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英国を舞台にしたミステリだが、著者はドイツ人。本国ではかなり人気のある作家らしい。
登場人物はそれぞれ秘密を抱え、人間関係はぎくしゃくしている。被害者以外は誰も彼も不審者……という、サスペンスものの王道を行く展開。
上巻では特に人間関係の歪みを丁寧に描いており、破綻しそうでしない綱渡りの関係も緊迫感がある読みどころだと言える。
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久しぶりの海外ミステリ。登場人物がたくさん出てくる作品というものも久しぶりに読んだような気がします。(笑)
休暇を過ごすために英国ヨークシャーのスタンバリー・ハウスに集まった3組のドイツ人家族。単に仲が良い間柄というのとはちょっと違う様子。微妙に緊張感が漂っています。
上巻では、その人々のキャラクターとそれぞれの関係性を丁寧に説いていきます。でも、どうやらここに記されたことがすべてではなく、隠された秘密がある様子。
それにしても、それぞれ何かしらの問題を抱え、これだけ性格に難があるような人々が、せっかくの休暇を一つ屋根の下で過ごすというのが解せません。いったいどのような結びつきがあるというのか?
いつ事件が起きてもおかしくないという雰囲気の人間関係ですから、大量殺人が発生しても然もありなんと妙に納得してしまうのが恐ろしい。(笑)
この作品は、ドイツ版イヤミスでしょうか!?
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訳がとてもいいと感じた。
堅苦しくなく、訳書にありがちの漢字詰め込みガチガチ読後感がまるでなかった。
あらすじからワクワクしながら読んだが、
ストーリー展開としては、淡々と進む。
スピードミステリではない。
それに、謎解き、犯人探しが主体という視点でもない。
それぞれの人間がもつ「狂い」から何が発生し、
どれが日常レベルの狂いで、どれが犯罪になる狂いなのかを一覧で見せている。
しかし、結末まで読者が気が付くことなく事件が進行する。
悪、即、斬 みたいな構成ではない。
狂いの許容、修正、納め方には国の違いなんてないのじゃないかと感じさせる。
単にミステリとしてではなく、
是非下巻まで読んで、登場人物たちの事件の受け止め方
まで考え、感じさせてくれる。
まちがいなく、良著。
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続けての外人作家。
描写とリアル感が優れていると感じます。
相変わらず登場人物の名前には、??がついてしまうほど
名前が脳みその中に染み込んでこない。。。(笑)
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イギリスの古い屋敷で休暇を過ごす3家族の話。上巻は、その3家族の屋敷での過ごし方や、人間関係の様子などが主に描かれていて、後半殺人事件が発生する。下巻は、登場人物たちの過去や人物像をおりまぜながら殺人事件の真相に迫る。この作品は、ミステリーというよりヒューマンドラマだと思った。3家族の関わり方をとおして人間関係の難しさや、異常なタイプの人間が一人二人いることで周りがおかしくなっていく様子がよくわかる。人間描写や心理状況がわかりやすくて、読みやすかった。ついつい感情移入してしまいそうな感じ。結末は納得できたし、いい感じの終わり方でよかった。
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シャルロッテ・リンクを初めて読んだのが、つい先日、『裏切り』である。
たいそう面白かったので、シリーズの続きの出版を楽しみにしているのだが、
過去の作品はさほど関心が沸かなかった。
それがである。
我が積読山脈の裾野に、上下きっちりあるではないか!
というわけで、早速読んだのであった。
結論を言えば、面白かった。
しかし、上巻は少々きつかった。
5組の夫婦、カップルが出てくるのだが、それについてのあれこれが描かれる。
10代の恋、夫婦の仲、さらには親子のもめごと、カップル同士の仲 etc...
いやいや、そんなに描写されましても、ええと・・・・・・
読む支えになったのは、いきなり一人殺されている場面だ。
それから少々過去に戻って話が描かれる。
いずれこう進んでいくのだという、言わば予告があったから、読み進んでいけた。
予告通り、いや、予告以上に事件は起こり、面白くなっていく。
誰と誰が夫婦なのかは、メモしたほうがいいだろう。
誰だっけ? がなく読んでいけて、私はとても楽だった。
舞台はヨークシャーで、主な登場人物はドイツ人だ。
作者シャルロッテ・リンクはドイツ人である。
13才の時に旅行で訪れて以来、イギリスに夢中なのだそうだ。
この『沈黙の果て』も、先日の『裏切り』も、いかにこの殺人が行われたかという、トリックを暴くものではなく、なぜ殺人をしたのか、をテーマにしている。
「ミステリーにはトリックがないと」という方には向かない作家なのだろう。
しかし面白い。
ベストセラー続出の、ドイツの国民的作家というのも無理はない。
ぜひ一度読んでほしい。
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ドイツの大人気作家の力作。
前に読んだ「姉妹の家」よりも面白いです!
英国ヨークシャーの別荘に集まったドイツ人の3家族。
何かといえば行動を共にしている仲のよさなのだが‥
大学教授のアレクサンダーの妻イェシカは獣医で、初めてこの屋敷に滞在しています。
後妻なのでこのグループにはまだ馴染みが浅く、先妻の娘には反抗期の年頃でもあって反発されている。
視点はどんどん変わりますが、イェシカが一番多く、この女性が感じがいいので救われます。
別荘の持ち主パトリツィアは美人でリーダー格だが、完ぺき主義のきつい女性。
その夫はそんな妻に疲れている。
カリスマ・セラピストと、大人しいその妻。
男たち3人は学生時代からの親友という。
別荘のかっての主の隠し子だったと信じる男性が登場、パトリツィアの叔父として相続権を主張してくる。
憤慨するパトリツィアだが‥?
ややこしい人間関係がじわじわと描かれます。
事件が起きたことはわかっているのですが、その展開は下巻で!
さすがの緻密な描写で、だんだんと盛り上げていくのが上手い。
息が詰まるような人間関係がはたして‥?
ミステリ作家というよりはドラマチックな作風のエンタメ作家だと思いますが、この作品はミステリと言っても良いかな。
翻訳も良いと思います☆
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視点が入れ代わり立ち代わり進行していくスタイルではじめは登場人物の名前を把握するのに時間がかかったけどなれたらとても楽だった。クローズドサークルものは昔大好きだった金田一少年ノベルスをほうふつとさせて、結構好きなほうなのでこれから下巻を読むのが楽しみ!原書で読んだらたぶん倍以上時間がかかっただろうな・・・。
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翻訳が読みやすく、心理描写も深くて、登場人物多い割に理解しやすいです。初読の作家さんですが、登場人物一人一人が生き生きとしていて、力量が感じられます。人物のビジュアル、風景までイメージできる作品はそうそうありません。じっくり読み進みながら下巻へ。展開が楽しみです。ここまで読んだ限り、素敵なお屋敷てもこんなピリピリしたところで休暇を過ごしたくない、という思いが募るばかりてす。