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1970年に出版された著書「日本人とユダヤ人」で有名な山本七平氏が、外交をテーマに日本と各国の違いに焦点をあてながら、自分たち(日本人)とは何かを論じた一冊。
本書を読んで最も驚いたのは、本書が著者が1976年~1988年に世に送り出した著書・記事などを再構成したものにも関わらず、現代においても変わらず輝きを放っていることです。
外交をテーマにしていますが、国家間の交渉に留まることなく、ビジネスやプライベートにおいても示唆に富む内容となっています。そして、本書で一貫して著者が言わんとしていることは「相手を知ることは言うまでもなく当然のことであり、何より大切なことは相手を知ることによって『自らを知る』こと」であり「自ら(と相手)を知ることで初めて、問題解決に必要なアクションを起こすことができる」ということだと感じました。相手を知っただけでは何もはじまらず、それにより自分との違いを認識し、そのギャップを埋めることが必要であると。
これもまた当然と言えば当然だとは思いますが、自分を知るという実践は、相手を知るよりもさらに難しく、たゆまぬ訓練が必要であることを改めて思い知らされました。
1970年~1980年代から、現代に生きる我々に届いた名著、だと思います。
【本書抜粋】
「称揚面」だけが見える、「否定面」だけが見えるという現象は、日本人であれ外国人であれ、相手にあるよりも、むしろ自己の内にある「心理的要因」に基づくのであろう。
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