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特攻隊の物語なのに,いや特攻隊のものだからこそ,特攻機の整備員が主人公。
「私にはこの戦争を語る資格はない。若い命を自らの手で死地に送り続けた私が何かを,語ればそれは自分に対する弁明にしかならない」。主人公がラストに語る言葉。これは重い。
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実際に戦地に向かうわけではない整備兵の、
心の葛藤が痛いほどで、
辛くて、悲しくて、苦しいくらいだった。
でも、実際はこんなもんじゃなかっただろう、きっと。
教科書で習うだけの、有名な歴史や史実だけじゃなくて、
こういうことがあった、
こういう人がいたってことを、
忘れてはいけないと思うし、
だからこそ、少しでも知りたいと思う。
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熊谷さんは私にとって当たり外れの多い作家さんなのですが、これは当たりでした。
大戦末期の知覧を描いた作品。そう、特攻隊です。
ただ特攻隊員では無く整備士を主人公に置いたところが目新しく。
特攻隊員のために昼夜を忘れて修理・整備を行う一方で、それが結局は多くの若者を死地に送り込むことに矛盾を感じて行く主人公。その周りに次々に現れる様々なタイプの特攻隊員たち。
特攻隊員の心情を描くのは、どうしても無理がある感じがするのですが、それを送り出す整備士ならば忖度できるような気がします。それが、この作品がリアリティを感じさせるところかもしれません。
ISの自爆テロという狂気の沙汰を不思議な気持ちでニュースで見る昨今ですが、特攻も同じようなものです。そのした狂気が70年前の日本でも起きていた事を不思議に思います。
熊谷さんというと私の頭には「邂逅の森」などの動物ものが浮かぶのですが、この作品も読み応えがあり、どこかノンフィクション的な感じのする熊谷作品が私の好みなのかもしれません。
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戦争を整備士側から描いた物語り。搭乗員とは違った視線で戦争を捉えていて、特攻という行為に関わる苦悩が描かれていた。国のために特攻していった人達のことを想うと、戦後軽々しくその是非を語ることはできなかったのだろう、と感じた。