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今年(2014)3月上旬にマレーシア航空機の消息が不明になり、私も最後はよく把握していませんが、不明のまま忘れられているような事件がありました。筆者は、事故ではなく、事件と断定していようですね。
インターネットなどの技術が発達しているわりには、わからないで終わってしまう事件が現在でも起きてしまうのですね。数日前から、それらの真相?に触れている本も読み始めたので、それは読み終わってからアップするとして。
この本は元パイロットでありジャンボ機を実際に操縦されていた杉江氏により書かれた本です。パイロットらしくその観点からこの事件はどうだったのかと考察されています。最終的な見解が少なくとも私が知る限りでは無いこの事件について、この本に書かれていることは参考になりました。いずれ真相が出てくるとイイですね、ケネディ大統領暗殺や911事件のように。。
私も仕事がら時々飛行機に乗って外国に行きますが、日本の空港に着陸するときにいつもほっとします。このような事件が起きないように祈るばかりです。
以下は気になったポイントです。
・現代のハイテク機は、コンピュータを駆使した自動化システムにより平常時であればパイロットはラクにフライトできる。その反面いったんトラブルが発生すると、何から手をつけていいかわからなくなり、パニックに陥りやすくなる(p18)
・1965年にシンガポールからマレーシアから離脱独立したのを契機に、マラヤ航空は両国政府の共有となり1967年にはマレーシア・シンガポール航空となった。1971年に共有が解消されて、分離。(p20)
・1977年当時の日本航空は機長全員管理職制度を導入していて、部下の副操縦士は上司に何もいえず、クアラルンプール事故を起こした(p27)
・MH370便と官制、マレーシア航空や政府とやりとりする手段として、無線・トランスポンダー・エーカーズの3種類がある(p66)
・対象の便の航跡や、燃料切れになった地点は、エーカーズにより当局側は把握していたと考えられる。(p74)
・何の連絡も無く航路をはなれて左旋回してインド洋方面にむかったこと、トランスポンダーのスイッチが切られたこと、事故ではなく事件の可能性が高いのに公表していない(p77)
・日本では事故が発生すると、国交省が所轄する運輸安全委員会と警察が同時に調査を始める、この方法はアメリカの方法ではない。他の部分(整備、飛行場、官制、パイロット訓練等)はアメリカ式なのに(p105)
・安全な航空会社の選び方として、アメリカのメジャー航空会社の、大型機で運行する便を推奨する(p112)
・現在の機長の航空法上の権限とは、出発時にすべてのドアが閉められた後は、到着していずれかのドアが開かれるまで、たとえ航空会社の社長であれ内閣総理大臣であれ侵す事が出来ない(p190)
・三人から二人乗りになったことで、航空機関士が受け持っていた業務を二人でカバーする必要が有る。そのためにグラスコックピット仕様を採用、全ての計器類を配置できないので、3種類のディスプレーに全ての情報を内在、表示をデジタル表示にした(p196)
2014年11月3日作成
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謎の航空機失踪事件。機が失踪したおかげで巨万の富を得た者がいるんじゃないの?半導体の特許を独占できたのはロスチャイルドじゃないの?という陰謀説を頭に入れながら読むと楽しいですぜダンナ。
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今の若手はダメだ的な発言や、デシタル表示の計器を批判してアナログ計器を賛美するなど、老害感が鼻につくところではあるが、内容は素晴らしく面白い。著者にしかないであろう専門的な知見のもと、納得感のある結論に持っていっている。
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ウクライナ上空で撃墜された17便ではなく、今年の3月にマレーシア上空で行方不明となった370便の事件について、かつて現役機長として現場空域の飛行経験もある著者による分析。事件発生直後に流れた「中央アジアまで飛行してタリバンに引き渡されたのでは」、「米軍が極秘に機体を保管しているのでは」等の様々なゴシップ的な推論に対して、現在私たちが知りうる情報と機長としての経験をもとに検証していきます。非常に理路整然と選択肢を一つ一つ消してゆく著者の推論の進め方には飛躍がなく、説得力があります。その著者がもっとも可能性が高いと推測するのが「機長自らの政治的な意図を動機とした事件ではないか」というもの。なぜその結論に収斂するのかは本書を読んでみてください。
この事件に限らず、様々な過去の航空機事故を引き合いに出し、その根底には「空の旅は何よりも安全が最優先で、人生のよき思い出となるべきであって決して悲劇の現場となってはならない(本書あとがきより)」という著者の強い信念が伝わってきます。
日本では航空機に限らず事故調査が「再発防止」よりも「刑事責任追及」に重点が置かれている現状に対する警鐘など著者の様々な提言にも共感できる部分が多いです。
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発生が2014/3/8。現時点(2014/10)でも謎の事件。情報網がこれだけ発達した社会にあっても、「消える」という事態が生じているのだから、尋常ではない。航空安全の専門家が様々な可能性を提示する。真相が明らかになる日は来るのか。
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機長がかなり衝動的に犯行を決意したと言う可能性も決して否定できない。
なぜ事件の核心に迫らないでそれらしい解説をするのだろうか?
