投稿元:
レビューを見る
読者モニターに応募した作品がプルーフ本でやってきた。上下合本の分厚くて腕の鍛錬になりそうな弁当箱サイズの一冊だった。しっかりした完成本ではないので、登場人物の一覧がない。一気に読めればいいのだけれど、ぶつ切りで読むしかない生活スタイルのぼくには、これが一番困った。何とも多くの登場人物が出てくるし、名前がイギリス式で難しい。
これがアメリカで、また作者が故ロバート・B・パーカーだったなら、登場人物もスペンサーとかホークとか、とても簡単な名前だし、そもそも登場人物が片手で数える程しか出てこない。レギュラー登場する飼い犬の方が、ゲスト登場人物よりも登場回数が多いくらいだし、作品もやたらに分厚くはない。
最近の海外ミステリは分厚さを競い合っているように見える。かつて一時代を築いていたスケールの大きなかつての冒険小説みたいだ。早川書房の誇るポケット・ミステリなどは、今ではポケットという言葉が不自然なくらいに分厚い代物と高価格の値段表示に姿を変えて、毎月書店の棚を、重厚でカラフルな背表紙イメージで飾っている。
本書は、そうした最近のトレンドとも言えるような分厚いミステリの一つである。なぜ、さほどスケールの大きくないこの事件に、これほどの分厚さが必要なのだろうか。読んでゆくうちに、ははあ、なるほどと、ぼくは思う。そうか、最近のミステリは、主人公のキャラクター作りに重きを置いているため、事件とは別に、彼らの日常生活描写がかなり加えられている傾向にあるのだ。そういえばデンマークの傑作シリーズ『特捜部Q』も主人公や彼を取り巻く奇妙な人物たちのストーリーを、時には主たるミステリを超えるくらいに面白く描いている点が、思えばとても魅力的なのであった。
コーモラン・ストライクという私立探偵に、その破天荒な日常生活上で連続して襲いかかる人生のピンチや、波乱万丈な軍隊での過去、そのために負った片足切断という運命を、義足と事務所の簡易ベッドなどという形で引きずらせることによって、事件以外の彼の人間的部分のストーリーが、メインストーリーよりもむしろ興味深い。そこに、ロビンというこれまた派遣スタッフの根アカな助手が加わって、彼女の一筋縄ではゆきそうもない恋愛模様が混じり始めると、事件以上にそれらの物語が印象的だし、主人公とその助手は魅力的である。
それでいながら、本書はミステリ作品であろうと、とても深く意識しているように見える。謎ときの面白さ、最後まで見破りにくいフーダニットの楽しさ、そしてコーモラン・ストライクが次第に掴んでゆく真実、そして真犯人との対決、そうしたミステリならではの要素を確固たるストーリーテリングで解き明かし、大団円にまとめあげる筆力とリズム感。これが、新人作家ロバート・ガルブレイスの実力だ! そう誰もが驚くことを作者は希望していたものだったらしいが、その計画は実は無残にも破綻させられる。
何しろ、この新人作者はある有名な作家の覆面を被った姿だった、という真実。編集者や出版社からその真実への迷路を辿られてしまい、実はその正体があの有名な女性作家、『ハリ��・ポッター』シリーズのJ・K・ローリングと判明したのである。もちろんその時点で、本作品は、あっという間に15万部を売り上げるベストセラーになってしまう。完全に秘密裏に男性作家名義で純然たる小説の力で勝負したいと願ったローリングだったらしいが、その目論見はこうしてあっけなく破れ、本書は時を置かず世界を席巻するシリーズの出発点に立ってしまったのである。
次作も既に用意されているシリーズとのことだ。ミステリという古い部分は素晴らしい出来だと思うが、その古くクラシックな英国伝統推理小説の骨子であるところには、あまり興味を持てなくなって来ているぼくにとっては、このシリーズは少し辛いかもしれない。しかし魅力的と少なからず感じざるを得なかったストライクとロビンのこの先の運命が気にならないではない、ってところが当面の心情なのである。
投稿元:
レビューを見る
ハリー・ポッターの著者が別名義で発表した探偵ものミステリ。上下巻というページ数のわりに内容は薄く、ミステリとしての底も浅い。最初はまったく評判にならず、著者の正体を明かしたとたん売れ始めたというのも納得です。
投稿元:
レビューを見る
下巻後半になって話が動き始める感じ。
題名も、なるほど!と言う感じで伏線を回収。気持ちいい。
単発の推理小説としては冗長な感じではあるけど、シリーズものの1作目ということで、主要キャラの生い立ちなどが丁寧に説明されているのかもしれません。
探偵のストライクは、最初は苦手なタイプのキャラでしたが、徐々に人間的な側面が描かれていき、最後には秘書のロビンと共に応援したいキャラクターになっていました。
2作目の邦訳も決まっているそうで、楽しみです。
投稿元:
レビューを見る
