投稿元:
レビューを見る
物語が好きで空想ばっかりしていたり、夫がいなくなってから「もっと大切にすれば良かった」と思ったり、
特にドラマチックなことはないけれど、ささやかな幸せや悲しみのなかで生きている女性の半生。
自分は平安人でも貴族でもないのに、すごく共感できる。
【X】
投稿元:
レビューを見る
『更級日記』(菅原孝標女、川村裕子編、2007年、角川文庫)
「あづま路の道の果てよりも、なほ奥つがたに生いいでたる人、いかばかりかはあやしかりけむを」で始まる平安時代の古典。
物語の中の理想に憧れ続けた少女時代、パートタイムとしての宮中生活、晩年の現実的な仏に頼る生活を描いたもの。
晩年、夫の出世を望んだり、息子を育てることに生き甲斐を見出だしたりする作者の生き方には感動電球
(2009年8月7日)
投稿元:
レビューを見る
一つ一つの喜びも悲しみも、人の一生という長いスパンで考えると、長い川の途中にある滝や急湍のように一瞬のことで、海につくころには緩やかな流れとなって・・・老年になって自分の人生を振り返るのはどんな気持ちだろう。
自分の人生を失敗・反省としてこの日記を書いているような印象を受けた。小説の世界にばかり思いを馳せ、実生活でやらねばならないことを疎かにするあたりは耳が痛いが、やっぱり愚かなことだ。
でも、解説にもあるように、どこか楽しい思い出として過去を思い出しているのがイイ。自分にとって「失敗だ、黒歴史だ」とおもっていることはもちろんあるが、数十年後の自分がそれを振り返った時、自分は何を想うだろうか。
投稿元:
レビューを見る
2011/08/12
まだ女性に名前のなかった平安時代、
考標の娘という、幼い頃から物語に憧れ、
日がな読書だけをしていたいという夢を持っていた女性の日記。
物語を読み耽るという夢は叶ったものの、
現実には源氏物語のように素敵な未来が訪れることはなく、
夫の死別後、後年にはそのことを
『よしなき(何の役にも立たない)物語』などと
切り捨て、後悔しているのがとても悲しい。
古典は主語が往々にして省略されるので、
原文だけで読み進めるのは非常に難しいと思った。
また、更級日記の名前の由来が姥捨山だということには、
驚かされるとともにとても切ない思いがする。
投稿元:
レビューを見る
原文、現代語訳、解説に加えて、写真やコラムも挿入されているお得な一冊。…なんつって、ほとんど原文は読まなかったけど。主人公の、先のことを考えず、ただただ大好きな物語を読んで過ごす姿が他人とは思えず。私もいつかこの主人公のように後悔するのかなあ。
投稿元:
レビューを見る
2年ほど前、学校の古典の時間に、ほんの少しだけ読み、「夢見る文学少女なんて素敵!」と思い(笑)とうとう、文庫本買ってしまいました。
前半は、物語を読みたいと夢見る少女時代の話。後半は大人になり、宮仕え、子育て、旅をする話など。そして最後は夫の死などがあり、重い雰囲気で終わっていきます。
個人的には、継母との別れ、乳母や姉との死別など悲しい事件があるものの、きらきらした少女時代の部分が好きです。
訳文も原文に結構忠実で、比べながら読むにはよかったです。
投稿元:
レビューを見る
図書館から借りました
更級日記の作者は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)。
その抜粋したもの(?)を現代語、原文、解釈、の三つでわかりやすくしたもの。
『姫のためなら死ねる』という漫画(百合。清少納言と定子のいちゃこちゃら)に出てきたのですが、更級日記をよく知らず、「え、こんなオタクな内容の日記なの?」と、興味を持ち、読んだのでした。
・・・・・・人間って、このころから成長してないんですね!
まあそれはさておき。
ふんわふんわと物語に耽溺してきた少女時代。
その後、行かず後家化させられていた(親が悪いよ、これ)けれど、それでもやはりどこかふわふわしていた彼女。
なんていう、生々しさ。
居るよね。なんか、こんな人、現代にいっぱいいるよね?
