投稿元:
レビューを見る
フェミニストである著者と弟の対話形式でつづられるフェミニズム入門、というかさわりかな。
読みやすいような読みにくいような。
親しみやすい書き方だけど、つくりは不親切。
本当にまったく知らない人にはわかりにくく、多少の知識をもっている人には得るものが少ない。
フランスの人が書いたものだから、日本しか知らない私にはぴんとこない部分が多い。
たとえば言語のジェンダー。
フランス語には男性女性があってうんぬんとか、女性は既婚未婚で敬称が違うとか。
雑学として知ってはいても身に付いているわけではないから、著者が意図する「気づき」にたどりつけない。
「今まで疑問に思わなかったけど言われてみれば…!」ではなく「ヨーロッパ語めんどくせえ」としか思わないや。
そもそも訳が適切ではないような気がする。
タイトルの「マッチョ」は日本語では単純に「筋肉ムキムキ」を意味する。(と思う)
そこに本来の意味を持たせようとすると、一般的な意味なのか社会学的な意味なのかまぎらわしくなってしまう。
ほかにも「女性サラリーマン」という変な言葉がでたり、下の方の階級を表す言葉が「下町」だったり、大陸の話なのに「海外」という言葉がでてきたりする。
話し言葉が「~だわ」「~なのよ」などの女言葉じゃないのは気をつけている風なのにな。
言葉の選び方もしっくりこないけれど、本当に嫌なのはヨーロッパ人の上から目線。
きちんと書かれている部分もある(イスラム教イコール女性蔑視ではないよとか、ヨーロッパだから進んでいるとは限らないよとか、同性愛のこととか)けれどナチュラルにマジョリティ臭が漂う。
フランスしか知らずにアジアアフリカを下げたり、「イタリアスペインより進んでいるはず」のフランスに遅れている部分があることに驚いて見せたりする。
フランス人が読めば発見があるのかもしれないけれど、私はひいた。
「島国根性」的な感覚って大陸にもあるんだな。
で、シリーズ名は「子どもと話す○○」。
べつに子供と話し合う教材にしましょうという作りでもないのに。
後ろにある既刊タイトルは「子どもと」もしくは「娘と」。「息子と」は載ってない。
ジェンダーに気づこうというコンセプトがタイトルで見事に台無し。