退役軍人のストライクは、体にも心にも痛手を負っていた。しかもいまの人生自体、粉々に砕けそうだった。この事件の依頼を受ければひと息つけるかもしれない。しかしその“対価”は予想を超えたものだった。若いモデルの込み入った世界に立ち入れば立ち入るほど、邪悪な影がちらつき、核心に近づけば近づくほど、予想もつかない危険が迫る…
投稿元:
レビューを見る
義足のストライクと、給料は悪くても探偵業にワクワクの秘書ロビン。新たなコンビのデビューですね。今後どのくらい続くのか楽しみです。
でも、本当にイギリス人の名前が難しくてなかなか頭にはいらなかったです。
投稿元:
レビューを見る
J.K.ローリング(ハリーポッター)の作者。
ロバート・ガルブレイスの名前で私立探偵コーモランス・ストライクを主人公にしたミステリーである。
ハリーポッターは好きな本でったので、是非読もうと思った。
「上」の時はあまり興味を持たなかったが「下」は犯人を捕まえるところになり一気に読み終える。
次の作品を期待する。
投稿元:
レビューを見る
下巻では思わせぶりな捜査から一気に解決へ。なんとなく犯人はわかったし、ちょっと強引なところもあったが、まずまず面白かった。次回作もあるとのことで期待。
投稿元:
レビューを見る
ようやく読み終わりました。
こういう結末だったのね、という感じでした。
なぜに「カッコウの呼び声?」という邦題になったのか?
投稿元:
レビューを見る
後半、それも中盤(全体の3/4)位から話の展開が早くなってきて伏線や謎が少しずつ説明されていく辺りは面白くなってくる。犯人の意外性も、また他の人の利害関係なども納得できる。
が、いかんせん長すぎる。読み終わってみると全く物語に関係ない登場人物(単に話を複雑にさせるだけ)や、あまり説得力のない設定も多く、このページ数が必要だったかは疑問。もっと刈り込んでも良かったのでは?
ローリング作だから、期待もするし、好スタートともなるが、これが新人作家だったらさほど評判にならなかったような気がする。
キャラも描きこまれているので、シリーズ2作目に期待。
投稿元:
レビューを見る
私立探偵コーモラン・ストライクの活躍を描くミステリ。あのハリポタの作者が書かれたってのでこれは面白くないはずがないでしょ! と思ったのですが。
案外と地味な話。モデルの転落死を巡る調査から始まる物語は、地道に周りの人間の証言を集めていくというもの。面白くないことはないけど、いまいち盛り上がりに欠けるなあ、などと感じていました。だけどそれも上巻だけのこと。下巻からはぐっと盛り上がってきて、一気読みでした。
それぞれの人物のキャラクターが生き生きしているのが魅力。特に最初に死んでしまったルーラのキャラクターが多様な人の証言によって徐々に描かれるところが読みどころです。
そしてコーモランのキャラもいいけど、ダントツは秘書のロビンです。有能なのも魅力だけど、それ以上に探偵の仕事にわくわくしちゃうところがミステリ好きとしてはとっても親近感を覚えてしまいました。このコンビの活躍、もっと読みたいです。
投稿元:
レビューを見る
まあ主だった登場人物は、限られているのですが、たまにちょこちょこと出てくる人物がやっかいですね、覚えていられません。そのたび人物表を確認します。
話自体は終わってしまえば、はあそうだったんですね。という感じで、ハラハラドキドキもジェットコースターなみのどんでん返しもありません。
だから余計登場人物に焦点を当ててしまいがちです。
まず主人公の私立探偵、戦争で足を負傷して、ギブスが合わないのか絶えず足が痛い、これは仕事に差し支えるでしょう。また事務所で寝起きをしているだらしなさ、いかなる事情があろうとも、公私は分けてください。
それに引き換え、派遣会社から来たアシスタントの女性、出来すぎです。魅力的すぎ。
婚約者がやきもきするのもわかります。
なんだか最後に思わせぶりな書き方がしてありましたが、この二人が将来どうこうなるなんてことは断じて反対です。
投稿元:
レビューを見る
超人気の女優は自殺なのか他殺だったのか、依頼された探偵がその謎と証拠を集めに探索するミステリー小説。意外な展開と結果に驚く結末となる。事件の要因はよくある人の欲「遺産」問題で、事件は「貰えない」から「貰えるように仕組む」がこのミステリーの要だ。さらに母からのより強い愛情を求めていた事。
投稿元:
レビューを見る
灯台下暗し的人物が犯人で「おお…」な作品。
それでもラストは結構ドキドキしました。
ファンタジーとは打って変わってミステリーという感じが良かったと思います。
ロビンの今後が気になります。
あと、コーモランの元カノもどうなるんだろう…。
これで終わりなのだろうか…(終わってほしいような終わって欲しくないような)
次作も決定しているようなので、楽しみに待ちたいと思います。