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椎名誠著 カツ丼わしづかみ食いの法則 読了。我が敬愛する椎名さんが「サンデー毎日」に連載されているエッセイ集。椎名さん独特の視点から綴られた珠玉のエッセイがてんこ盛りなのであります。「ナマコのからえばり」という副題が付いている本書の「その9」の読了記をご紹介しましょう。今回の「その9」はサンデー毎日に2013年8月から2014年3月まで連載されたエッセイ集という事になります。
いつもの如く楽しく読ませて頂きましたが、その中からこれまたいつもの如くご紹介。
先ずは「今が辛い人へのおすすめ本」というエッセイ。このエッセイで紹介されている「リプレイ」というSF小説は我輩も以前読んだことがありますが、本当に面白かった!!43歳で死んでしまう主人公が、すぐに自分の部屋で18歳でめざめる。43歳で死んだ時の知識と経験の記憶を保持したまま目覚めたという所がミソで、その経験を生かして、ギャンブルで大儲け!!幸せな人生を手に入れるという物語り。でもそんなにうまい話は無いんだよね!気になる方は是非読んでみてください。超オススメ本なのであります!!!
そして、何とも印象的だったのは本書名の由来にもなっている「カツ丼がしがし親父の説得力」というエッセイ。ある町の大衆食堂で相席で向かい合ったおっさんのカツ丼の食べっぷりを語った一節!!
「そのときのおっさんの食い方が素晴らしかった。カツ丼を左手でがっちり掴み、割り箸を右手に力強く「がしがし」と食った。絶妙の力配分で、がっちり掴んだカツ丼と箸の動きが躍動している。おっさんはいっときもカツ丼をテーブルの上にはおかず、ずっとがっしり左手で掴んだまま「がしがし」と食っている。ほれぼれするような箸と丼の連携技だ。ときどきオシンコをつまみ、味噌汁は箸を置いて右手で椀を掴んで飲む。カツ丼を持つ左手はあくまでもドンブリを掴んだままだ。なんとなく猛禽類が獲物を確実に食っていく動作を連想した。状況はまるで違うが、その全体の意志と力強さ、最後まで貫かれていく「がしがし」の徹底思想。これぞ本物のカツ丼の食い方だ!」(本著より抜粋)
何か、がしがしとカツ丼が食べたくなってきたぞ!!!
【Dance1988の日記】
http://d.hatena.ne.jp/Dance1988/20140525