投稿元:
レビューを見る
勇猛果敢な剛、有能な治世者としての柔
清正の重要文書約40点をフルカラーで掲載
最新研究成果で読み解き真の姿に迫る。
第1部 青年期編
第2部 朝鮮出兵編
第3部 徳川時代幕開け編
あとがき
加藤清正年表
あとがきによると加藤清正については1000通近い文書群があるというが、清正に関する研究は遅れているそうである。本書では清正に関係する一次資料約40点をフルカラーで掲載している。
新聞連載記事が元ということもあって大変読みやすい。これだけのものが2,000円+消費税で買えるということは大変お得である。本書を読んで、意外と知らなかった清正の人間性が窺えたのは面白かった。
疑問点がいくつかある。主計頭任官は財務部門で秀吉から期待されていたことを示すというが何が根拠だろうか。当時の官職は実際の仕事を伴わなかったはずである。主計頭任官の背景として蔵入地の代官を命じられた事をあげているが、イマイチ説得力に欠ける気がする。とは言え残された書状からは清正が大名として領国経営に腐心する様子が窺え、単に武辺一辺倒では無い事がわかる。
参考文献一覧や、執筆者の専攻が載っていない点も不満である。本書を読んで更に、掘り下げて清正を知りたい人に対し、道しるべとなるものがあっても良かったと思う。