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作者の言いたいことはよくわかるが、そこが肝となっており、肝心の物語と登場人物の造詣と動機が無理くりで違和感が残るため、物語としての感情移入がしにくい。3.11以降の現代を描く物語は避けては通れなくなってきており、当初のオブラートに包んだ語り方から直截的になってきているが、ここまで直截的なものは珍しい。
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一気読み。設定を踏まえると、軽々しく言えないのですが・・・面白かったです!
七里さん、いいですね!
ダイ・ハードと鉄腕アトム・・・あ、これじゃネタバレかな?w
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なんでだろう、殺人事件の解決についてあまり楽しむことができなかった。加瀬のがんばりは良いのだけど、イマイチ心に入ってこない。
それよりも原発で放射能を浴びながら仕事をされてる方々に対して、申し訳ないような気持ちで一杯になった。
政府や東電のお偉いさんもモチロンですが、離れていることをいいことにただボンヤリとテレビニュースを見ていただけの自分も何やら情けない。
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東日本大震災後の福島を舞台にした話。福島第一原発で働く同僚・金城純一を彼の自宅で殺害し、直後その現場で確保された犯人・加瀬邦彦が逃走した。彼を逃がしてしまった刑事・仁科が加瀬を追跡しながら、なぜ加瀬が逃走したのかの謎を解く。そこには某国による大きな陰謀が隠されており・・・殺人犯と思われていた加瀬は自分の守るべき者を救おうと奮戦した英雄だった。あくまでも物語ではあるけど、実はそんな隠れた英雄がどこかにいるのではと思わせてくれたお話だった。
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震災直後、殺人事件発生。
恋人の兄を刺殺した男は、逃走しある場所に向かう。
そこは事故直後の原子力発電所。
人は大切にすべきものを手にした時、どこまで強くなれるのだろう。
孤独な人生を歩んできた男の悲壮な覚悟。
徐々に明かさせる事件の真相と男に次々襲いかかる障害。
読者に休む暇を与えないスリリングな作品。
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中山七里さんの作品の中では、実質的に、
岬洋介シリーズを含む「カエル男」サーガ
(と勝手に名付けておりまふ…)以外の、
初めての、単発の作品となるでそぅか…。
中山さんお得意?の、グロぃ描写はなく、
ストーリー重視のサスペンスでしたが…、
主軸が、原発へのテロといぅ題材ならば、
それに、一点集中すればよかったのに…、
震災と福島第一原発事故を絡めたことで、
結果的に、もろもろブレちゃったかな~。
ほぼ全編で、各登場人物の言動を借りて、
原発作業員の職場や待遇の劣悪な現状や、
東電や政府批判をしてるけど、なんだか、
途中から、いぃ加減ゲンナリしてきた…。
特に、主人公に苦難が襲えば襲ぅほど、
作品から、心が離れていったよぅな…。
中山さん的には、自分の書きたぃ題材と、
新しぃ分野への意欲作だったかもですが、
結果は、中山さんのらしさやよぃ部分が、
まったく発揮できてなかったと思います。
厳しめの感想で、すみません…。
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3.11だけでも恐怖なのに、さらに怖い話。
しかも、ゾンビ出現。
「そこまでしなくても」と思いながら読み切りました!
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中山さんは本当に様々なテーマを扱うんですね。
スリル満点であっという間に読めてしまうけど、なかなか後味が悪かった。
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冒頭───
「まったく、何だってこんな間の悪い時に------」
普段の半分しか人のいない刑事部屋で仁科忠臣は一人愚痴った。
福島県警石川警察署刑事課に<管内に殺人事件発生>の報が飛び込んできたのは三月十六日午後十一時四十五分のことだった。現場は石川郡平田村、殺害されたのは世帯主金城和明の長男純一、三十歳。近隣住民の報せを聞いて駆けつけた平田駐在所の巡査によって、既に被疑者は確保されているという。
平成二十三年三月十一日、東日本大震災が発生。
日本はパニックに陥り、それから数日の間、様々な災厄が降りかかった。
なかでも、福島第一原発の“メルトダウン”は日本中を驚愕させ、恐怖のどん底に陥れた。
そのさなかに発生した福島県での殺人事件。
それは単に人間一人が殺されたという殺人ではなく、日本の屋台骨を揺るがす可能性を孕んでいた事件だった。
東日本大震災を扱ったパニックサスペンス作品はまだ少ない。
それは、震災がまだ復興のさなかであり、腫れ物に触るような扱いをせざるを得ず、小説として描きにくいというところがあるからだろう。
でも、この作品は震災を軽く扱うわけでもなく、逆に震災で肉親を失ったばかりの刑事を登場させることで、物語に厚みを出している。
被疑者の逃走。追いかける刑事。被疑者は何故逃げたのか?どこへ向かおうとしているのか?その理由は何なのか?
