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新しい本だったので新作かと思い図書館で借りました。
なんとチャーリー・チャンが登場する話でした。
古いものですが、最近再販されたもののようです。
読み始めてしばらくは事件など起きないような感じだったのですが、事件が起きてからは様々なヒント、証拠などが出てきて登場人物が活躍します。
こういうのもいいなと思います。
論創海外ミステリシリーズのようで、他にもたくさんあるみたいです。また探して読みたい。
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少し前に「ハワイに行きたい病」がピークに達していた時に、どう考えても行けそうになかったので、ちっ、仕方ねえ、ハワイが舞台の小説でも読むか!と、やさぐれながら検索したらこの本が出てきた。
ハワイが舞台の映画はけっこうあるけど、小説って意外にないんだなぁ、というのがその時の印象。(日本人が書いたものは除外)
まあ翻訳されてないだけなのかもしれないけど。
で、その時は近所の図書館になかったので、ふて寝して、解説本などを読んでお茶を濁していたのだけど、引っ越した先の図書館にあったので、借りて読んでみた。
これが意外な拾いもの。めちゃくちゃおもしろかった。
ミステリファンにはチャーリー・チャンと言えば超有名どころなのかな?
でも私はふだんミステリは好んでは読まないので、これまで聞いたこともなかった。
太っていて英文学をこよなく愛する中国系移民の巡査部長。なんとおもしろい男なのか。
読み始めて驚愕したのだけど、なんと初版は1925年。
たぶん物語の時代設定もそのあたり。
年配の登場人物たちが「80年代のハワイ」を懐かしむせりふが頻繁に出てくるのだけど、それはディスコブーム全盛期の1980年代じゃなくて、その100年前の1880年代、つまりハワイ王国滅亡直前の時代のことを言っているのであった。
悪い噂が絶えない叔父が殺され、ボストン出身の堅物のおぼっちゃま、ジョン・クインシーが一族の不名誉な情報の流出を防ぐため、小うるさい叔母に頼まれて事件の真相を探っていく、という話なんだけれど、シルクハットやT型フォードが出てきたり、長い長い船旅が出てきたりと1920年代ならではの小道具がとっても新鮮。
それでいて、ストーリーに古臭さはまったく感じなかった。恋愛あり、アクションあり、胡散臭いチャイナタウンまで出てきて、話の展開はむしろ1980年代の方のハリウッド映画みたい。
そして何より、色とりどりの花、虹、雨、波やサーフィン、と私が渇望していたハワイならではの情景描写も堪能できた。
あと、ものすごく興味深かったのは、日本人の描かれ方。
移民1世や2世の日本人たちの姿がところどころで見える。
戦後の経済大国ニッポンを背負っているビジネスマン、という姿ではなく、お手伝いさんや運転手という、低賃金の労働者として描かれる日本人。全員脇役なんだけど。
ああ、きっと慣れない異国で苦労して必死で生きているんだなぁ、なんて、なにやら妙に切ない気持ちになった。日本人が登場するだけでどきどきした。
もちろんパールハーバーはもう少し後の出来事で、大恐慌も少し先。二つの戦争の狭間の好景気に沸く ”Roaring 20's” の時代。
たぶん禁酒法まっただ中ではないかと思うんだけどお酒を抑制している気配が登場人物の誰にも全然ないのもおもしろい。
本土から遠いハワイだからなのかなぁ。
「アラバマ物語」なんかでは、30年代より後の話にもかかわらず、禁酒法の影響がまだしっかり残っていて、誰もがお酒にはすごく敏感に反応している感じだったのだけど。
こういう、前後の歴史を俯瞰できる立場で読めるのも、この古い小��を敢えて今読むおもしろさの一つかも。
中国系の名探偵って、当時すごく新鮮だったんじゃないかなぁと思う。今も、私的には新鮮だけど。(探偵小説をあまり読まないので他の人にも新鮮なのかは分からない。そういえば、ポワロも確かベルギー人の移民、というか、亡命者だったような・・・)
最後に、ひとつだけ・・・
日本語訳が衝撃的なまでに変だった。もう笑うしかないくらい。過去10年で読んだ悪訳ワースト1かもしれない。申し訳ないけど。
新しい訳だからって古いものより良くなるとは限らないのね。勉強になったわ・・・
完全に直訳と思われる文章が多かったので、頭の中でしっくりくる意味に置き換えながら読んでいたのだけど、どう置き換えればいいのか全然分からない不思議なのもけっこうあった。
たとえばこれ↓
「わしが貧乏だからだ。娘はみんなの前で恥をかかされた。落後者のくせに、ニューイングランドの名門、栄光に輝く、きりっとした顔立ちのピューリタンと仲間付き合いをするなんて身のほど知らずにもほどがあるって言われた」(P139)
( ゚Д゚)??
きりっとした顔立ちのピューリタン??
ののしり言葉の文脈として斬新過ぎる・・・
どうしてこの訳になったのか、めっちゃくちゃ気になったので、オリジナルの英文を探してみた。(ほかにも、「どうしてこうなった」訳は数えきれないほどあったが、これが一番不可解だった)
”Because I was poor. An outcast, my daughter humiliated, not good enough to associate with these New England blue-blooded ―― these thin-lipped Puritans with a touch of sun ――”
どうも「thin-lipped」が「きりっとした顔だち」ってことになっちゃったみたいだ。日本人には「薄い唇」という言葉で想起される典型的イメージが特にないから確かに訳しづらいけど・・・
どっちかっていうと意地悪、という印象の言葉だけどなぁ。あるいは口が堅いとか厳格で近寄りがたい感じ? とにかくここは「東部の名家」という抽象観念についての比喩的な言及であって、顔つきの話でないのは確か。thin-lipped Puritan、て割と定型の組み合わせの表現かな?という語感なんだけど。
まあいずれにせよ、こういう違和感ありまくりな訳が頻繁に登場して、この小説の価値を大きく損なっている。それがなければ5つ星だったんだけど。
訳者のあとがきで、宮脇孝雄さんにご指導いただいたと感謝の言葉が書いてあったけど、ここで師匠として名前が出されるのはかなりのマイナスポイントですよ。宮脇さんの翻訳関連本、愛読していたが・・・
最近の純文学を読んでいると変な訳に遭遇することがほとんどなくなってきていて、たいてい「いい訳だなぁ~」とほれぼれするけど、この間の「IQ」といい、推理小説を読むと変な訳にぶちあたる確率が高すぎる。もしかして推理小説って新人翻訳者の練習場なのかな? それともスケジュールがめちゃくちゃタイトで推敲する時間がないとか? 編集者も中身を一切読まないのか?
いろいろ疑問が残ります。
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だいぶ昔の作品らしく日本人に対して「は?」ていう表現がちらほら。この時期に実際に海外で働いた日本人はすごいな
なんて感想が真っ先に浮かんでしまった。チャンはきっと魅力溢れるキャラクターなんでしょう。テレビにしたらコロンボとかポアロとか…?
現代のミステリーに慣れてしまっているからか読み終えるまでなかなかリズムに乗れなかった