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もう、なんていっていいやら。読みながら思わず「なんだなんだ、なんなんだこの得体の知れない面白さは!」と叫んでしまった。
人が恐怖に陥るのは襲ってくるのが正体不明のモノに対してなのだ、ということがよくわかる。
パニックを防ぐため、という大義名分に、仮想敵を作りあげ無駄に戦いを挑む、まるでドン・キホーテのような官僚たちの愚かしさ。その権力に屈することなくただ「人のため」に命を賭して真相究明に挑む斯波たちの思い。
まさに、手に汗握るエンターテインメント小説。
本当に、得体の知れない面白さだ。
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サスペンス。サイエンス・サスペンス。サスペンスって基本サイエンス?
周木なのでとりあえず買った系。角川ってのと、タイトルからミステリじゃなさそうだな、とは思ってた。帯にがっつり「サスペンス」って書いてあった。
四国で発生した集団死事件についてのお話。なんつーか、うん、面白かったわ。息をつかせる暇がないっていうか、テンポがいい。ああああああ、って思ってるうちにページが進んで行く。
集団死事件の現場のこと、霞が関で起こっていること、主人公と奥さんのこと、この三つのパートが適度に絡まって一つの話になってる。たぶんね、違うひとが書けばものすっごい長い話になってる気がするよこれ。でもこれくらいの長さでちょうどいいし、読みやすかった。
何か変だ、って現場の人間が感じる場面の書き方とかすごい上手いと思う。普通に怖かった。得体のしれないものってやっぱり怖いなぁ。しかもそれが死を連れてくるとなれば、そりゃ怖いよ。
金平官房長官がかっこ良すぎてたまらん。最後、ほんとスカッとしたわ。ある意味期待通り、王道展開ではあったけど、いいよここは。ここで期待は裏切らないでもらいたいよ。
あと斯波さんと宮野さんもかっこよかったです。男の友情って書くとものすごく陳腐な感じがするのは何故だろう。。
原因がスギ花粉だろうな、っていうのはまあ途中で察することはできるんだけどさ、そこはどうでもいい。臨場感っていうのとは何か違う気がするけど、「気が早る」「ドキドキする」感じ。うん、やっぱりこういうテンポの良さってのはミステリじゃ味わえなさそうだ。
抜粋。
彼の本心にあるのは、悔しさと無念さだ。だが、それを認めてしまえば、同僚の死が無駄になる。無駄にしたくはないから、黒川はそれを、誇りという言葉に置き換えている。
決して無駄ではなかったのだ、と誰かがそう思ってくれるということ。
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四国で発生した謎の「災厄」を巡るパニックサスペンス。果たしてこれはバイオテロなのか、それとも何らかの感染症なのか。どんどん拡大する災禍を前に、なすすべもない(というより何もしようとしない)お役人たち。その中で立ち上がる主人公たちの行動にハラハラドキドキさせられます。斯波が変わっていく過程もいいなあ。
しかし。この「災厄」の正体って……うーむ、100パーセントあり得ない、と言える事象ではないのかな。こんなのが実際に起こったらとても大変だし、そして嫌すぎます。これ以上、この世に「災厄」が降りかからないことを切に願います。
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これは本当に『堂』シリーズの周木律なのだろうか…?
なんて疑問が浮かんでくるくらいに作風が違う。
とことん本格ミステリであろうとする『堂』シリーズとは180度方向転換している。本作は未知の感染症か、はたまたバイオテロかにより四国全域が死の国と化し、日本国中が恐怖に怯えるサスペンスものとなっている。
意外や意外(失礼か)
これがかなり面白い!
息もつかせぬ展開でラストまでぐいぐい引っ張っていき、意外な真相まで用意してくれる。
不審死の原因は、張り巡らされた伏線を回収しながら突き止めらるため本格ミステリ好きな方でも十分楽しめるかと。
周木律の才能を垣間見れた一冊でした。
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高知県の山村で突然大量の住民が死亡する.次第に高知県全体に拡大する.官房長官、警察庁長官、厚生労働大臣などが対策会議を開催し、テロだとの結論で対応することになる.厚生労働省の斯波参事官はパンデミックだと発言し、会議で非難を受ける.最終的には同期で広島にいる宮野の助けで、原因を突き止めるが、官僚と政治家のやりとりが面白かった.某隣国の関与を示唆する記述に可能性はあるなと感じた.面白くて一気に読破した.
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過疎化の進む村で起きた集団死から始まる災厄。
テロなのか感染症なのか、得体の知れないもの・目に見えないものが故に恐怖が増長する。
役人の手の平返しにも慄くけど、斯波の考え方・姿勢が変化していく様はとても清々しい。
災厄の正体は、なるほどっ!と思ったけど、現実で起こったら怖すぎる。。これ以上の災厄が降りからないことを祈ります。
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【あらすじ】
高知県のとある集落で、住民全員が集団死する事件が発生。調査が開始されるが、同様の事件が付近の集落で続発、徐々にその範囲を拡大していた。厚生労働省キャリアの斯波は、政府内の対策本部で事件の原因をウイルス感染と主張するが、テロリズムだと主張する反対勢力に押し切られてしまう。本部の迷走に危機感を覚えた斯波は、原因究明のため自ら四国へと乗り込む。一方、斯波の同期で、かつて斯波に陥れられて広島の検疫事務所に左遷された宮野は、事件解決への道筋を描けないまま、被災者の救護に奔走していた。災厄に立ち向かうため因縁のふたりが再び手を取り合ったとき、浮かび上がる驚愕の真実とは―!?
【感想】
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義務感と使命感。判断材料の乏しい中、二つの感情をむき出し抗うことで「得体の知れない面白さ」が生まれて来る。大好き系な小説だったので、途中の誤植が何とも残念だ…。面白かったけどさ。
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テロなのかパンデミックか。突然起こった謎の集団死。同様の集団死が付近の集落に爆発的に広がっていき、四国は全滅か…。少し前に読んだ「生存者ゼロ」を思い出しましたが、これはラスト近くまで謎を引きずって、得体のしれない恐怖とともに政治家や警察のエゴと頑なさも絡み一気に読ませてくれます。展開もパニック小説ではなくしっかりとミステリです。〜堂のシリーズは好みではない方もきっとこちらは読みやすいでしょう。全てが片付いて収束したと思ったとき、更にその先がありました。でもそこまではさすがに想像したくなかったですね。
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高知県の過疎村から起こる集団死事件。これがテロなのかパンデミックなのか。
災厄の原因を突き止める過程よりも、斯波と宮野との友情や歩美との関係よりも、官房長官室で繰り広げられる政治家と官僚のやりとりの方が印象に残った。楡と伊野塚にはイライラしっぱなしだったし、金平と田崎の姿勢には感極まるものがあったし、こうした危機的状況で金平のような対応を見せる政治家いたらどれだけ信頼できるか、今の時政を見ると、そう感じずにはいられない…。
で、この災厄は自然が引き起こしたものなのか、はたまたやっぱり人的に引き起こされたものなのか、いつか似たようなことが実際に起こらないとは限らない可能性を言及して終わるのが考えさせられた。
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謎の感染症が広がって人々が恐怖で逃げ惑う!的なストーリーを期待してたけど、人々の描写はほとんどなかった。ないけどバタバタ大量に死んでいく。
結末は予想外だったので楽しめたと思う。けど奥さんが帰省した理由は他のことでもよかったのでは?家出して昔の男に会いに行って夫とのことを相談って…感染したけど回復してきたし帰って夫を支えていきたいって言われても素直に応援できないわ。