多くの疑問を読者に提示しながら、物語はスピード感に満ち、スリリングに進んでいく。
中山七里氏のこれまで作品は、ともすると仰々しい日本語表現が多用され、なかなか物語に入りづらかったのだが、この文章は安定していて、サクサク読み進められた。
日本語表現の腕を上げましたなあ、七里さん。
後半、被疑者の逃走の目的、殺人を犯した理由などが明らかにされるにつれ、器の大きな作品だと思った。
ただ、最後の被疑者の行動などで、やや齟齬が感じられた。
詰めが弱かった点は否めない。
だって、水銀傾斜スイッチが傾けば爆破するということだが、途中での建屋の壊滅的な描写を読んでいると、すでにスイッチが作動していても全然不思議じゃないと思ってしまったのだけれど------。
四分の三まではとても面白く読めたのだが、最後の最後で、がっかり。
うーん、残念だ。
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原発事故を背景にしたサスペンス小説。
テーマや内容が重いだけに、著者の主張を思われる社会批判がステレオタイプ的なのがもったいないです。
なぜ邦彦は一旦逮捕されてしまうのか、どうして大怪我しているのに一人で対処しようとしてしまうのか、など発端と結末がとってつけたような感じなのも残念です。
大切な人たちを守る気持ちが大事なことは重々伝わってくるのですが、いまひとつ感動につながらないのは設定や展開に無理があったからのような感じがします。
その中でも邦彦のゾンビ的生命力を持った活躍は面白かったです。
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唯一無二の親友を殺した-。東日本大震災の混乱の中で起きた殺人事件。逃走した被疑者が向かう先に隠された、驚愕の真実とは。壮絶な人間ドラマを通じて魂の咆哮を描く社会派サスペンス。
私がこれまでに読んできた中山七里はいずれも力作だったが、初めて期待外れの作品に遭遇した。神戸と東日本の2度の震災と原発事故の描写が詳しすぎて、肝心のストーリーの方には特段の目新しさがなかったからだ。
(C)
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3・11から5日目に発生した殺人事件に端を発するミステリなのですが、でっかい海老フライを頬張ったら大きいのは衣だけで、肝心の海老がなんてちっちゃい…的な物足りなさを痛烈に感じました。著者に期待するところが大きすぎるのかもしれませんが、この人はやはりどんでん返しが持ち味だと思うのです。
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あれれ、なんだかすごく真面目な中山七里さん。いや他のが不真面目だというわけではないけれど、もっとこうエンタメ的で、素材がダークな割に暗い気持ちにならないのが持ち味だと思ってきたのだけど。
どなたかが「露悪的社会派ミステリー」とその作風を呼んでいて、うまい!と思ったのだが、今回は直球の社会派ミステリー。悪くはないけど、中山作品に期待するのはこういうのじゃないなあというのが正直な感想だ。
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目的を果たすために逃走する殺人犯の青年とそれを追いかける刑事の物語。震災と原発がベースだけに軽々しくは言えないが、原発についての裏側が描かれていて何ともやるせない気持ちになった。
作品としては今までのタイプとは違った感じの逃走劇だったが、青年があまりにも不幸を背負いすぎていて辛くなり、更に話が進むにつれてラストが予想通りだったので色んな意味で辛くなった。
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3.11直後の福島を舞台に、ある目的のために逃亡する容疑者と、それを追う刑事の物語。
中山さんお得意のラストのどんでん返しもなく、グロテスクな描写も少ない。今までとはちょっと違った雰囲気の作品。
被災地の悲惨な状況や東電の隠ぺい体質、原発作業員の過酷な労働などがかなり詳細に描かれている。きっと中山さんが訴えたかったことなんだろうけど、ミステリの部分がオマケのようになってしまっているのがちょっと残念。でも、タイトルは秀逸。
自らの家族も行方が分からないのに、職務に専念する警察官や自衛官、護るべきもののために突き進む加瀬の姿に切なくなる。極限状態のなかで、人はここまで自己犠牲の精神を発揮できるのか。震災から3年半、被災地から距離がある分、他人事で忘れがちだけど、いろいろ考えさせられる作品。