紙の本
挫けない性格と、知識の実践。
2015/12/02 21:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヲカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
何があろうとも、例え困難かも知れなくても、前向きに諦めないで頑張るための考え方の指標。
紙の本
メンタルの強さとユーモア感覚が救い。
2016/02/08 23:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハードSFでありながら、サバイバルものであり、命の物語であり、ヒューマンドラマであり、ユーモア小説でもある、という色々な要素を含んだ怒涛の580ページ!
アレスと呼ばれる火星探索隊の3番目、アレス3は、2か月の予定が予想外の出来事で6日で断念。
しかし、6人のクルーが引き上げる時、最後の一人だったマーク・ワトニーにパラボラアンテナの一部が激突。ワトニーは吹き飛ばされてしまう。
船長のルイスは断腸の思いで残り5人を探査機、ヘルメスに戻す。
ワトニーはパラボラアンテナにずたずたにされた・・・のだから。
しか~し、ワトニーは生きていた。火星に一人、取り残されるワトニー。
宇宙服が高性能で人体に影響は少なかったから。
ワトニーは、植物学者でエンジニア。ありとあらゆる知恵、気力、体力、時の運でもってワトニーは火星で一人生き延びる道を選ぶ。
植物学者であるので、まず、積んできたジャガイモを火星の気候を利用した装置で水他を作り、自給自足(火星で!)をめざすところから始まり、エンジニアでもあるワトニーは、あらゆる残された装置を駆使して再生をめざす。
火星の一日は地球が24時間だとすると火星は24時間39分35秒。これを1ソルとする。
ワトニーはだれが読むかわからないログ(日誌)をつけることにする。
最初は6ソル。(火星時間6日)最後はソル549までいきますから。
ワトニーは死んだもの、と思い込んでいた地球のNASA、ヘルメスの他のクルーはワトニーが通信機を復活させて、「ハロー」と交信してからが大騒ぎ。
生きていたワトニー。
一番この長い物語をひっぱることができた要素は、まず第一にワトニーのユーモア感覚。
火星宇宙飛行士に選ばれる位だから、メンタル、身体、人一倍優れているにしても、なんといっても何があってもいつでも死に直面していても(本当に色々あるんだ、これが)それをユーモアで笑い飛ばすメンタルの強さというか、楽天的性格というか、前向きに前向きに考えて、じわじわと五感をフルに活動させ、困難を切り抜けていくワトニー。
SFでありがちなのは、ショックな事があって、トラウマになっちゃうとか、狂気に走るとか、記憶を失うとか、いわばネガティブな事が多いのに、けろりんとしているワトニー、強し。
ワトニーが生きていたと知った地球、そしてヘルメスのクルーたちは、今度は時間との闘いになります。一刻でも早くワトニーを救出しなければならないのだから。
ヘルメスのクルーたち、特にワトニーを残して撤退を決定した、女性船長ルイスは責任を感じている。
さて、ワトニーは、ヘルメスのクルーたちは、地球の人々はどうするのでしょう。
いや~本当にドキドキしながら読みました。
スペースオペラやSFだと、タイムワープでひとっとび、みたいななか、地球と火星がこんなに離れているんだ、というリアリティ。
ワトニーが次々と考え出す生き延びるためのアイディア。
荒涼とした火星という星。
一人の命を救うために、全地球が一丸となる(裏にしっかり大人の事情あり)命の大切さ。
ばさばさと人が死んでいく物語ではなく、何十億ドルというお金をかけた火星探査躯隊の一人の命の値段。
でも、この物語の神髄は、「一人の命」をこれだけ必死になって守ろうとするという人間の基本的本能だと思います。
一冊の本でこれほど充足感を覚えたのは久しぶりです。
めげながらも、前に進んでいくワトニーに勇気をもらった気がします。
投稿元:
レビューを見る
火星に置き去りにされた主人公のサバイバルもの。
主人公が楽天家なので、あまり暗い感じにならなかったのが、年間ベストに選ばれた要因でしょうか。
ただ、その主人公の性格がちょっとリアルさに欠けるような印象を持ちましたが。
それ以外の科学要素については、まぁ、SF なので、そのくらいのことができてもいいかな?レベル。
枚数の割には読みやすいし、とても難しい理論が出てくるわけでも無いので、SF 初心者に向いているかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
必死に読み進めるハードSFも好きだけど・・・「火星の人」は平易なハードSF。これはこれで素晴らしい。
読後感はキャリンのあれに似てるかな?と思いました。
映画化はちょっと不安だな・・・
投稿元:
レビューを見る
有人火星探査で事故にあい、火星に一人取り残されてしまう。
食料は?水は?空気は?あらゆる知識と技術を駆使して、あるときは農家、あるときは建設屋、あるときは運転手となって1年以上火星でサバイバルを続けるのです。
震災で水が少なくなって、頭も洗えない状態が続いて3日目、かゆいし気持ち悪いし、心底嫌になったものですが、これが1年以上・・・こういうちょっとした不快感・ストレスがが積み重なって、ミスやパニックにつながってくるはずなのですが。訓練をつんだ宇宙飛行士といえども、ここまでいけるのかと思うほどユーモアたっぷりに生き延びていきます。
恐怖を感じるのは正しい状態、でもパニックにつなげてはいけない。正に生き延びる条件はこれに尽きるなぁ。
ディックだったら、発狂していく姿を描いていくんだろうなぁ、と思ってしまうのは最近PKDに侵されてきている証拠か・・・。
映画化の話も進んでいるそうで楽しみ。本当に監督はリドリー・スコット?
