紙の本
国民的ソロアイドル歌手のいた時代
2014/08/30 10:24
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はソロアイドル歌手の歴史(発生・興隆・衰退)と現在のアイドル事情を踏まえた「アイドル論」を、クリスさんの自伝を交えて語られています。昭和の香り漂う本に仕上がっていて、満足しました。ただ、第6章の竹内まりやとの対談は、つまらない提灯記事でした。
クリスさんによると、アイドル歌手の定義は「明星や平凡といったアイドル雑誌の表紙を飾ったことがある方々(36ページ)」で、一般的には、71年デビューの小柳ルミ子さん、天地真理さんが始まりとされているとのことです。
そして、80年代前半に全盛期を迎えました。歌番組も大量に放映されていた時代です(92ページ)。アイドルの活動期間は2~4年程度(223ページ)で、新旧アイドルの交代劇は大きな楽しみの一つでした。
ところが79年のウオークマンの登場により、音楽事情が激変。アイドルも変容を余儀なくされました。つまり「ピンポイント型の聴き方」が始まり、万人に愛されるソロアイドルが廃れていきます(45ページ)。そして、おニャン子クラブの登場で致命的なダメージを受けます。「素人スターを輩出しすぎたために、ソロアイドルの消滅へとつながった(42ページ)」わけです。田村英里子さんを最後にソロアイドル時代は終わったとのクリスさんの分析です(43ページ)。
老若男女、万人が歌を共有していた昭和から平成に移ろい、全世代が同じ歌を共有する時代ではなくなりました。つまり、ソロアイドル歌手が切磋琢磨して成長する「国民的ソロアイドル歌手の時代」は終わったのです。アイドルの盛衰や変容という視点で、日本社会の変遷の一端が見えてくるというアプローチは面白かったです。
本書は、2万枚ものレコード・CD・DVDや膨大な資料を所有しているクリスさん(229ページ)のウンチクを、ほんの少し披露したにすぎないでしょう。昭和の文化史として、様々な切り口で、「アイドル論」を語り続けてほしいと思いました。
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リアルタイムで70年代、80年代のアイドルを見てきて、好きだった人には懐かしく楽しめる内容だと思います。
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キワモノ扱いされている感のあるクリス松村氏であるが,音楽評論家としての腕は確かなのではないだろうか。本書では,チャートを詳細に分析し,著者なりの知見を加えてまとめている。評論家としての実力は,山下達郎,竹内まりやも認めている。
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膨大な情報量とリアルタイムの経験が詰まった一冊。
その詳しさや分析力はさすがと言ったところだが、どうも著者は典型的な「昔は良かった」論者のようで、やたらと現在のアイドルやアイドル商法への恨み言が点在するのには少し閉口してしまう(著者からは感情論に陥らないように資料を提示する努力が見られて、否定派の論理的根拠にはいくらかなり得るだろうが、それでもドギツい)。
とはいえ、著者の70-80年代アイドル愛はひしひし伝わってくるので、面白い本ではある。
巻末に年表があるともっと読みやすかった。
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70~90年代にかけてのアイドル、(すぐ消えてったアイドル達も含む)めっちゃ詳しい。
巻末の竹内まりやの対談が面白かった。
”Mariya's Snngbook" 購入決定!!
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筆者がレコード時代から、無類のレコード好き、アイドル好きなことがよくわかった。その中でどのようにして日本のアイドルが誕生し、そして変遷してきたか、一ファンとしての視点からはなかなか興味深い。しかしながら、そのような趣味を認めない父親との問題など家庭の問題の記述もある。
冷静なアイドル論というよりも、同時代を生きた一人の証言者としての記録として読むほうが良いのかなと思った。
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クリス松村さんは生まれた年を公開していないけど、某記事によると、2016年初め時点で57歳のようです。(私の4つ上)
生きてきた時代が重なっているので、そう・そう・そう・そう! と感心しながら遠い記憶を呼び覚ますうれしさがありました。40~50歳代で歌番組を観ていた人は読むべきです。
松浦亜弥は別として、田村英里子が最後の大型アイドル(グループではなくピンで活躍していて、原石(=イモねーちゃんな感じの少女)をファンが見出して育てる感覚)というのも同意ですし、最終章の竹内まりやさんとの対談も面白かったです。
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錆び付いていた数多の引出しを、片っ端からガタガタと開けてみたような気分でした。
言い換えれば、情報量の多さに多少なりと疲れつつも「久々に引出しの整理ができたわー」という満足も得られる読後感。
とにかく懐かしい名前が沢山!!
クリスさんは冒頭で「名前を列挙しているだけのようにみえる箇所も~」と断りをいれていたけど、アイドル好きはその字面だけで自分の記憶を呼び起こし、文章にない情報を補完できてしまうので(もちろんそうはいかない人もいるにはいる)、これはこれでとてもありがたかったです。
自分が幼いながらに巷の音楽ランキングになんとなく違和感を抱くようになった理由、その頃はそれを表現する知識も語彙もなかったから「なんとなく」で片付けていたけど、クリスさんの分析でやっと合点がいきました。
おニャン子クラブ好きだったけど、瞬間的なランキング荒らしみたいになってるのはなんか嫌だったなぁ。そうか、これだ、これがモヤモヤの理由だったんだ!
巻末の竹内まりやさんとの対談もとても面白く、思わず「Majiで恋する5秒前」「けんかをやめて」は本家とカバー(?)を聴きくらべてしまいました。
三浦海岸フェスティバル、一度でいいから行ってみたかったなぁ…。