紙の本
数学の面白さをこういう形で身を以て示してくれた良書
2010/02/22 21:28
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
数学は面白い。その面白さの理由(あるいは秘密と言ったほうが良いかもしれない)はたくさんある。
そのうちのひとつは、凡そ関係ないと思われていたものが繋がってくるからだ。例えば有名なオイラーの公式に於いては、それぞれ全く関係のない定義で習ったはずの円周率πと自然対数の底eと虚数iがひとつの等式の中に収まってしまうのである!
この本に出てくる例で言うと、フィボナッチ数列の一般項がちゃんと数式で表すことができ、しかもその数式の中にルート5(5の平方根)が3度も登場するということである。このややこしい式にn=いくつと代入しても見事に答えは整数となり、しかも前項と前々項の和になっているのである!
あるいは、例えば sin x のような単純な関数がテイラー展開することによって、まるで手品みたいに無限次の多項式に置き換えられてしまうのである!
そういう数の神秘をこの本は教えてくれる。そして、そのための言わば狂言回しとして登場するのが3人の高校生である。まずは数学好きの少年でかなり数学が得意な僕、そして僕の同級生であり、ほとんど数学の天才と言って良いミルカさん、1学年下の女生徒で、数学は好きだけれどそれほど得意ではないテトラちゃん。──カッコ良くて時として高圧的なものの言い方になるミルカさんと、僕に憧れてつきまとう、やや粗忽でバタバタしたテトラちゃん、というキャラの描き分けがしてあるのが楽しい。
だが、この3人はあくまでこの数学の教科書の狂言回しでしかない。例えば『博士の愛した数学』の3人の登場人物なんかを想像してはいけない。この本における設定や展開は小川洋子のあの小説と比べるほどのものではない。問題が出されて3人がそれを解く(いや、解けない場合もあるので「解こうとする」と言うべきか)──単にその繰り返しの物語である。ただ、下手すると眠くなるだけの数学の授業を少しく潤すために措定された狂言回しなのである。ストーリー自体が感動を呼ぶようなものではない。芥川賞作家のような筆の冴えもない。ただ、この作者としては精一杯頑張って書いている。ちゃんと余韻らしきものも残っている。
数学の面白さの秘密のもうひとつは、答えはひとつしかなくても解き方はたくさんあるということである。現にこの本の中でも同じ問題を僕とミルカさんが別々の方法で解いて見せる。
そして、この本の魅力は、数学の解法と同様に、数学の面白さを教える方法もまたたくさんあるということをこういう形で見せてくれるところである。
そういう意味で大変意欲的な数学書であると言える。僕はそういう作者にとても好意を持った。
by yama-a 賢い言葉のWeb
紙の本
数学ガール
2013/08/14 04:07
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Toshi - この投稿者のレビュー一覧を見る
数学を勉強しようという気になりました。
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紙と鉛筆を用意しなかったので、目で追う程度にとどめたが、割と面白かった。ここまでとはいかなくても高校時代に似たようなことをやっていたような。ミルカにあたる人は♂だったけど…。そういえば、数学惚れ込んでる女性は、身近では今までに見たこがない。
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某先輩の机の上にあってなんとなく興味を惹かれたもの.簡単なところから聞いたことの無いような話まで.これを読んだら数学が出来るようになる訳じゃないけど,読み物としてはいいんじゃないでしょうか.こんな風に数学を追いかけるのも面白いのかなぁと思いつつ,やっぱり自分はどこかで挫折してしまいそう・・・
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技術書をたくさん書いている結城浩氏の小説ということで非常に興味がありました。内容はさすがに難しく途中でついて行くことができませんでした。何回か読んでいくと理解できるのかなと。
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「蹴りたい背中」を意識しているのだろうか ミクラ 妹系キャラのテトラ
俺だったらミクラを一方的にしゃべらせはしない 彼女の出す宿題もストレートに解答しない、彼女には受身になれない。
素数 素因数分解のやりあいならいくらでも応じるが 複素数で回転の説明をするなら、大気の運動や台風の説明 予測に役立つ等 応用効果を問答するかもしれない。
しかし、だんだん難しくなっていく
ミクラからの一方的なラブアタックだけど、私だったら溶け合えないと思う
半径が0の単位円のワルツでもねw
