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春の庭 みんなのレビュー

151(2014上半期)芥川賞 受賞作品

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みんなのレビュー157件

みんなの評価3.2

評価内訳

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紙の本

思いこみと現実との狭間を揺れながら溶けてゆく。

2018/11/19 18:18

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る

太郎はアパートの一階に住んでいる。
もう取り壊しが決まっている。全部で八室で、四室が入居中。
ほかの部屋はもう出ていった。

L字型のでっぱった部分の部屋から外を見ていると、
二階のベランダから女が頭を突き出しているのが目に入った。
よく見るとスケッチブックを開いている。
しきりに何かを覗いている。

太郎は、女や、ほかの住人とも顔見知りになる。
じわじわと広がっていく人間関係。
これまでも人は住んでいたはずなのに、アパートに残る人が
少なくなるのに反比例して結束のようなものが芽生えている。

消えゆく人間関係、消えゆく建物、残された現実。
その狭間に揺れながら場面が展開していく。

前半は普通に読めていたのだが、中盤から誰の言葉か
考えるようになり、終盤はセリフが完全に入り混じってしまう。
そういう演出なのである。
ついには、太郎も、女も、アパートも、女が見ていた水色の洋館も、
場面や舞台までもがモザイクに吸い込まれて溶けてゆくのである。

春の庭という幻想空間。

わざとそうしているのは分かったのだが、
残念ながらうまく入れなかった。
それにしても最近の芥川賞受賞作は難しいなあ。
前からかもしれないけれど。

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2014/08/18 20:56

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