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標準的かつ伝統的な経済学の初歩的な教科書です。経済学をきちんと学問的な枠組みで学ぶにあたって、現時点でベストといえるのではないでしょうか。理由は以下の通りです。
・経済学の最もコアなフレームワークを最低限必要な程度に概観している。原著を3分冊にして編成していて、伝統的な経済学の領域を網羅している。
・経済学専攻以外の大学生程度の学力でも十分独学で理解できる程度の平易な文章で書かれている。
・企業名や商品名が固有名詞で登場し、実際のニュースを扱うことにより経済学の概念を理解する手助けとなると同時に、現実の経済事象やニュースが経済学のどの理論に該当するのかを考える力を養成できる。(2011年時点のタイムリーなニュースを扱っているので、本質的な問題ではないにせよ、既にニュースが古いという欠点はあります)
他方、計算式がほとんど登場しません。演習問題は豊富にありますが、大方が内容を理解しているかを自分の言葉で表現すること、内容を踏まえて現実の問題について自分の意見を言うことが主眼となっています。そのため、独習者にはフィードバックが得にくい部分はあります。
この本1冊で到達できるのは、あくまで経済学は何を扱いどのように考えるのかを理解する処までです。そういう点では、実際に経済学に関わる見通しはないが経済ニュースの発展的なコラムを理解できるようにはなりたいという人に最適です。