ゼータ関数 シェパード音階 コンボリーションは私も理解していないから・・・
バーゼル展開もそんなに速く理解はできないだろうw高校生には
ここまでくると ついていくのがやっとだ でも 最後まで読める。
が、テトラちゃんは余計だと思う、最後までw
すうと、頭の中でイメージと計算をしながら、でも結局 これは
数学を理解している人しか理解できない、官能小説かもしれない。
ちょっと引用
ミルカさんは踊るように歩む。
放課後の図書室。僕たちの他にだれもいない。
彼女の足音だけが聞こえる。
「ミルカさんは―僕からいつも離れている。同じ距離だけ離れている。円周上だね。単位円かな」
途中略
「私たちの腕の長さの和が1ならね。」
途中略w
ミルカさんが目を開ける。
「半径が0でも―」 ミルカは驚くほどの力で僕を引き寄せる。
そして
「半径が0でも―離れてる?」
眼鏡同士が触れそうなほどの距離まで滑らかに顔を近づける。
僕はなにもいえない
そして。
半径は0でも円は円 たった一点からなる円。
そして
僕は・・・
僕たちは。
無言のまま、
ゆっくり顔を漸近させ――
この先は読んでね
きゃー
よく考えたな、こんなべたなシーンw
メグライアンもやらんと思うぞw
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純粋に楽しめました。数学――例えば、フィボナッチ数列とかテイラー展開、そして対数や虚数など――は、学校へおみやげとして置いてきてしまいましたが、読み進んでいくうちに、ああ確かあったあった、あの頃も楽しんで方程式を解いていた、と懐かしさがこみ上げました。しかもかなり高度な数式を遊び心を入れながら解き明かしていきます。単純に解いていくという単なる専門書ではなく、ちょっと甘酸っぱいストーリーの中で数学というものが語られています。思春期の不確かな部分と、数学という記号や数で証明できるものとの対比がお見事です。
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地下鉄で読んでいる人を発見、タイトルが面白そうなので、予約しました。
中身はけっこう難しい、というかちんぷんかんぷん。その中身をストーリーで読み進ませてくれる工夫有り。
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高校生の≪僕≫と同級生のミルカさん、1年後輩のテトラちゃん。この三人の対話から様々な数学の問題が紡ぎ出されていく不思議な物語。
高校数学レベルといってもかなりのハイレベルなので、途中で付いていけなくなりました。
数学の読み物でも数式を出すと、売れないと言われる業界の中で、この本は数式の美しさを真正面から描いている。その潔さに感服。
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「数学」について目から鱗がおちた瞬間があった本。
これは教科書でもなく技術書でもなく小説です。
小説ですが「数学」について主人公と2人の女の子を通して、わかりやすく説明してくれます。
今まで勉強してきた「数学」(忘れてしまっていますが)の本質が見えてきます。
(途中からは難しくて理解できない部分もありましたが)
また、「数学」の世界の奥深さを感じさせてくれます。
学校の数学では、公式の暗記や公式の使い方、計算の手順を勉強してきましたが、なぜその公式が成り立ち、解くためにその手順を踏むのかがよくわかります。それを追うことは、いにしえの数学者と同じ感動を味わうという、プロローグの一節にも感銘を受けます。
「数学は時を越える」「数学で時を越える」
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正直難しくて飛ばしちゃった数式もあったけど、やっぱりこういうのを読むと数学って美しいなと思う。
数学好きにはお薦めの一冊。
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高校数学より少し難しめの話も出てくるけど、
ある程度数学が得意な人にはオススメかも。
ただ、登場人物の人間関係が物足りない。
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複素数やサイン、コサインで完全についていけませんでした。
主人公とミルカさんの微妙な関係にドギマギしっぱなし。
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数学を楽しむことができました。
完全に萌え系・・という訳ではないはず。
最初の方は高校生レベル
最後の方は・・・
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こんな感じのテキストなら苦手な数学も結構楽しく解けるのではないかと思われます。
学生時分に出合いたかったぜ。