独特の青い光を火星でどのように使うのかも気になります。
投稿元:
レビューを見る
2014年に読んだ本で、文句なしに一番!
文系出身には、わかりにくい部分があるが、
物語の進行、生還に向けた段階にあわせて
次から次へと訪れる危機を知恵、知識と行動力で
乗り切っていく姿には手に汗握りっぱなし。
ドキドキしながらニヤニヤして、プっと吹く。
なぜなら火星に置き去りにされた人間が
餓死、窒息死、事故死の危機にさらされながら
(手を変え品を変え、火星が彼を殺そうとする中)
決して、悪ふざけでも、やけっぱちでもなく、
(ちょっとネタバレ含む)
「カブス、どうなってるかなあ?」
「ディスコですか。勘弁してくださいよ、船長」
「アイイイイイー!」
このユーモアというか茶目っ気、たまらなく魅力的。
なにより
「きみが打ち込んだ内容は全世界に生中継されている。」
に対する反応が最高。
投稿元:
レビューを見る
火星にたった一人で取り残されたクルーのサバイバル。紛う方なきハードSFである。火星のロビンソン・クルーソーと表されていたが本当にピッタリの例えだ。
最初は食料を作るための土づくり。酸素を作って、水を作って……と生存のための地味な作業から始まる。過酷な条件の中でも健闘する主人公だが成功と同じくらい次から次へと問題が起こりそれを解決していく。解決方法が凄いリアルというか科学的で、この物質が何リットルでこれがあるからこの物質は何リットルできて……とか、発生する熱量は何カロリーでとか、電力は何ワットできるからこれくらい賄えて……とこんなに具体的に数字を出して計算するシーンの多い小説はSFのジャンルを置いて他には存在しないだろう。というかSFの中でもこれくらい徹底している作品はあまり見かけないので、SFファンは「久々にハードなのが来たぞ……!」と興奮してしまうのである。
そしてそんな状況であるにも拘らず、主人公マークは非常にタフというか前向きでユーモアがある。マークの手記が基本の文章となるが、本当に軽妙な語り口である。割と序盤で地球側(というかNASAに)生存を確認され、以降は一人称となるマークの手記とNASAの面々を書く三人称視点が交互に書かれることになるが、巻末の解説にもある通りマ-クの語りのほうが圧倒的に魅力的。約580ページの厚い本だがどんどん読めた。
ネット上で無償公開で連載していたものを、まとめてキンドルに出したら三万五千以上ダウンロードされ、大手出版社から声がかかって製本化。20世紀フォックスが映画化の権利を取得……という経緯も面白い。ネット上での個人出版が容易になった時から、こういう人がどこかで現れると思っていたので、今までの出版業界では見つからなかったかもしれないタイプの作品を読めたことも含めて良かった。
投稿元:
レビューを見る
おもしろかった!今年読んだ本の中で、間違いなくベスト5に入る。
主人公マークがとても好感が持てる人物なので、思わず応援したくなってしまう。
また、どんな状況に置かれていてもユーモアを忘れないので、シリアスになりすぎずに読んでいられる。
マークが実行するあれこれは、あくまでフィクションであることは理解しているけれど、科学的で説得力がある。
投稿元:
レビューを見る
非常に面白かった。アクシデントで火星に一人残された宇宙飛行士のサバイバル&救出劇。
ハードSFなんだけどその辺りを意識することはないかな、リアルと言えば良いのかもしれない。文体もユーモアたっぷりなのが読みやすい理由だと思う
投稿元:
レビューを見る
すんごい面白かった。
自己で火星に取り残されたたった独りの人間が、数々のトラブルを即興で解決しながらいかに生還しようとするのか。
勿論、その(多分)科学的展開のみならず、地味ながら、主人公の鉄面皮といって良い程の冷静さとユニークが魅力。
文章は、これは作者が上手いのか、訳者が上手いのか。
元々ネットで公開されたこともあるのか、まったく、ブログでも読んでる感じだ。
ある意味むっちゃ地味だが、これは良い。
投稿元:
レビューを見る
SF何それ美味しいの?という人にも是非オススメしたい一冊。漂着モノのオーソドックスなプロットとはいえ、生存に繋がる一つ一つの可能性を検討・試行していく過程に興味を引き込まれました。地球との無線回復時の主人公の一言はいろんな意味で必読。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに、ググッとのめり込めるほど面白いSFに出会えた。
