投稿元:
レビューを見る
中々のストーリーテラー。所々に違和感のある言葉が挟まれ、読み詰まってしまう。時として描写のまとめに唐突な所があり、澱んでしまう。同時に池澤夏樹を読んだが、似たような雰囲気を感じた。
投稿元:
レビューを見る
乙川優三郎としては二冊目の現代小説は、
13篇からなる房総の小さな町を舞台にした短編集。
モノトーンの海辺の夕暮れを感じさせ、
読後感良く、よい小説に出会ったと感じさせてくれる一冊。
投稿元:
レビューを見る
時折、エンディングあたりで意味がわからない表現が挟み込まれているのが不可解。人生の黄昏や酸い甘いの描きかたが少々昭和チック?な印象の短編集だった。
投稿元:
レビューを見る
短編集、13編。
房総半島の海辺の別荘地を舞台に男と女の感情の行き来を描いた技ありの短編。ジャズの流れる『オ・グランジ・アモール』が良かった。
投稿元:
レビューを見る
時代ものじゃない乙川さんはこれで二冊め。
房総半島に暮す、いろんな人達のそれぞれのストーリー。
特徴としては、冒頭のもと海女の話とか、郵便配達で家族を養う若い女性の話のようなもともとの島の住人と都会
からの移住者や業界、アーティスト系の洒落た世界を醸し出した話に分かれる。表紙の印象ではジャズっぽいお洒落
な話が似合いなのだが、私的にはもともとのローカル話の
方が興味深かった。
現代ものを読んでみて、乙川さんの人間に対する厳しい視点をすごく感じた。
投稿元:
レビューを見る
房総半島の海辺の町を共通の舞台もしくは場面の一部に設定した13の短編集。読み進むうちに思い出したのは角川文庫で読んだ片岡義男の作品群だった。そこに登場する男女はどこか非現実的でクールだったが、本書に登場する人物たちにその後の年を重ねた彼らを見るような既視感を覚えて愉しめる。
投稿元:
レビューを見る
高齢期を迎えた人々の淡々とした様子は、少し暗すぎるように思うが、著者の時代小説の雰囲気もそれが魅力だった。ジャズの深い味わいの中に身を沈め、過ごしてきた人生を深く、少し後悔を交え振り返るムードを与える。東房総の海辺の町を舞台にした連作は、そこが東京に近い田舎、太平洋に面する無国籍性を象徴し、短編集のイメージを形作っている。ジャズピアニストが青春時代を振り返る「オ・グランジ・アモール」、伯母から別荘を遺贈された女性がそこで1枚の写真を見て真実を知る「フォトグラフ」、画家のヌードモデルを勤めることになった「ムーンライター」などが感動を呼ぶ。
投稿元:
レビューを見る
三浦しをんさんの新聞の書評を読んで興味を持った。
(持たなかったら、作者の名前を知るのが数年遅れたでしょう)
もっと年をとれば感想がいだけるのかも。
まだ人生経験が浅いから、共感できることが少ない。
でも、ビア・ジン・コークという話で、主人公の女性が本にすごく助けられる様子はとてもわかるし、この本の世界を味わいたいがために人は本を読むのだなと思った。
投稿元:
レビューを見る
人生の幾多の経験を積んできた大人のための短編集だ。しゃれたバーやカクテルの名前、登場人物たちの都会的な大人の振るまいを描写しながらも房総半島を舞台にした作品が多く、漁師町、都会とは離れた日本的な古い環境も折り込み、日本人の感性を表現している。
乙川作品を読むのは初めてだが、短く、歯切れのよい文章でリズム感があり読み進みやすい。また直接的に事物、人物またその感情を表現するのではなく隠喩のような方法で表し、読者の想像力をかき立てる。
「ミラー」では女性がだれもが経験したことがあろう鏡に無意識に写ったときの自身のどきりとする姿、「ウォーカーズ」ではある歳に達した女性の次の人生の一歩、「トワイライト・シャッフル」では大人の恋愛を粋に表現している。13編のどの作品も中年以降の人たちの是非読んでほしい作品だ。
投稿元:
レビューを見る
最初の海女さんの話でやられた。造園屋さんの話でも泣きそうになった。美容師夫に逃げられた奥さんの話もよかった。
海女さんの話みたいなのが続くのを期待したのにあれ?と思ったけど,人生そんなもんじゃないよということなのかも。日本語も美しい。ほんといい本だった。
投稿元:
レビューを見る
悪くないけれど、なんだかちょっと物足りない。
これまで著者に感じてきた、文章の美しさと世界観の調和が少し緩いのか。
それでもやはりこの作家、好きだなあ。
何かが、心に刺ささる十三の短編。
ほとんどが女性視点なのに、不自然さがない。
こんな風に振る舞える女なれたらいいのに。
それでも実際はそうはいかない。
そこは作り物、でもそうは思えないリアリティ。
特に気に入ったのは、
「イン・ザ・ムーンライト」
「フォトグラフ」
「ビア・ジン・コーク」
投稿元:
レビューを見る
千葉の静かな海沿いの町を舞台とした、13の短編から成る作品集。
中年期から老年期のたそがれ時の女性が主人公で、いずれも死や精神的な意味も含め大切なパートナーを失うなど、喪失感がまとわりつく。
女性の視点から書かれているのだが、周囲に登場する男性たちは、薄っぺらだったり器が小さかったりと、イヤな面が目につく。
静かに進むストーリーはどれも地味で、重みがあると同時に、読んでいると憂鬱な気分になるのは、やはり辛い。
新聞の書評欄で三浦しをん氏が絶賛していたため、初めて読んだ作家だが、読んでいてもう少し前向きになれる作品のほうが好き。
投稿元:
レビューを見る
普遍的かつ等身大の男と女、あるいは親と子の情愛を様々な形態に投影して綴っているオムニバス…なのかもしれないが、全体的にあまりにも美し過ぎ、綺麗にまとめられ過ぎているような印象を持った。
換言すればお洒落過ぎるというか、ひょっとしたら造られた整形美人の顔みたいな。
また、一冊にまとめることをイメージして意図的にそうしたのかもしれないが、無機質ともいえる文体のリズムがすべての作品において等しく、少し単調とも感じられた。
個人的には、もう少し泥臭さが感じられる人間模様を緩急つけて描いている方が、短編集としては好みだ。
投稿元:
レビューを見る
7編目で読むのをやめてしまった。評価はその7編で。最近、連作短編の本(アイデア先行の本)が多くて、それだけで読まないようにしていたが、書評があり、「脊梁山脈」を読んだ後でもあるので期待した。
バーでの会話が出てきてから、つまらなくなってしまった。
投稿元:
レビューを見る
文体の個性を愛せるかどうか。
苦味の強い片岡(初期の)という感じ。
ストーリーは、文体よりも、さらに苦味や酸味が強い。
だから、素晴らしく、外文みたいな雰囲気が。