親が引退して、彼女が仕事に出ると、ようやく親たちは彼女に結婚の世話をする。このとき、すでに30歳を過ぎている。
なんで、その前に世話してやらなかったというと。
家の切り盛りをさせていたからだ。
親が引退(父は引退、母は出家)して、人付き合いや、死んだ姉の子らを全部任せてしまったからだ、この物語に耽溺しがちのお嬢さんに。
そんで、外に働きに出かけると、あわてて結婚相手をあてがう。
自分たちで使い勝手が悪くなったので、世間体に合わせることをようやくやったわけだ。
ただし。選ばれた旦那はちゃんと良い人だったらしい。
そんなに出てこないが、鷹揚である。
このころの人にしては「不信心」で、お祈りするのも「源氏物語読みたい。早く京にいかせてよー」と、等身大の仏様作らせて祈るとか、そういうレベル。
そういう子なのですよ。
こんな話とは知らなかったので・・・古典って奥が深い。
投稿元:
レビューを見る
文学少女だった筆者が年を重ねて夢に見たことに後になって気付く。更科は夫が亡くなった長野の最終赴任地から名付けられている。
投稿元:
レビューを見る
物語が好きになり、読みたくてたまらなくなる純粋だった主人公が、現実を知り、埋没していく中、運命の出会いをして、でも現実は物語のようにうまくいくわけでなく。ただ夫は冷たい訳ではないのでそこは蜻蛉〜の兼家とは違う部分です。
投稿元:
レビューを見る
平安時代に興味が出てきたので、何か読んでみたいと思っていた。源氏物語は長くて導入部分でつまづくことが分かっていたので、もっと簡単なものを探していたところ更級日記に行き着いた。
作者である藤原高標の娘とは、簡単に言うと文学オタクの中学生女子。京都で流行りの源氏物語を読みたくて、ウズウズしている田舎の少女。
彼女の願い叶って京に引っ越し、源氏物語を昼夜問わず熱中する様。平安時代も現代もあまり変わらないんだなと思った。
物語中では、乳母や姉が亡くなったり、家が火事で燃えたりする。そういう中で、彼女もだんだん年老いていく。外ばかり見てる若い時代から、自分の内面を見つめるように移り変わる。
更級日記とか古文苦手な自分としては身構えていたが、読んでみると分かりやすいし、現代の生活にも通ずる部分があって面白かった。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに古典を読んだ。原文と現代語訳が書かれており、読みやすい。日記という名前ではあるが、菅原孝標女が老年になって、子どもの時からの日々を振り返った自伝である。子どもの時に物語をたくさん読み、描いた物語のような格好いい殿上人に出会って恋をして結婚する夢から、33歳で結婚と当時としてはかなりの晩婚であったが旦那と仲睦まじく過ごしたと思われるとき、最後には夫が遠地(長野)に赴任して上京してきたと思ったら半年ほどで亡くなり一人さみしい暮らしを過ごす。そんな彼女にとって思い出を振り返りながら書かれており、彼女の気持ちを押し量りながら読むと面白い。
投稿元:
レビューを見る
菅原孝標女作ということしか頭になかったが、実際読んでみて何よりも印象的だったのが田舎から京への旅路を細かく書いている点にある。
日記文学であれほどまでに細かく旅の描写があるのはみたことがなかった。
また、この作品のタイトルをつけるとすると'諦念を知った少女"だと自分は思う。
源氏物語などに魅了され、いつか自分も同じような経験をするだろうと信じてやまなかったが、実際この無情の世では物語のようなことがあるはずもなく、次第に諦念を知っていく。
また、様々な人との別れがあり、会者定離のこの世を物語っている。
そんな無情を嘆きつつも、少女の淡い願いや喜びが所々垣間見れ、そのギャップを感じれるのがこの作品のいいところである。
投稿元:
レビューを見る
読みやすいというか入りやすい。
更級日記と言えば昔NHKで放映していたアニメ「まんがで読む古典」を思い出さずにいられない。サラちゃん。またあのシリーズを放映して欲しいものだ。
投稿元:
レビューを見る
元祖ヲタク。物語に恋焦がれた13才の時からの40年に渡る日記です。
楽しかったですね。きらきらした若い日々。夫を亡くしてからの孤独な日々。
平安の女性の人生はこうだったのかと思い、本を閉じました。
投稿元:
レビューを見る
読みやすかった。
感性豊かにキラキラした文章が心地良かった。
物語の最後は暗くなっていて心配だったが、このままで終われないという強い決意を表していてホッとした締めくくりでした。
作者は菅原道真の子孫。
流石ですね。