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島という閉鎖的な環境で、固有の種が存続していた。しかし、外部からの人間、キツネ、ネコ、ヤギ、ネズミ、ヒツジなどの侵入が固有種を急速に絶滅させて行く。
固有種を守るために外来種を全滅させるが、その行為自体の倫理性なんかについても語られる。
巻頭のカカポの写真は印象的。是非とも守って欲しいと思うけれど、ネズミにも共感する力や、喜ぶ能力があると知ると、ネズミも可愛く思える。
カカポをいつか、見ることができたらいいのに。
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人間のせいで種は滅びたのか、人間にかかわらず種は滅びたのか。どちらが先かわからないが、人ができることは未だあるはず。
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全体を通して固有動物の滅亡への道のりとそれを防ぐ人間の取り組みについて話が展開されている。直接の関与の有無、意図の有無にかかわらず動物たちの絶滅物語には人間が深く関与している。乱獲などによって絶滅に追い込むこともあれば、人間が連れてきた動物によって、固有種が絶滅に追いやられることもある。本書では、ニュージーランド、アリューシャン列島、バハ・カリフォルニアなどでの固有種がたどった運命を丁寧に追っている。
先人たちの努力により、そうした乱獲を禁止する法律が決められ、侵入者を退治する方法も確立してきている。しかし、人間がグローバルに活動する限り、この侵入者と固有種の物語は終わりがないようにも感じる。 かといって今更、グローバリゼーションが逆方向に進むことも現実的では無い。マット・リドレーの「繁栄」にあるように交易こそが、人間の生活向上の鍵だからである。しかし、その陰には犠牲になっているものがあることを、本書は提示してくれている。生物多様性の意義を問う作品であるとともに、グローバリゼーションとその影響についても考えさせられる良書。
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HONZメンバーがこの本を推薦していたので購入。いくつもの種が滅ぼされたのは害獣たち(ねずみやうさぎ…)の存在であることがわかりそれに対して人間が行ってきた数々の事が、今度は我々の食べ物にも影響を及ぼす。一気に読めた。
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様々な種をヒトとともに絶滅させてきたのは、ネズミ。身体が自分より大きい鳥を食べたりするそうだ。
博物学者リチャード・ヘンリー
島からネズミを一掃しようという計画。倫理的ジレンマ。使用される抗血液凝固剤によるネズミの苦しみは以前考えられていたより酷そうだったため、尚更。
このジレンマはネズミ掃討作戦のためにネズミを研究していた生物学者も感じていたこと。
さらに、ネズミは考えられているより社会性があるらしい。上位のオスがいるそう。
イースター島の滅亡にもネズミが関与。イースター島の木々は枯死し、ネズミは最後の種子を食べてしまった、ということ。
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ニュージーランド、アリューシャン列島、バハ・カリフォルニア等の島々には、独自の発達を遂げた、様々な固有の生物が棲んでいた。
それら、固有の動物たちは、食物連鎖の中にあっても、同時に進化してきたほかの生物たちと調和し発展してきた。
そこに、(主に人間の手によって)外来生物が持ち込まれる。
人間それ自体も、生物の殺戮には手を貸すが、殺戮の主たる戦力となるのは、意図せずに持ち込まれたネズミ。そして、猫、キツネなど。
独自の発展=内なる世界だけの平和に安穏として過ごしている固有種の生物は、外の世界の常識たる殺戮の前になす術もなく殺されて、絶滅させられていく。
その残虐の殺戮から、固有種を保護しようとする人間がとる手段は、外来種の殺戮。ネズミを一匹たりとも残さず殺しつくすこと。
そんな、幾重にも重なる殺戮が織り成すバランスの上に、主の生存は成り立っている。
島国で、固有の自ら一方的に戦争を放棄する法律を持つある国。
世界標準の外敵が、己の利益のために一旦牙をむいたら、種の生存すら危うくなるほどの殺戮が行われるということを示唆しているようにも思える。
そのとき、外敵を駆除してくれる力はあるのだろうか?
