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光が輝いていても、高野さんの写真ってあまり眩しい感じがしない。それどころか、曇り空を含めた構図なんかが逆に印象的に感じられるような写真だったりする。そして、リオを撮っているので、もちろん、そこの空気を伝えるものだったりするのだけれど、この場合、写真家としての高野寛さんのヴィジョンとシャッターを押す感覚が創作的なのが、アウトプットされた写真たちをみてみるとよくわかる。撮り手の意図と、被写体となった空間がみせるそのときの表情が、こういう形でマッチングしたのだな、というように楽しめる。そこには、たぶんに、高野さんのクリエイティブ運として、他の人には出合えない面白いシーンとめぐりあい、そこでちょちょいと高野さんの感覚がぶつかりあって、出来あがっている写真たちのような気さえする。いや、目ざとく、僕らだったら気がつかなかったり、流してしまうようなシーンを、拾い上げるフィルターを持っていて、そこでその素材を料理しているのかもしれない。総じていえば、そんなクリエイティビティを感じさせながら、いたずらっぽいポップさがうかがる写真集だった。
エッセイのほうは、おもに、ブラジルと高野さんの付き合いってこうこう、こういう感じなんだ、というのと、ブラジル、ひいてはリオってこういうところでこういう人たちがいるんだ、という紹介といった内容だった。淡々として抑制の効いたクセのない文章で、そのおかげで伝えようとされていることが、ストレートに伝わりやすくなっているように読み受けた。