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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供のころに読んだ記憶があったんですが、当時は正直あんまり好きになれなかった。でも大人にっても記憶には残っている絵本。
紙の本
怖がらずに読めて、戦争の怖さを心に残してくれる絵本。
2006/08/08 11:17
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投稿者:チャミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔、日本が戦争をしていたころ、広島の、ある横丁にたっていたおじぞうさんは「うふふふ」と笑った顔をしていたので、笑い地蔵と呼ばれていた。
夏の暑いある朝、真っ青に晴れ上がった空に敵の飛行機が現れたかと想うと、街の真ん中に爆弾を投げつけた。
太陽が落ちたような衝撃の後、すべてのものが吹き飛ばされ、目や耳がつぶれ体中やけどを負った人々が苦しそうに叫ぶ。
横丁のおじぞうさんも吹き飛ばされ、笑った顔だけが地面から覗いていた。垂れ下がった皮膚を引きずりながら逃げる人々、黒こげになって横たわる人々。そして、ひどいやけどを負った女の子がフラフラと近づき、おじぞうさんのところでバッタリと倒れてしまった。
笑ったおじぞうさんの顔を見て、母を想い出し「かあちゃーん。水がのみたいよー」という女の子。「みず…、みず…」と声が弱弱しく消え入りそうになった時、おじぞうさんの顔が変わります。
仁王像のように恐ろしく怒った表情になったおじぞうさんの顔。
そして、クイッと見開いたおじぞうさんの目からボタボタと涙があふれ、女の子の口へ注がれて…。
何度読んでも涙があふれてきてしまう絵本です。
広島の原爆を扱った作品の中では一番好きな絵本。
絵本の中には原爆が落ちた瞬間の地獄のような人々の様子が描かれています。それは、冒頭に描かれた戦時下ながらも普通に暮らす人々の生活とあまりにも対照的で原爆の「怖さ」「悲惨さ」を見事に表しています。
画家の四国さんが後書きで綴っているのは「子供たちにこわがらないで最後まで見てもらえて、しかもこのうえなくこわい絵本を描くことは難しい。怖いものを描きたくはないのだが、こわいものを地上から無くするためには描かねばならない」と。その言葉通り、子供たちに「怖い絵本」で終わりになるような描き方でなく、怖さの中に平和への願いを感じられるような絵本に仕上がっているのが素晴らしい。
そして、物語もおじぞうさんと女の子の交流にポイントをあて、切なくて悲しく、力強いお話になっています。おじぞうさんが怒り顔になり、涙を流す…現実では考えられない話ですが、原爆という現実世界を一変してしまうような恐ろしい出来事の中では、妙にリアルに感じられ、いっそう心に深く残る物語です。子供たちに原爆を語る上でオススメの一冊です。
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これは私が大学生時代に出会った絵本。
このお話の存在を知ったのは、
民話の語りを聞いたのが始まりで、
語りを聞き衝撃を受け、すぐに絵本を買った。
それを大事にとっておき、自分の娘たちにも読ませた。
これは戦争の悲惨さを訴えている絵本で、
とてもとても悲しくなる。
何度読んでも涙が止まらない。
感動の涙ではなく、
悲しくて切なくて、怖くて流す涙だ。
幼い子供に読み聞かせるには、あまりにも悲惨で難しい。
だから私は、娘たちには小学校中学年になってから読ませた。
戦争を知らない私たち。
でも、知っておかなければいけない事実もある。
そんな昔の絵本を、納戸をかたずけていて偶然発見。
決してオススメという内容ではないが、
失いたくない絵本でもある。
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戦争の儚さを感じずにはいられない作品です。
優しいお地蔵さんの怒りはそんな世界に対して放たれる強いメッセージだと思いました。
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戦争を扱った絵本。色んな意味で涙腺を刺激する作品。
いつもニコニコしてるように見えたお地蔵さん。でも、空襲で一面焼け野原になった。ボロボロになった血だらけの女の子が、一人でお母さんを虚ろに探し歩いている。女の子の目はもうほとんど見えてなくて、お地蔵さんがお母さんに見えた女の子。お母さん!お母さん!と、泣き崩れそのまま倒れこんだ。いつもニコニコしてるようにみえたお地蔵さんの表情が何時の間にかかわっていた。憎悪や悪意、憎しみに憤り、眉は釣り上がり、目は白目をむかんばかりで…………
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原爆・ヒロシマ。その悲惨さを伝える。
文も絵もすばらしい。語り用の文章が添付されている。
語っていかないといけない。
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この作品と出会ったのは小学生の頃です。
にこにことしていたお地蔵さんの表情が変わるぐらい戦争(原爆)はおそろしいものなのだと小学生ながら感じていました。
こういう作品を子ども達にも読んでもらいたいと思う。
でも贈り物としては…悩んでしまいます。
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≪県立図書館≫
小学生のころ、何度も読み返した絵本だ。
図書館で再会した。
私の子供たちにも触れさせたいと思い、借りた。
子どもたちは真剣にきき、見入っていた。
大切なことを感じてくれたら、と思う。
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1979年に初版発行。同じ年の生まれですが、この歳になって初めて読みました。
これまでも戦争や原爆を題材にした作品をいくつか読みましたが、そのどれとも違った衝撃を受け、まだ心の整理がついていません。
恐らくこの先何年もかけて咀嚼していかなければならない事だと思うので、取りあえず今は感じた事を箇条書きに。
●神仏の怒り
亡くなった人々を導く慈愛の表情ではなく、怒りの形相へと変化するお地蔵さまに、思わず「うわっ!」と声を上げてしまった。理屈ではない、根源的な畏れ。
「男女老人子どもの別なく巨大な電子レンジの中へ入れられたように、生きながら焼き殺される」(画家・四国五郎氏のあとがきより)、この苦しさ恐ろしさについては小学6年の教室の学級文庫に置いてあった『はだしのゲン』等でも学んでいたつもりだったが、『おこりじぞう』を読んで初めて「そうだ、こんな事を神仏が許すわけがないんだ」と強く思った。
しかし、原子爆弾を投下した側にも、信仰している神がいる……。
●自分の中の「怒り」の感情について
戦争にまつわる物語を読む度に、自分は悲しみよりも先に怒りを感じていた。しかし、それが何に対する怒りなのかがはっきりしなかった。当時敵対していた国に?悲惨な負け方をした日本に?
それまで優しい笑みを浮かべていた地蔵が仁王の如き形相へと変わったのを見た時、自分の中の怒りの正体がおぼろげながら解ったような気がする。それは「こんな事があってはならない」という気持ち。
●笑った顔のお地蔵さまを母と見間違える少女
私にももうすぐ3歳になる娘がいるので、尚更身につまされる。本当はあまりこういう考え方はしたくないんだれど。世界中に子どもはいる。日本にもアメリカにも北朝鮮にもイラクにもシリアにも。
●「グサグサ グサグサ」
少女が絶命した後、お地蔵さまの顔が崩れ落ちる様子を表した擬態語。何とも言えない。が、物凄く突き刺さった表現。恐らく向こう10年は忘れられないのではないか。グサグサ グサグサ。怖い。
●『おこりじぞう』
絵本は本来の『おこりじぞう』の前半部分だとか。山口勇子さんが書かれた原作も是非読みたい。
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戦争はみんなが苦しむこと、してはいけないこと、怒りが込み上げるほど愚かなことということを、短いお話だがよく伝わった。幼稚園で先生が教えてくれて、今でもずっと覚えてる。子どもにも読み聞かせた!