有人火星探査の途中、不運な事故により火星に一人取り残されてしまう主人公ワトニー。常人ならば、絶対心が折れてしまう状況なのだが、へこたれることなく、何度も絶体絶命の危機を乗り越えていく。
客観的に見ると大変ハードな内容なのだが、ワトニーの楽天的でお気楽とも言えるキャラクターが、重くなりがちな内容を和らげ、ユーモアすら与えている。
読み進めていくと、知らず知らずのうちに、アポロ13号のような実話ではないかと錯覚してしまうほどリアルだった。
それだけに、ワトニーが住んでいたハブの見取り図や火星での車両のイラスト、科学に関する素人向けの解説などがあれば、楽しさ倍増ではないかと感じた。
投稿元:
レビューを見る
いやあ流石に評判となるだけあって参った。傑作である。一気読み必至。これから読む人は時間があるときに読まれることを推奨したい。間違っても夜読もうとはしてはいけない。早くも今年のベストかも。それにしてもアメリカンは本当にカウボーイが大好き何だなあと思う。解説でも書かれているが主人公のモノローグ部分で発揮されるユーモアが主人公を救ったのだろう。
投稿元:
レビューを見る
火星での生存技術や、地球へ帰還する際に起きたトラブルへの対処は、妥当性が検証できないため疑念が払しょくできないが、それでもなんとなく本当っぽくて面白い。しかし国家をあげての帰還活動、中国の協力は、あまりにも国際関係を甘く見過ぎている。
投稿元:
レビューを見る
3度目の有人火星探査は、その6日目に発生した猛烈な火星砂嵐によりミッションを中止せざるを得なくなる。退避の最中、不運にも折れたアンテナが主人公マーク・ワトニーを襲う。砂嵐の中に姿を消したワトニー、脈拍ゼロを告げる生命信号。苦渋の決断で火星を去るクルー一行であったが…なんと、ワトニーは生きていた。
本書は、奇跡的に一命を取り留めたワトニーが荒漠たる赤の惑星で、地球への生還に向けて生き延びる姿を描いた傑作ハードSFです。
おおんもろい!!
面白い理由を事細かに記してしまうと、反って面白くなくなってしまいそうですが、魅力は大きく2つ。
1つは、水、酸素、食料、その他もろもろの問題に対して、徹頭徹尾、科学的なアプローチを行っていること。これが、本書がハードSFと評される所以でしょうが、こんなにも読みやすいハードSFは中々ないだろうなぁ(といっても、その科学的な描写はほぼ理解できてません…)。物語は後半、ワトニーが砂塵風に直面するところ、「さすがにここは運頼りだよなぁ」と思っていたら、太陽光パネルの発電量により砂塵風の輪郭を測定する方法で問題を退ける姿をみて、「すっすげぇ」と思ったのは自分だけではないはず。「複雑きわまる問題と解決のひとつひとつを検討しているうちに、そうでなかったら気がつかなかった些細なディティールが、マークの解決しなければならない重大な問題になった。」とは、解説で引用される著者の言葉ですが、よくここまで思いつくもんだ…
魅力の2つ目は、ユーモアたっぷりなワトニーの造形。ぶっちゃけ、このユーモアのおかげで最後まで楽しめて読み進められたものです。
「いやもう、すこぶる順調!生きのびられる可能性が出てきたぞ」→次頁「最悪だ。もう死ぬ!」
「アイイイイイー!」
「委員会の連中全員に、おまえらの母親は娼婦だと伝えてください。」
「なにゆえディスコ!?」
うーん、すばらしい。20世紀FOXが映画化するみたいですが、頼むからこのユーモアさは削らないでおくれよ。
ワトニーの魅力をもうひとつ。ワトニーは幾度も「こりゃダメだ」な状況にぶち当たるわけですが、きまって次のようなフレーズを発します。
「状況はきのうほど絶望的ではないような気がしてきた」
「事態は見た目ほどひどくはなさそうだ」
「解決できそうな気がする」
これは、わが身を振り返ってみて、ちょっと考えさせられるぞ。こういうフレーズは、解決に向けて頭をフルに搾らないと出てこないだろうなぁ。これから意識していこう。
ところで、2012年8月に火星探査機キュリオシティが火星に到着し、アメリカのオバマ大統領が2030年代半ばまでに火星の有人探査を表明するなど、なんだか火星に対して拓けた話題が垣間見られる昨今なだけに、(本書のような事故は決して起こってほしくはありませんが)火星をテーマにした本が注目されるのは嬉しいことですね。