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途中までは、ありきたりと思っていた。後半に向けて苦々しくもあった。しかしラストは…。後書きにあるように2人のために祈りたい気分になった。これが80年前に書かれていた作品とは。
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とんでもない殺人なのに、つい感情移入してしまう本。ストーリーとしては、風来坊の主人公がつい立ち寄った食堂の女将と通じて食堂の主人を殺害し、二人で幸せになろうとしたが・・・・というもの。この本の良いところは、主人公と食堂の女将のキャラクターだと思います。特に食堂の女将は、田舎から都会に出てきた女性で、非常に堅実な考え方をしながら、風来坊につい好意を寄せてしまうというリアルなもの。ああ、うまくいけばもっと幸せになれたんじゃないかなと思うのですが、風来坊チックな人を好きになるからこそ感情移入できるのかもしれません。ストーリー自体はそれほど変わっていませんが、ラストは個人的には好きな終わり方でした。何度か読むと、何とも言えない感情がじわじわ来る本です。
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男は、なんとなく流れ、流されて。
女は、堅実な考え方の割に、目の前に転がってきた
動くものに飛びついたくせに、自分のせいではなく
人生がうまくいかないと足掻き。
判事と弁護士は、事実を追うのではなく
相手を出し抜くゲームに興じ、
200数ページの短い中でドラマは二転三転。
サスペンス?ハードボイルド?
タイトルにしか登場しない郵便配達、
「二度」の意味、最終章の独白。
ニヒル、イロニー、エンターテインメントです。
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何もかもが淡々と進む。最後は、一般的にいう悲劇であるが、悲しいのではなくあったかい気持ちになる不思議な作品。
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登場人物も、舞台も、ストーリー展開も、とにかくありふれた設定である内容をかくも見事な作品に仕上げていることに感動。テンポ良く歯切れいい文体は新訳によるもので、運命の歯車が主人公を乗せて山から転げ落ちていくスピードを感じさせてくれる。メディアミックスされたり読み継がれる魅力は、何より主人公達のあっけらかんと今を生きるその刹那さに読者が嫉妬し、また誰もが羨望しているからだと思う。
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今から80年前、第二次世界大戦に世界が突入する前の好景気から一転経済不安が広がった頃、禁酒法が撤廃された直後の作品。
アメリカンマフィアを気取ったチンピラの主人公フランクが定食屋の女房コーラを引っ掛けるところから物語が始まる。
心情表現の少ないあっさりとした文章。検事、弁護士、探偵、保険屋が登場し、裁判での大逆転と裏切り。淡々とした格闘シーン。当時のハードボイルドの定番を踏んでいるのではないだろうか。しかしフランクの思考は単純で、コーラの亭主を殺す過程はスリリングである一方でコミカルでさえある。
そしてコーラに愛を感じた直後の暗転。
僅か200ページを淡々と、それでいて30年代のアメリカの空気とジェットコースターに乗ったような展開を感じさせてくれた。
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郵便配達人が全く出てこないのにこのタイトル。郵便配達に完全犯罪の謎を解く鍵があると思って読んだら肩透かしをくらった。誤訳でも何でもなく原題は『The Postman Always Rings Twice』でほぼそのまんまである。何でこのタイトルがつけられたのかは解説を読んでみてください。
分類としてはハードボイルドとかミステリーとかの枠に入るのだろうけど、ストーリー自体はいたってシンプル。主人公の男女が非常に魅力的で、この2人の感情が生々しくぶつかり合うところがとても面白い。この作品が描かれたのは80年前だけど、舞台を現代に置き換えてもほとんど違和感なく読めるところが凄い。
本作は長らく絶版状態だったが、最近になって新潮文庫の新訳のほか、光文社古典新訳文庫でも新訳が発表されている。読み比べてみるのもいいかもしれない。
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題名が有名で、映画化もされてるから、ずっと気になってた。
もっと主人公たちは、知的な人間で完全犯罪を成し遂げると思い込んでいたので、期待はずれ。
ただ、訳者のあとがきにある「二度」がライトモチーフになっているというのを知ると、なるほど!って感じ。
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シンプルなストーリーで描く人間の機微。
古い作品ではあるけれど全く古さを感じない。
そしてそこへノスタルジアを乗せてくる田口訳。
良い組み合わせだ。
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こちらの作品は何度も映画化された有名な作品。
有名だが、映画も本も今まで手に取ったこともなかった。
その理由は
エロエロなんでしょ
という先入観。
タイトルにエロ要素は全くないにもかかわらず、わたしは本書をエロ作品だとずっと思っていた。
何故なのか。思い返してみるけれど、よくわからない。
かすかに想像できることとして、不倫があって殺人を犯すらしいと何かで知って、不倫ってなんなの、汚らわしいとなってエロ認定したのじゃないかと思う。
なんて純粋なわたし。
大人になってそれなりに汚れたわたしは、本屋さんで本書を見かけたときに特に躊躇することなく手に取った。
適度に汚れると読む本の幅が拡がる。メリット大きい。
物語はとても簡単。
