紙の本
殺人を犯すことはあるのか
2017/12/28 08:48
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公田島和幸は倉持修に翻弄された人生を送ることになる。数々の不幸を背負うことになる田島だが、その原因は倉持が持ち込んできて、それでいて恨みを持っても結局は倉持に言いくるめられてしまう。田島はそういった生き方しかできないのかもしれない。
母がその義母を毒殺したのではないかとの噂に影響を受け、殺人に興味を持ったのは幼い頃だった田島であったが、父の殺人計画を冷静に観察していたり、殺人を企てたり企てられたり、殺人にまつわるエピソードは子供の頃、若い頃に集中している。やがて倉持の従者としての人生として、殺人よりもむしろ詐欺の加害者側に巻き込まれていくことになる。結局騙されやすい人間なのだろう。自身が加害者側になるのだとなんとなく感づきそうなシチュエーションでも、結局は見抜けず加害者側一味に加わり、それでいて内部でおかしいと気付いても抜け出せないことになる。田島と倉持の関係は拡大して繰り返されていく。
当初は田島がいつ殺人を犯すのかが気になっていた。『魔法少女まどか☆マギカ』で主人公鹿目まどかがいつ魔法少女になるのかハラハラ見ていたのと重ねていた。しかし殺人からどうも遠のく田島に、いつしかそのような見方はしなくなった。今度はどんな事業で騙し騙されるのかとハラハラ読み進めることとなった。
殺人犯を突き止め追い詰めていく話ではない。しかし真実がわかっていても、まだ何か隠されているのではないかと思わせる手法は見事だ。そして最後の最後の結末は予期せぬもので、良い裏切り方をしてくれる。長い話だが読みやすく、一気に最後まで読破できるだろう。
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タイトルを見ると殺人事件が起こるいわゆる謎解き物かと思ったのですが、違いました。主人公の幼少期からの半生を描いた話。
主人公の同級生に殺意を抱きながらも、その人物に翻弄されて行きます。
暗い話なんですが作品に引き込まれすぐに読んでしまいました。
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一人の男の人生が、一人の男によって崩れていく様が淡々と描かれている。しかし読んでいて退屈な場面が全く無く、分厚い文庫ですが一気に読みきりました。
東野作品を読んでいつも思うのは、「この人は殺人のプロだ」という事。
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淡々とした物語を読ませる筆力はさすがだが、ラストへ向け失速。殺人の門が主題だとすればうまくいってないのでは。倉持の主人公に対する執着ぶりやキャラに宿命や白夜行の焼き直し感がするし、ラストも好みでないからか、読後感がよくなかった。
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主人公の少年時代から中年までを、世知辛い世の中にからめて書かれた作品。なぜかいつも近くにいてひどく憎んでいるあいつを、殺してやりたいのに殺せない主人公は殺人の門をくぐれるのか。
なんだかなー。分量の割に満足できなかった印象が強い。
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この分厚い本に、ひたすら殺意が生じ、それを実行すると見せかけて実行しないということの繰り返しが書かれている。
東野圭吾にはいろいろなジャンルがありますが、「白夜行」とか「幻夜」に近いイメージでしょうか。
ただ、ちょっと暗すぎる!
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素晴らしい作品だと思います。
殺人事件も何も起こらないまま、ただ主人公の殺意がどんどん膨らんでいく話。
一度読むと止められません!!!
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すごくドキドキしてすごく先が気になってどっかとばして読んじゃったかもってくらい(笑)パターンが一緒でだんだん先が読めるんだけどそれでも面白くないんじゃない!またか!またか!!っておもうけどまったく飽きない!!
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最初の頃は、かなり重く暗い。
あまりの暗さに挫折しそうになりながらも、読み進めると、結末を知らずにはやめられなくなる・・・・でも、全体としての悲惨な雰囲気は、最後までそれほど好きにはなれなかった。
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巧妙に張り巡らされた悪意。そして人はいかにして殺意と言うものを持ちうるのか。その答えの一つがここに。
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暗くて、重くて・・・でも、先が気になって気になって、結局一気に読んでしまいました^^;
主人公がとにかく不幸。
ラストの後、一体どうなったんだろう・・・続きが気になります。
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歯医者の父を持ち裕福な家庭に育った田島和幸。
家政婦がいるほど裕福な豪邸に住んでいたのだ。
祖母の死をきっかけに「死」に対する固執が強くなった和幸は
【毒殺】について調べたり「殺意」というものにも興味を強くしていく。
人はどのように「殺意」を育てていくのか、
どこまでいけば気持ちが「殺意」につながるのか。
小学校の幼馴染である倉持修との出会いは和幸の人生をも左右するほどの腐れ縁。
中学でのイジメや両親の離婚、父の転落の人生、
一人で生きていかなくてはならなかった和幸は地道に生きようとするのだけど、
そこには、いつも倉持修が歩み寄ってきては不幸を届けていく。
老人を騙す悪徳商法。それを平気でやってのける倉持。
和幸が平穏に暮らし始めると必ず倉持が近づいてくるのだ。
悪魔のような倉持に幼い頃から育ててきてしまった心の奥に潜む「殺意」は
どう育っていくのか??
これまた、分厚い文庫だけど
面白い!
小さい頃からの心の動きが細かく描かれているし
中学のころのイジメにあってる姿は本当に痛々しい。
一気に読めるよ、さすが東野圭吾!!
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とにかく、こんなに不幸が続くかって程、不幸が続く。騙されたら学習するのが普通でしょ!
和幸は、ただのバカだね!!
どうにもこうにもスッキリしないストーリーでした。
'06.08.07読書完了
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殺人はいけないことである。という人間としての常識を保てなくなる作品である。途中で何度も挫折しそうになった。心にモヤモヤと黒雲が絶ちこめ多分読んでいる自分の眉間には深いしわが寄っていたはず…そして、心の中で叫んでしまった…「殺してしまえ!」と。
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やりきれない。ホントその一言だと思う。
重松清の「疾走」に似た読後感だったかなぁー。
倉持の屈折した友情と、タイミングを逃し続けて最後にはとうとう門をくぐってしまった主人公。
主人公の離婚の真相が暴かれたらへん、ゾクっときました。