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紙の本

不可解続くよ2巻まで

2015/07/31 00:35

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投稿者:でんしゃずき - この投稿者のレビュー一覧を見る

発送可能日が7日~21日となっていたので,入手不可か,と思ったが無事に入手出来た。スタッフの皆さんに感謝申し上げる。
JRグループが発足しなかった「國鉄」という組織が存在する世界で,研修を受ける高校生が主人公の話。今更気付いたが,テログループとの戦いを高校生にさせるということは,國鉄って就職先としてよっぽど嫌われてるんだろうと思う。
小説を漫画化した場合,情報量が減少するのは止むを得ないと思うが,本作の場合,國鉄のモデルは昭和62年3月31日まで我が国に存在した「公社国鉄」の筈だ。しかし,4ページ3コマ目をよく見ると,「國鉄」と「国鉄」は違う組織だと思われる。にも拘らずそういう説明は,無い。せっかく,TIPSという解説ページがあるのに。
本書最初のTIPSに,「寝台列車のほとんどが廃止されずに走っている」とある。「その理由」が知りたいのに,理由の説明は無い。読者に想像する楽しみを与えているわけだ。私は,エネルギー自給率向上の為だと思う。
敵と主人公の対話シーンが実に凄い。敵の言っていることもどうかと思うが,主人公の科白に説得力というものが無い。何故なら,少なくとも漫画版2巻までは,その科白を裏付ける描写が一切無く,ここで急に語られるからである。
主人公の書いたレポートもまた素晴らしい。上官の科白を素直に読めば,「線路を撤去すべし」となる。鉄道がテーマの作品でそういう風に持って行くのもどうかとは思う。ただ,現実には,「他事業者への移管」や「國鉄バスに置き換え」も「そう」ではあるが。尚,「こういう考えは理屈としてはたぶん,正しい」。が,物語の舞台がそもそも奇妙なので,「ここだけ」正しい理論を出されても「木に竹を接ぐ」様なものだ。それに「世の中,理屈通りに行くとは必ずしも限らない」のだから,違和感は否定出来ない。原作者の鉄道に対する思いをつい疑ってしまう。
TIPSの「北斗星」に関する記述も奇妙だ。「飛行機で1時間半で行けるのに16時間もかかるので,観光客向けの豪華な寝台列車として登場した」という意味の解説だが,続いて,「新幹線開業に伴って廃止も検討された」とある。あれ,そもそも「客層が重ならない」のだから,その判断はおかしい筈だが。そもそも,敵の名が明らかにJRをもじったものなのに,「現実にJRが採用したのと同じ名前」というのも奇妙に思う。また,東京―鹿児島中央を走る寝台はあるのに,上野―釧路や,飛行機・新幹線に対し,勝ち目のありそうな上野―函館の寝台が無い,というのも例によって「変」に思う。原作者は,「国と民間が事業を行う場合の方針の違い」を考えられた事が無いのだろうと推測する。更に,偶然にもやはり現実と同じ名の「カシオペア」という列車があるのに,ベルニナが何故「北斗星」を選んだのか気になった。
上野駅でのシーンも楽しい。「北海道では非電化区間があるので大型のディーゼル発電機を搭載した電源車をつないでいるんです」という説明の科白がある。ということは,本州内は機関車から客車へ電気が送られているか,架線集電で客車に送電するのだろう。もし後者なら「どんな形態の車両なのか」是非見て見たいものだが,そんなコマは確認出来ない。また,主人公は「お客様には親切にすること」と上官に答えているが,今までそんな描写は全く見た覚えが無い。如何に國鉄が上辺だけの姿勢で客を実際には大切にしていないのか,ここできちんと描いているかの様だ。
絵にも奇妙な点があるが,これは仕方が無いと思うので,悪くは書かない。
「これからどうなるのか」,3巻もそして原作も楽しみである。

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