影響をおよぼしてきた母国の政治情勢、個々の作品が生まれた背景等、貴重な裏話が満載されている。
訳出文と違い、今イチ“のれない”文ではあるが……。
言及箇所はうろ覚えだが、膝を叩いてしまったのが外国(キリスト教圏)文学と日本文学の違いについて述べているくだり。
“神”の存在の有無による創造性の違い……ですよねー(マルケスに関係なくなってるw)
投稿元:
レビューを見る
『百年の孤独』を読んだのはもはや20年も前。ラテンアメリカ文学も「魔術的リアリズム」も馴染みがなく取っ付きづらかったのだけど、あるタイミングを過ぎたらまったく読むのを止められず、文字通り「気づけば朝」だった。その時理解できなかったこと、知らなかったことが平易に書かれていて、死ぬ前にはもう一度『百年の孤独』を再読したいと強く思わされた一冊。
長い時は数十年もマルケスの頭の中に生き残り、熟成された出来事が小説として昇華されてくるプロセスには感動。
ちょっと繰り返しのネタが多いのはご愛嬌。長い時間書き溜め・温めてきた原稿なのかな。