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【一匹の侵入者が生態系を破壊する!】海鳥の脳と目玉を食らうネズミの脅威。貴重種を守るために、世界中の島々で大規模な殲滅作戦が始まった。戦慄のノンフィクション。
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読む前は弱肉強食で自然のままに生存させてるのがいいだろうと思っていたが、読み終わると弱者は保護すべきだと思い直すようになった。それにしても、ネズミの食の凄まじさには参ってしまう。
都会の野良猫についつい餌をやってしまうのもなんとかして欲しい。上げてる人は軽い気持ちだろうが大きな悪影響を社会に与えている。
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カカポというニュージーランドのみ生息するオウムがいる。
・いい香りがする
・肉付きがよい
・羽が綺麗な緑
・飛べない
・足も早くない
・むしろ外来生物に興味を持って寄ってくる
・外敵に向けた武器を持ってない
・保護しようとしても複数頭集まるとストレスになる
・繁殖は4,5年に一度
・母親は卵を置いて餌を探しに行く
・父親は子育てしない
と、どう考えても絶滅しそうな鳥を筆頭に、世界の生物の1/5の種類が暮らす島を舞台にした野生生物保護のお話。
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パワー・ブラウジング。
生態系にいなかったネズミが人類の行動に伴って離島に持ち込まれると、どれくらい深刻な影響を与えるか、その駆逐がどれだけ困難かを、実例たっぷりに紹介していく本。
前から気になっていたけど、それにしてもネズミやばい。
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処女作の「捕食者なき世界」でトッププレデターのいなくなった生態系を数々紹介したウィリアム・ソウルゼンバーグが次に目をつけたのは外来生物の侵入による生態系の破壊だ。琵琶湖のブラックバスのように人間が意図的に放したケースもあるがネズミの場合は人間の活動範囲が拡がるのに連れて新世界に紛れこんだ。原題のRAT ISLANDはアリューシャン列島にある島の一つで1780年に日本の漁船が座礁し数匹のネズミが紛れこんだ。元々「入口」「歓迎」という意味であったハワダスク島を1827年に訪れた探検家はこの島を「ラット・アイランド」と名付けた。この島で起きた出来事はこの本の舞台となるニュージーランド、バハカリフォルニアと並んで一つの例だが島は陸地の面積の5%に過ぎないが、鳥と爬虫類では種の絶滅の2/3は島で起きた。特に元々プレデターのいない隔絶された島の生態系は外来生物の侵入に弱い。襲われることを知らない先住者達はあまりにも無防備だった。
ハワイですらクック船長が訪れた時には既に抜け殻のようになっている。そしてクックとエンデバー号は既にマオリ人が住み着き彼らが航海の保存食と入植地での食料として持ち込んだキオレと言うネズミに続いて中国原産のドブネズミとネズミを退治するネコを連れてきた。他にもヒツジとウサギが持ち込まれると、ウサギが牧草を食べ尽くし、ニュージーランド政府は兎を狩るためにフェレット、イタチ、オコジョを野に放った。しかしイタチ達はウサギよりも楽に捉えられる獲物に気がついた。飛べない鳴鳥キウイ、ウェカそして走るオウム、カカポなどだ。イタチは鳥を襲い、ウサギは変わらず牧草を食べ続けた。
1894年、ニュージーランド政府は南島の南端にあるレゾリューション島を保護区とし、管理人にリチャード・ヘンリーを雇った。アイルランド移民の息子でアボリジニに学んだヘンリーはカカポの生態を誰よりも良く知る在野のナチュラリストとして外来種の導入に反対し続けたが学者達には相手にされなかった。もはやほぼホームレス状態で保護活動に絶望したヘンリーはリボルバーで自分の頭を撃ったが自殺に失敗する。管理人のオファーを受けたのはその1週間後だった。ヘンリーは大半はカカポの572羽の鳥を島に移した。しかし島と本土を分ける海峡は狭すぎイタチの侵入は防げなかった。
アリューシャン列島でラッコの毛皮を目的にロシア、アメリカ、イギリス、スペインそして日本からハンターが訪れラッコ、オットセイを取り尽くしシュテラー海牛は絶滅した。次にホッキョクギツネに目をつけたハンターは島々に見事な毛皮を持つブルーフォックス移住させた。海鳥の楽園はキツネの天国になり鳥が減るとその糞を養分として育った草木が姿を消し殺風景な風景に戻って行く。キツネを駆除したがそこにはネズミが残った。
悪役のネズミも仲間が殺されると人間同様に感情を昂らせ、毒餌で苦しむ仲間を見て学習するため毒が効かない。そこで新たに開発されたのが血が固まらないようにする遅効性の薬で眠るように死ぬためネズミは警戒しない。幾つかの小さな島で殲滅作戦は成功したがネズミの駆除に反対する人達もいる。希少動物の命はネズミよりも重要なのか?それを人間が決めることは許され��のか?そしてネコやイタチの導入のように殺鼠剤は新たな失敗を生まないのか?
