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紙の本
日本でのうつ病の疾病観の変化
2015/02/24 10:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たい - この投稿者のレビュー一覧を見る
執着気質、メランコリー親和型といった気質中心の病因を仮定した「内因性」の病という見方から、「社会的ストレスによる」病という見方へと変化した。このように日本ではうつ病の疾病観が変化した、と本著作では述べられる。
電通事件をはじめとした裁判の判決によって、司法がこの疾病観の変化の動きを主導し、厚労省がそれらに追従する形をとり、国がよくも悪くも「うつ病」の社会的意味づけ、対策を牽引しているという。この点は、世界にあまり類を見ないそうである。そもそも昔から執着気質、メランコリー親和型をうつ病の主因と見てきた、その疾病観も日本独特であるらしいが。(「なぜうつ病の人が増えたのか」 冨高辰一郎著)
さらにSSRI解禁、自殺対策施策の各種予防活動、精神科受診と薬物療法の早期開始勧奨、精神科クリニック開業増加などがそれらの動きを後押ししたという点は、類似の著作で指摘されるとおりである。本著では、戦中世代の人と、現代人とでは「つらさ」を感じる、その主観的感覚のベースラインが変化しているのではないかといった指摘も、調査結果をひいてなされる。
本著作の論は、著者の長年の精神科におけるフィールドワーク、調査、翻訳活動などが下敷きになっており、重みが感じられる。ただ治療的アプローチの選択や病に対しての見方は、大学によっていろいろとヴァリアントがあるように思われるので、読んでいて著者がフィールドにした大学ではそうだったのだな、あるいは著者の接した患者さんたちがそういう人が多かったのだな、と感じる部分もないこともない。しかしひどく労力のかかる作業を下敷きにしているという点がゆるぎないため、読んでいていやな感じは受けじ、興味深く読み進めることができた。
近年はうつ病の診断であっても、双極性障害の治療が実際はなされているという人もよくある。今後そのあたりの変化も追いかけてほしいと感じた。
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