流れ者のフランクは、たまたま入った食堂でギリシャ人の男とその妻に出会う。
ギリシャ人に誘われるまま食堂で働くうちに妻であるコーラと関係を持つようになる。
ギリシャ人が邪魔になったふたりは、深く考えることなく殺害を計画する。
一度は失敗するものの、二度めには成功する。しかしすぐに容疑をかけられてしまう。
こうはじまって、特になんということもなく物語が進んでいく。
計画が甘いので当たり前に容疑がかけられて、別々に取り調べを受けたらそりゃそうなるといった展開をし、そうなったらその後、そして結果も想像でき、ほぼ想像した通りに終わる。いや寧ろ、わたしの想像のほうがもっと悲惨だったかもしれない。
でも、くだらない一冊という感じはなかった。
文章が良いのか、この身勝手な理由でひとを殺すフランクとコーラにも嫌悪感はそれほど感じない。特にコーラは、人妻の不倫から連想されるお色気ムンムンの思慮の浅い愚かな女というよりは、小さな夢を追い求めるある意味では真摯な女性だった。
エロエロな文章も殆どない。映画は観ていないので何とも言えないけれど、そこが中心ではないので終始エロエロということはないと思う。
読んでみて解けた誤解だった。
この本で物語を知らないわたしは、いつ郵便屋さん出てくるんだとずっと思っていた。読む前は人妻と郵便屋さんとの不倫で、ふたりの合図がベルを二度鳴らすことだと思っていた。
結論から言うと、郵便屋さんは最後まで出てこない。
郵便配達がないので、ベルも一度も鳴らない。
それじゃあこのタイトルはなんなんだとなるが、この疑問は巻末の訳者あとがきを読めば解決する。
物語と関係ないタイトルではあるけれど、このタイトルにはとても魅力があると思う。
響きもリズムもいいし、印象に残る。
それに、作者のエピソードと作中のフランクの気持ちにどこか通じ合うものもあって、物語と関係がないようでいて仄かに関係している。そこが奥ゆかしいというか。
ありきたりな、愚かなふたりの物語ではあるが、最後まで読ませる魅力がタイトルだけでなくある作品だった。
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有名ですが読んだことも映画見たこともなかった作品。
何度も警察のお世話になっている根無し草のフランクは、カリフォルニアの安食堂通りで見つけたギリシャ人が営む安食堂に住み込みで働くことになり、ギリシャ人の妻であるコーラ(アメリカ人)に惚れる。コーラもそんなフランクの気持ちに気づき、2人はギリシャ人の殺害を企て、1度は失敗。2度目は成功するが・・・。
というのがあらすじ。
解説にもあったけれど、シチュエーションや話自体はよくあるものなのに、ふたりの心理描写がなんとも秀逸で、これが名作とされる理由なのだろうと思います。
最後にはフランクとコーラのために祈りたくなる不思議。
しかし一番かわいそうなのはやはりギリシャ人なわけでw「あんな脂ぎったギリシャ人!」とコーラが何度か言っていますが、著者はギリシャ人に何か個人的な恨みがあるのだろうか・・・と思うようなひどい目にあわされっぷりでした。
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題名だけは知っていたが、一度も読んだことのない本の一つ。神谷町のTSUTAYAで偶然目についたので購入。
これほどまでに、題名とストーリーの関連性が無い本も珍しい。映画の影響か、かなりセクシュアルな描写が多いものと思っていた。文庫の表紙もそういう雰囲気を持った女性の絵で、電車の中で読むには多少勇気がいる。
実際のところ、そういう描写がない訳ではないが、それを売りにしているものでもない。2度目の「事故」が起こってからからのスピード感と、不意を突かれる展開に引き込まれてしまうと、もう最後まで一直線。
6回目の邦訳とある。読みにくい訳でもない。しかし、なんとなくしっくりいかないというか、いかにも翻訳本を読んでると感じてしまう所が残念かな。。。。(204頁のコーラのセリフも代名詞が誰を指しているのかわからない)
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何回も映画化された作品だが(私が見たのはルキノ・ヴィスコンティ版)なぜ映画化に向いているのかわかる気もする。
全編主人公のモノローグなこともあり、戯曲形式で発表した方がよかったような気もする。
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これも古い本ですので、どうなることやら…と思いましたけれども、不思議と古さを感じないで面白く読めたと思います…!
ヽ(・ω・)/ズコー
まあ、あらすじ読んだきりではあまり期待できない感じでしたけれどもねぇ…解説者も言っていましたけれども、あまりにも凡庸な筋書きですので…それがどっこい、ここまで夢中になって読めるとは…! といった驚きに包まれた読後感でしたねぇ…。
ヽ(・ω・)/ズコー
まあ、若さゆえの過ちと言うか、そんな感じなんでしょうけれども、ラストの展開にはビビりましたね…結構ブラックというか…。
映画化も何度もされているみたいですので、一つくらい観てみようかなと思いますねぇ…。
さようなら。
ヽ(・ω・)/ズコー
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少しインチキだが、このサイトに登録するずっと前に読み終わっているので、今回「カクテルウェイトレス」を読み終わったので、一緒にレビューを書くことにした。
最初ケインのこの作品を知ったのは、ジャック・ニコルソンとジェシカ・ラングが主演したこの作品の映画化された頃だと思う。
早川ミステリ文庫と講談社文庫で出ていたが、両方とも新刊では今は手に入らない。
今でも続いているが、数年前から新潮文庫が海外作品の旧作の新訳に力を入れ始めた。
この作品もその一つだと思う。
僕はDVDで、映画も見ているのだが、映画が先だったか、本が最初先だったか、今では憶えていない。
周期的に何度も復刊されるのは、やはりそこに本質的な魅力があるのだろう。
映画化も、一度ではなく、何度かされているようだ。