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幕末期の史実の間隙に、作者の想像の翼を大きく羽ばたかせたような作品だ…恐るべき謀略?深く複雑な劇中人物達の思惑の錯綜?少年が大人の男になって行く頃の回想?父を超えようとしていく息子の想い?色々な形容が出来そうな作品だ。読後の“余韻”のようなものも深い作品だ。
新しい文庫本で、未読の方が多いであろうから、物語の仔細には言及しないようにしたいが…劇中のバクーニンが語る“革命”、“自由”、“世界”、“愛”…どれも何か考えさせられたり、ぐっと来るものがある。
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全1巻。
「シーボルト事件」で有名なシーボルトが、
後年、息子を連れて日本に帰ってきた時の、
息子視点での物語。
息子がストーリーテーラーな立ち位置。
これは結構すごいかも。
主人公とも言うべき位置に、
ロシア人革命家を配置。
動乱の気配が漂ってきた日本に、
外国人革命家が種をまく。
幕末を、外国人目線で見るだけでも珍しいけど、
それだけなら他にも似たようなテーマの作品はある。
でも今作はさらに、
維新が革命だったという事を
改めて読者に気づかせる。
これは結構目から鱗だった。
勝海舟や小栗忠順、清河八郎、高杉晋作といった
幕末のビックネームが
ロシア人革命家に何かしらの影響を受け、
それぞれの革命に向かう設定は
少し鳥肌もの。
どちらかというと静かでメリハリが無く、
結構引っ張ったネタがやや肩すかしだったりするけど、
シーボルト青年によるストーリーテーリングのせいか、
翻訳された海外の青春小説のような趣があり、
それほど物足りない感じは無かった。
爽やかさがじんわり胸に残る。
案外、映画化とか向いてる気がする。
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幕末、横浜に現れたロシアの革命家・バクーニンと日本の志士たちの話。シーボルトの息子の目線で書かれる。
読後感はそれなりな感じで、感動とか新鮮さはない。
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シーボルトの息子が主人公だなんて。。。。意外すぎて、フィクションかとおもいきや、実在する人物ではあるみたい。ストーリーは日本の有名人勝海舟や高杉晋作なんかも出てくるし、臨場感があって引き込まれる。
バクーニンを調べたら、やっぱり存在してるし。。。笑
でも載ってた写真はイメージとは違う感じでした笑
でも葉室さんの作品では、武士が主人公の方が好きかな。大和魂というか、日本人の感情の繊細で奥ゆかしいところを描き出すのがとても上手だと思うからです。
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外国人憎しの異人斬りが横行する幕末、世界を相手にしたロシアの革命家、バクーニンが横浜に現れた。小栗忠順、高杉晋作ら幕末の志士と対峙し革命の本分を説くバクーニン。同時に勃発するイギリス公使館襲撃事件。彼は真の革命家か、ロシアが放った謀略の仕掛人か。革命と維新に揺れる時代の隠された真相が暴かれる。
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「オランダ宿の娘」の後日譚…というわけでもないのか?
日本地図を持ち出そうとして国外退去させられたシーボルトが幕末に再来日。その来日同行した息子アレクサンダーの目線で動乱の日本を描いた小説。
登場人物が豪華、勝海舟に小栗忠順、清河八郎、高杉晋作、外国勢もバクーニン(革命家)にスネルブラザーズ(武器商人)、駐日公使や、画家のハイネまで。同時代にうごめいてい彼らと、ヨーロッパ列強が歯牙にかけようとする幕末日本と、そうはさせまじともがく日本の摩擦によって起こる事件。
日本人ではなく、大人でもない。ある種無力な安全地帯にいる主人公の目線が、これらの人間模様や事件を捉える体で、葉室麟の筆が史実を小説にしていく。ここらの職人技は見事。
ただし、葉室小説に求めてしまういつもの清廉さや爽やかさが少々足りなくて、欲求不満になりがちなのは残念。そこら上手いことかさ増ししてくれたらお気に入りの小説になっただろうなぁ。
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時代物が好きで読みあさっていますが、思っていたのとちがいすぎました(^_^;
朝井まかてさんの先生のお庭番が好きで読んでいたのですが、その後の話っぽいかな、と思ったのですが。
シーボルトの息子からみた動乱の日本、というのには興味をそそられましたが、読んでみると世界史のよう…(^_^;日本史は得意ですが、カタカナばかりの世界史が苦手だった私には…(^_^;
すみません、脱落です…。
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私は歴史がさっぱりなので、そのあたりがイマイチわからず楽しみきれませんでしたが、多分、歴史好きな人からみたら江戸時代の新しい視点での進む展開がとっても新鮮で楽しい、、、はず!笑
私はよくわからない人ばかりだけど、多分歴史好きからしてみたらあーあの人!!!みたいな感じになるはず。
あの人こんなことしてたんだーみたいな。
いや、私は全くわからないんだけどね。
しかも、オランダ人目線の江戸時代っていうのもものすごい。その主役も日本大好きなオランダ人。出てくる外人、誰〜も知らないけど、ペリー
が開国させてからの日本っていうのだけは理解できたかなー?笑、?
