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著者の宮口徹氏は朝日監査法人の公認会計士から、大和SMBCで公開支援、PWCで組織再編コンサル、で今は独立された方。
感想
記載が細かく、多岐に渡る。帯に書いてある「より実務に即して簡潔に解説した書籍」の通りの内容。
議論の中心は税務コンサルで、◯◯の組織再編する時にはこんな税務の論点があるから、ココを検討するんだよ、的な構成。3000円出す価値のある内容。
備忘録
・税務上ののれんの取扱。税務上は、資産調整勘定と営業権があって、5年間に亘って損金算入できる。
会計上ののれんとは全く異なるもので、処理も独立。
・包括的租税回避防止規定。仮に税法を形式的に当てはめると課税が生じない場合であっても、法人税の負担が不当に減少すると税務署長が判断した場合は、税務署長権限で課税できると定めた規定。
・留保金課税は都度要復習。特定同族会社が、法人税に加えて、配当せずに留保した所得に課税が行われること。
・資産管理会社のメリット整理。法人間配当と法人個人間配当のコントロール、損益通算による赤字の活用、相続税の節税効果。
・適格再編時に、欠損金の制限規定が適用される場合、被合併法人だけでなく合併法人も利用制限を受ける(=親会社の欠損金が切り捨てられる可能性あり)。
・住民税均等割で節税。
・MA税務を考えるフレームワーク(P104)は分かりやすい。何を(黒字会社か赤字会社か、黒字事業か赤字事業か)、どの手法で、何を支払って、誰が買うのか。
・行為の整理。①株式譲渡か事業譲渡か。②事業譲渡の対価が株式の再編行為→現物出資、会社分割、合併
・自己株式取得→みなし配当の議論だが、上場会社株式の場合にみなし配当が生じるのは市場外取引のみ。現状はTOSNET使えばそれも回避。
・清算所得課税の廃止→第二会社方式時の債務免除益再燃→期限切れ欠損金の損金算入があるから大丈夫。