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そういや、あの事件はどうなったんだろう?と気になって読んでみた。
真相自体は闇の中ではあるが、少なくとも有り得ない仮説が何なのかは理解できたとともに、ケースとして出された過去の航空事故の解説が簡にしてよくまとまっておりよかった。
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マレーシア航空370便墜落事故について知りたくて読書。
著者は元JALの機長であり、航空機事故を検証してきたエキスパート。
この370便が消息不明になる1週間前にマレーシア航空に乗ったのでよく覚えている。
本書は、航空機の構造、これまでの航空機事故の原因、事故後どう変わったかなど分かりやすく説明している。
その上で事故当時に話題になった様々な説について著者の見解を述べている。
後半はマレーシアという国の歴史や政治、国内事情について言及し、結論は、機長による犯行だったのではないかと匂わせている。実はそれが権力闘争に関わる部分なので国家ぐるみで隠蔽している。だから、事件の真相は永遠に明らかにならないだろうとしている。最後の真相が明らかにならない点は現実になっている。
著者はマレーシア政府に強い疑念と不信感を持っているようだ。読み進めていくと、2017年2月の金正男氏殺害事件でのマレーシア政府や警察の発表や対応。そして、不可解な手打ちで事件をウヤムヤにしたのは、マレーシア航空370便墜落事故とまったく同じなのではないかと思ってしまった。
もっと早くこの事件に着目して経緯を追っておけば、金正男氏殺害事件後のマレーシア当局の発表に不要に振り回されずにすんだかもしれない。
本書を読んで、マレー人と華人、さらにマレー人の中での権力闘争の歴史、現状などマレーシアの国内事情をもっと勉強する必要があると痛感。
日本人は、マレーシアを過大評価しすぎて現実のマレーシアが見えていないのかもしれない。いい機会なので、今後へ備えてマレーシアの歴史や国内事情についてもっと学ぼうと思う。
読書時間:約1時間10分
本書は知人からいただいたものです。有り難うございます。
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2014年3月に突如消息を絶ったクアラルンプール発北京行きのマレーシア航空370便について、その事故から数カ月経った時点で、機体に何が起こったのか、今どうなっているのかを、あらゆる可能性を考慮した上で真相に迫ろうとするもの。取られうるべき安全対策への提言もある。
要約すると、マレーシア政府当局の対応は不誠実であり、最も可能性が高いのは機長の自爆説、インド洋を南下してオーストラリアの西で墜落した、というのが著者の予想だった。
調べてみると過去に2冊この著者の本を読んだことがあり、漠然と退屈な本を書く人だなと思っていたが、やっぱりこの本も冗長な感じが拭えず、結局「~したものだ」のような経験談の自慢と、事故そのものに関連して航空機の仕組みについて説明でページを費やす形になっていて、わざわざ単行本にまでする意図は何なのだろうと思う。ハワイのコナ空港到着時でコックピットで笑顔で写る著者の写真、とかp.30にあるけれど、事故をテーマにした本で不謹慎ではないのかと思う。結局事故をネタにして書ける航空ネタを書いたような形になってしまっていることが残念。事故に関しては何度も同じことを繰り返しているだけだった。
全く触れられていないことだけど、管制官の側としては予定されている航空機が全く来なかったら、色んな機関に連絡して捜索に当たるんじゃないのかなあ。「一般に軍のレーダーは民間機には関心がなく、特段の条件がないと、不明機の便名や高度なども把握できず、スクランブルによって追尾することはない。(pp.215-6)のようなことが何度も書いてあるが、スクランブルはしないにしても軍のレーダーにも管制官が連絡して捜索するのが自然だと思うんだけど。
ところで9.11前はコックピットに乗客を入れていた、という話は何となく聞いたことあったけど、結構普通にやっていた(p.186)、というのはちょっと驚きだった。あと2011年の9月にANAが浜松付近で「背面飛行」した(p.179)という事故は知らなかった。背面飛行、なんて旅客機が出来るのか?機内はどうなるのか、という。
今度マレーシアに行くので手に取った本だった。(23/07/17)