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わりと王道的な展開だけど、こういう話は好きです。
夏目友人帳のにゃんこ先生的なサトリがいい味出してる。
1時間程度で読み終えてしまえる簡易な内容だけど、その分記憶に残りやすい。
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妖怪サトリのスタンスが
バーティミアスを思い出させ
懐かしい気持ちになった。
あっちは悪魔で、悪魔メイン
こっちは人間メインだけど。
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冒頭───
「どうですか? 体がだんだんと暖かくなってきましたでしょう」
クッションのきいたソファーに座り、うっとりと目を閉じているジジババ達の間抜け面に話しかける。
「あら、本当。なんだかぽかぽかしてきた」
髪の一部を紫に染めたばあさんが、感心したように声を上げる。
「そうでしょう。これが1000ボルトの効果なんです」
おれは練習を重ね、今では標準装備になった『柔和な笑顔』を浮かべてゆっくりとうなずく。
──────
第五回野生時代フロンティア文学賞受賞作。
確か「本の雑誌」か何かで面白いと紹介されていて、図書館に予約を入れた一作。
読み始めていきなり大笑い。
久々に、本を読んでいる途中で大声を出して笑った気がする。
“(P11)
主人公が今夜落とそうと画策している女性と食事をしている場面───
「ねえ」腕を伸ばし、里美の手を握る。その手はしっとりとしめっていた。
───俺の気持ち、わかってるんだろ?
確かにそう言うつもりだった。
「三日もすれば、効果が実感できるはずです」
突然転がり出たのは、ウォームヘルスのセールストークだった。“
ブハハハハ。ここで一気に引き込まれた。
何が原因か分からぬが、ウォームヘルスというソファータイプの健康器具の販売員である主人公護が言葉を発しようとすると、どんな時でもウォームヘルスのセールストークに関連する台詞に置き換わってしまう。
おかげで、護はもはや他人と話すことができなくなってしまう。
うさばらしに山へバーベキューに行ったとき、護は他人の心を読むことが出来る子供の姿をした謎の妖怪『サトリ』に出会い、動物のタンを食べれば治ると教えられる。
タンを食べると症状は治り、まともに話せるようになった護だったが、それも束の間、今度は一切の声が出なくなってしまった。
護は再び『サトリ』に教えを乞うために山に出かける───。
とにかく、自分の意に反して発せられる護の言葉の数々に大笑い。
前半の勢いの良さに比べ、後半は少し失速気味になるが、それでも色々な仕掛けが施してあり、一風変わった味のある小説だった。
文章もしっかりして、何より、発想の面白さがこの作者の取り柄だと思うので、今後どんな作品を書いていくのか、非常に楽しみだ。