紙の本
森林保護管
2019/08/17 19:41
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『光る牙』の樋口君と山崎さんが活躍する短編集。
ヒグマほかエゾシカ、オオワシなど北海道の大型野生動物たちか関わる事件?が鬼気迫る。
自然ってやっぱり怖いなぁと思いながら読みました。
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『焔火』『光る牙』の長編二作で、引き締まった文体と骨太なストーリーを見せつけてくれた新人作家吉村龍一は、自衛隊出身の硬派な作家として今後も期待される。山形県生まれということで東北や北海道の厳しい自然を好んで舞台にしてゆく傾向もあり、北方至高のぼくのような読者には嬉しい限り。
本書はその吉村龍一初の連作短編集となる。初のシリーズ・キャラクター造形でもあり、今後長編かも期待されるどっしりした筋構えの一冊だ。六編の長編から成るが、半分は『小説現代』掲載、半分は書き下ろしと、意欲作であることが見て取れる。
主人公の樋口孝也は日高の森林保護官として、先輩職員の山崎とふたり、この広大な山岳に起こる様々な事件と取り組んでゆく。まるでワイオミングのディック・フランシスと称されるC・J・ボックス描く猟区管理官ジョー・ピケットのシリーズのようだが、あちらはあくまでミステリーであり銃撃すら逃れられないアメリカの暴力に満ちた世界が舞台になるのだが、こちらの森林保護官は日本の北国の山脈に発生する自然災害、獣害、人災などなどを、日々の生活や人間関係や青春の真ん中で、地道に解決してゆくだけだ。
でもそれだからこそ現実の重みと天然自然の厳しさ、優しさが、人間らしい生活の中に組み込まれているこの世界が、北海道のどちらかといえば森林地帯田園地帯の境界線に暮らす読者から見れば愛おしいし、その作品世界は無骨で美しい。こういうシンプルな人間の営みをこうも面白く読ませる筆力も並ではなく、今後も活躍が大いに期待される作家だし、今の若さゆえの血潮を失わずに純潔な自然冒険小説の書き手として継続して頂きたい。まさにこの一冊、近年の宝と感じられる作品集である。
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【由来】
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【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
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【目次】