紙の本
科学に関心のある人へ広く薦める
2017/06/20 16:54
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投稿者:でんしゃずき - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近ー勿論刊行当時である-科学に関する不正・疑惑が頻発しているのは現代科学の異様さが現れている姿で,科学研究の場の知的堕落が始まっている兆候では,と作者は説く。
更にP10では「すぐに明快な答えが得られない問題が私たち周辺に多数あることを忘れて,あたかも科学によってすべてがわかるかのように考えるのは傲慢なのである。」とまで書いている。
文系・理系という分類が存在するが,理系である科学も文系である諸学問との関わり無しにはやっては行けない,ということを認識させられる1冊である。
本題からは外れるが,「要素還元主義への懐疑的視点」を説明するにあたり,「地球温暖化への懐疑的視点」も「例」として出しているのが印象に残った。
著者の提言する「新しい博物学」は楽しそうな提案である。自然科学というか本書の内容が苦手に感じられる人にも最後まで読みとおした際の「ご褒美」になりそうだ。
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現代科学が新発見ばかりに重みを置く異様さはビッグサイエンスに見えることができる。ビッグサイエンスとは国家が主導して巨大な費用をかけ、多くの研究者を動員して、まだ誰も見たこともない新発見に挑むための装置プロジェクトと定義できる。
科学の現在のありさまをしっかり見つめ、未来にいかなる責任を負っているかを考える、新しい科学の試みを社会に適用しようとするときには幅広く周知を集めて選択していく、科学はそんな習慣を身に着けなければならいだろう。
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今の文明は科学なしでは成り立たない。
科学者達は神の如く振舞ってきた。
国家予算規模の金を費やしていくことで科学的成果をだしている。
観測結果の記録ではなく新発見が重視される。
これからは博物学的な科学を個々人で実践していく。
薄っぺらい本なので簡単に読めます。
どちらかといえば原発反対・科学から得られる利益より感情重視の人が読むと良いのではないかと思います。
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最近、新聞等で原子力発電や科学論文ねつ造について多くの文を寄稿している著者。
今回は、現代の科学・技術が抱える問題点を指摘。
かなり手厳しいと感じましたが、それは僕が事情を知らないからなのでしょう。
池内氏はきっと、もっともっと明らかにすべきものを知っているはず。
科学が人類の福祉に供することを願います。
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要素還元主義としての科学という表現にハッとさせられた。科学者のはしくれとして真摯に社会と学問と教育に取り組むことを改めて考えた。金や時流に流されずに学問を積み重ねるためには自分自身の立ち位置を自己説明できないとすぐゆらぐだろうなと思った。
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科学的進歩や新発見が絶対的に重要だという前提に問いが投げかけられてます。特に科学が、国益、主に軍事的目的のために使用されることへの危惧や、原発をはじめとする、安易な科学技術の社会への利用ついての警鐘など。
まあ若干かたよった見方なのかもしれないけど自分は同意できた。
たとえば原発に反対と賛成の人の間には根本的な考え方の違いがあって、互いに議論が平行線みたいな感じがする。その間をうまくとれる何か、ってないんだろか。
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私たちは、科学の恩恵を受けていると同時に、科学に頼らないと生きていくことが出来なくなりました。また、最近では科学に問いかけることは出来ても、現代科学では答えることができない「トランスサイエンス問題」も語られるようになってきました。このように、科学を取り巻く状況は日々変化しており、問題点も多く抱えています。
本書第Ⅰ部では、これまでの科学を「異様に発達してきたもの」と捉え、科学が歩んできた道のりと問題点を述べています。そして第Ⅱ部では、第Ⅰ部で論じた問題点などを踏まえ、これからの科学のあるべき姿、歩むべき道のりを提案しています。
本書に難解な専門用語はなく、全71ページということもあり、誰でもすぐに読むことができます。特に、科学を探求する場である大学の様子や、研究者を取り巻く環境、競争原理がもたらす弊害についても述べられており、非常に面白いです。興味のある方はぜひ、ご一読ください。
(ラーニング・アドバイザー/数学 NAKAMURA)
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