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悪女とは彼女のような人物を指すのだろうか。
そもそも、悪女、なのだろうか?
イングランドで生まれたローラはインド、スペイン、ロンドン、パリ、バイエルンへと放浪する。
恋多き女、類まれなる美貌、様々な感情を投影する激しきダンス!
彼女は行く先々で人々を魅了する。
そして、行く先々で人々は彼女を糾弾する。
それでも彼女は涼しい顔。
私が何をしたというの?
私の生き方についてこられない方が悪いのよ、と。
その生き方は奔放だ。
自分のやりたいように生き、愛したいものを愛す。
やりたくないことはやらないし、自分の心に常に正直だ。
一般の人はそうは生きられない。
多かれ少なかれ抑圧された中で生き、耐えることを強いられる。
しかし彼女は違う。
ローラがルートヴィヒ国王にロマの生き方を語ったように、彼女自身もまた自分に嘘をつかず、地上のおきてや人が決めたおきてを信じない。
だから彼女は魅力的で、疎ましい存在なのだ。
「普通」の外にあるものは、わからないから知りたくなる。
わからないから、恐ろしい。
彼女は激しい生き方をした。
そしてそれらしい最期を迎える。
容姿は衰えていても、誇りは捨てなかった。
哀れ?いや、厳かな死であった。