実際にアリューシャン列島でのネズミ殲滅作戦では死んだネズミを食べた捕食者が被害をこうむっている。その内の一つがアメリカを代表し保護されるべき白頭鷲だった。それらの被害を受け入れれば生態系を元に戻す可能性は残されている。保護されたカカポは126羽にまで増えたが近親交配の為に将来は危うくリチャード・ヘンリーの名を受け継いだ齢100歳を超える老オウムの繁殖力にかかっている。しかしこの本の執筆後カカポのリチャード・ヘンリーは亡くなり3匹の子供達はまだ繁殖期を迎えていない。
ガンバの冒険ではアホウドリの羽の上ではしゃぐネズミだが、一番弱いハツカネズミですら生きたアホウドリを襲い食べる。「カモメはうたう 悪魔のうたを 帆柱に朝日はのぼる けれど夕陽はお前と仲間のドクロをうつす」ネズミのドクロを見たカモメは歓喜の歌を歌うべきなのだ。
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小さな島で天敵がいないと動物は異常繁殖する。そのために生態系が壊されて、弱い動物は全滅する。この本は島で異常発生したブタ、ねずみ、ヤギなどから無防備な先住者を保護するための作戦を描いている。ねずみが大量発生した島になど上陸したくない。ホラー映画にでもなりそうだ。
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島の孤立した環境に適したが故に他の種と競合する能力を失ってしまった種達がいる。
ニュージーランドの飛べない鳥キウイやオウム、ほかの海鳥たちだ。彼らは外敵がいない環境で暮らし鳥の象徴ともいえる飛行能力が無いという独自の進化を遂げている。そんな楽園に外来種がやって来たことで彼らの生態系が一変する。
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カカポの存在は、テレビ番組で知った。
ぷっくらした緑の可愛い鳥だった。
そんな、先住動物が、外部からやってきたネズミに駆逐されていくという現実には、「はっ」とさせられた。
動物愛護と自然保護との間にひろがる確執も、たしかに納得させられた。
イースター島の滅亡も、実はネズミの仕業だという説には、驚いたが、言われてみれば確かにあり得る。
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一般に生態系の破壊というとき、著者の前作にある「頂点捕食者の不在」よりは、本作にある「外来種の侵入」の方がよく知られるところだろう。ネズミ、ネコ、イタチ、キツネ、ヤギ、様々な動物が、人間とともに世界へと広がり、人間とともに少なくない影響を与えてきた。なかでも特に、島に与えたそれは甚大であったといえる。これまで島は、大陸から大洋で隔てられ、固有の進化を育んできた。島の面積こそ、地球の陸地の5%を占めるに過ぎないが、陸生の種の実に20%は島で生まれたのである。にもかかわらず、絶滅の大半も島で起きており、これは人間も含めた外来種によるところが大きい。例えばオセアニアでは、この3000年間、初期の移住民とネズミの侵入に始まって、現在までおよそ8000種もの動物がいなくなったとされる。島は外来種に対して、あまりに不用心なのである。しかしながら、どんなにその影響が大きいことが分っても、すでに定住してしまった外来種に、退去をお願いすることは非常に難しい。とりわけネズミは賢く、敵対的な罠や毒はすぐに学習してしまって効果が出ない。仮にうまくいったとしても、服毒したネズミを他の動物が食べてしまうことで思わぬ被害が出ることもある。また、そもそも、ネズミをはじめ外来種たちには、悪意がないのである。その駆除が非倫理的に感じられれば、批判の声が上がることもある。(日本でも最近、奄美大島のノネコ駆除反対に5万人の署名が集まった。)環境保護と、動物愛護はけして同じ立場にはない。守るべき自然の在り方が、同じ人間の間でも、まるで一致していないのである。ただそれでも、少なくとも自分は、本書の原題「RAT ILAND」ことアリューシャン諸島ハワダスク島のネズミ(侵入させたのは1780年に座礁した日本の漁船)を根絶したことは偉業であると思うし、ニュージーランドでわずか一桁まで減ったカカポ(フクロウオウム)が、現在100羽を数えられるまで回復したことは、とても嬉しく思うのである。