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富士の樹海にある穴に落ちたことから始まるこの物語は、奇想天外な内容ながら人の心の深いところを描いた作品だった。
内容(「BOOK」データベースより)
起業するも手形詐欺に遭い借金まみれになった青年・カズヒロ。代議士の裏切りで罪を着せられた中年秘書・コタニ。御曹司を射止めるも調停離婚させられた元OL・タツコ。人生に行き詰まり富士の樹海に迷い込んだ彼等は、幻の洞窟―“穴”で生活する老人・ロクさんに出会い、自給自足の共同生活を始める。洞窟の奥底で稀少金属が見つかったとき、彼らは日本転覆を企てる!?
富士の樹海といえば自殺者の多い場所としても有名で、ここを舞台とした物語はいろいろと描かれている。この「穴」もそのひとつだが、重苦しい雰囲気はみじんもなく、穴の中での需給自足も含めてコミカルな雰囲気で物語は進んでいく。
幻の洞窟の住人ロクさんの素性は分からないが、そこに集まってきた面々はいずれも社会でうまくいかずドロップアウトして者ばかり。それでも洞窟生活を続けていくうちに、徐々に元居た社会に復帰したくなってくるというのが面白い。
欲を捨てて逃げ出したつもりが、ちょっとしたことで逆に欲がわいてきて再び社会に戻りたくなる。実際にも起こり得る話だなと感じた。
それでも、穴の中や樹海の中で繰り広げられる”縄文生活”の描写や内容は、読んでいて思わず何日か体験したくなるような面白さがある。原宏一さんの作品にはこういった非現実的な話がときどき出てくるが、どれも実際に体験したくなることばかりだなと感じた。
社会を飛び出してきて、再び社会に戻ろうとする。哀しさの中に漂う人間味や生きることの難しさや尊さなど、いろいろと感じることの多い一冊だった。
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自殺しようとまたは今の自分の状況から逃げ出すために樹海にやってきた男女が日本転覆を企てます。
壮大な計画が現実を前にあっけなく崩れていく様、その計画の精神が女性に受け継がれていく皮肉のような結末にやられたって思いました。
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101
つまらん結末、、。
途中でネタ切れになったか。
中盤以降はそんな結論かなと思っていたが。
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ウーーン。
原さんの小説は、奇妙なシチュエーションを作って、その中で主人公が奮闘するのが定番です。今回も自殺目的でめ富士の樹海に入った主人公達が独立国を作りに巻き込まれる話なのですが。。。
どうも主人公達がみんな性格が悪く、奮闘と言う雰囲気も無く。そんなわけでちっともシンパシーが湧きません。そうなると奇妙な設定そのものの非実現性が浮き上がってしまい。
なんだかつまらないなあと思っていたら、出世作の「床下仙人」よりも前に書かれた作品だそうです。
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起業するものの騙されて、失敗。
どん底に陥り富士樹海をさまよう。
自殺してしまうんだけど…
穴に落ちてしまう。
なぜか助かってしまい、そこで出会ったオッサンとの自給自足の生活に!
なんだかワクワクしてくる物語
面白いですわぁー
ラストは、ちょっと
ええぇーこんなんなーんですけど。(笑)
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うわー!こんなラスト!
いつギャグです、ドッキリです、って展開になるのかと、モヤモヤしながら読み進めて、残り少なくなるラストまでのページ数にジリジリしてたら、ギャグでもドッキリでもなく、この内容で、本気だった!
なんて、なんて、残念なんだーーっ!
…読み終わった直後の素直な気持ち。
あとでもう少しまとめた感想に書き直すかも?
エンターテイメントに徹している小説なのかと思い、矛盾する部分や、実際にはそんな風に行かないだろうな、と思う部分、各キャラクターの悪い意味でのキャラクターらしさに多少の不快感を感じながらも目をつむったら、展開がサクサク進むのと、ロビンソン・クルーソーのようなサバイバルの面白さから、最後まで一気に読み進めることができた。
ここは、今後の展開に重要な伏線なのかもしれない、どんでん返しがくるのかもしれない、と注意して読み進めたけれども、結局、そういったものは起こらなかった。
麦わらのおじいさんが消えたように見えたところは、特に、重要な伏線だと思いこんでしまった…
作品紹介に「痛快」と書いてあったので、痛快さを求めすぎてしまったのかもしれない。
各キャラクターたちは、自殺への行動を実際に起こすほど、思い詰め、人生に苦しんでいるようには到底見えなかった。
特に、女性キャラの「タツコ」は、本当に不快だった。
オジサンが描く「バカでかわいい悪女」という印象。
どこをとっても、自殺するほど思い詰めた女がそんな行動するわきゃないだろ、どれだけオッサン的に都合がいいんだ、と呆れた。
ま、物語に、ある特定の人達にとっての「華」が欲しかったのだろうな、と。
エンターテイメントと呼ぶには、ラストがひっそりと終わるし、人間を描きたいのであれば薄っぺらだし、読後感はとても残念だ。
小説というよりは、成人誌の読み切りマンガを読んだ気分。
物語として勢いはあるし、途中で飽きさせられなかったので、自分が小説のターゲットに該当していないだけかもしれない。
新規開拓を目指して、本屋さんで目についたものを購入したのだけれど…
なんだかすいません。
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富士の樹海で縄文時代の暮らしを実践し、国家建設をもくろむという奇想天外な話だが、富士山にまつわる伝記、鉱物の知識、政治の世界、商社の世界、策略的な女性視点、自殺に向かう人の心境、狩猟や食料の貯蔵・調理法、洞穴の中の様子、どれも深い知識や取材がないと書けない話に関心をし、人が熱を帯びて宗教的な考えに陶酔していく様も複数視点から描かれて、冷静さを持ちつつ、盛り上がり、非常に面白かった。これまでに無い発想。こういう小説に出会えると得した気分になる。