というわけで、ある程度歴史に熟知してないと楽しめない一冊でした(-_-)勉強不足ですみません。笑
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大河ドラマの影響もあって幕末に注目が集まっているようだが、この小説の中にも攘夷浪人が登場する激動の時代を描いている。
ただユニークなことに語り訳はかのシーボルトの息子であり、オランダ人の目を通して語られる幕末の風景ということになる。真の主人公は革命家を自認するバクーニンというロシア人である。革命のためには少々の犠牲は仕方ないとする。人間的に嫌悪感を感じたシーボルトはその生きざまに触れるうちに次第に彼の考えを理解するようになっていくという話である。
ストーリーの中には勝海舟や高杉晋作といった名だたる人物が登場し、バクーニンの振る舞いに大きな影響を受けていく。実在した人物を核にしていることは確かであろうが、詳細には筆者の創作が多分に織り込まれている。
読みやすい文体で、展開もはやい。娯楽時代小説としてとてもよくできている。
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題材・切り口がユニークで面白くなるかと期待させられました。ただ、正直訴えかけるものが私には響かず。葉室さんで初めて外した感あり
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正直いまいち
幕末の時代を下敷きとした物語。
シーボルトの息子が主人公として、物語を語っていきます。
小栗忠順、高杉晋作らの幕末の武士がロシアの革命家バクーニンに影響を受けていく物語。
当時、日本に対して各国が食指を伸ばしている時代、さらに対馬がロシアに占有されようとしているところに対して、どう対応するか?
また、イギリス公使館襲撃事件が発生。
それらの事件の背景の真相は?
といった展開です。
これまた、史実をベースとした物語の展開ということで、残念ながら、期待した葉室作品とは違っていました。
具体的には、登場人物の掘り下げや、清廉さ、武士としての信念、熱い思い、そして、爽やかさといったものが感じられず、淡々と語られていく感じでした。
バクーニンの思いや、その周りの女性たちの気持ちも伝わっては来ますが、どうもすっきりしない。
ということで、期待が大きい分、ちょっと残念でした。
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小説ってのは前半の半分でテーマと謎を作り上げるんだな。対馬、横浜、江戸、ロシア、イギリス、アメリカ、蝦夷ローニン、シーボルトの息子は二つの事件のつながりを見つけられるのだろうか┉ 後半の半分にはそれが書いてあるわけだ。どう書いてあるか楽しみだね。前半部分における星火とは、江戸の夜空に流れたいくつもの不吉を予兆させるほうき星にあるようだが┉流れ星というといい意味合いの願い事とはここではとらえていないのである。そこらへんの場面の組み合わせかたはうまいんだと思うなぁ。そういうのは最初読んでたらシーボルトの子供は娘だと思って読み進めるような表現なんだ。それがある場面で男だったのかとなるんだ。そういうところにもうかがえる。そういうちょっとしたところにもよさがある。
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アレクサンダー・フォン・シーボルトの目を通して幕末の日本を描く歴史小説。アレクサンダーはシーボルト事件のフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトの息子である。父親のシーボルトは鎖国下の日本を訪れ、蘭学者達に西洋科学を伝えた。しかし、禁制品の地図等を持ち出したとして国外追放となった。外国のスパイと扱われ、それを冤罪と描いている。
江戸幕府が鎖国を止めると、シーボルトの国外追放処分も失効した。シーボルトは息子のアレクサンダーを伴って来日し、江戸幕府の外交顧問になる。ロシア軍の対馬占領事件が背景として描かれる。21世紀のロシア連邦のウクライナ侵略と重なる侵略体質がある。
小栗上野介、勝海舟、高杉晋作らが登場する。勝海舟は出世欲の塊の卑しい人物に描かれる。無政府主義者のバクーニンも登場し、幕末の日本人の思想に影響を与える点は面白い。だまされた人々や虐げられた人々が火炎瓶を投げることで憤りを表明する(220頁)。革命の原動力を感じた。
本書のバクーニンは自信満々な人物に映るが、終盤では政治犯としてロシアの監獄に収容された際の悲惨な境遇が描かれる。国家権力の弾圧は肉体と精神を蝕む。