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歓喜の恐怖
恐怖と歓喜の顔は全く異なるようでいて、その実よく似ている。
嬉しさのあまり体が震えるのも、恐ろしさのあまり放心するのも、どちらの感情であっても大した違いはない。
そして現実と虚構も全く異なる世界のようでいて、鏡越しにつながっているにすぎない......
『心変わり』
バレンタインデーの今日、できれば聞きたくない言葉だ。
今まで好きだった相手に全く魅力を感じなくなってしまうこと、なのだが、心変わりをしてしまったあなたのことは今でも私は好き、そう言われて嬉しいのは時と場合によるだろう。
場合によってはそれは恐怖へと続く「心変わり」。
『弔花』
優しい祖母と暮らしていた主人公、エド。
祖母の家にやってくる「友人」たちはどうも生きている人間ではないようだ。
それは祖母の妄想なのか、それとも本当に彼らがやってきているのか?
結末は温かいかそうでないか、それは読み手が決めること。
私にとっては背筋に冷たいものが流れるような結末だったけれど。
吸血鬼や奇術師などが登場する、めくるめく幻想の世界。
そこで見る夢はあなたにとってどんな夢だろう。
本書がその夢の、悪夢の始まりとなりますように。