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いっぷう変わった恋愛(=変愛)小説を集めたアンソロジー。先頃、『日本編』が刊行されたが、こちらは翻訳もの。
登場人物が恋する相手は人間とは限らない。木やバービー人形も有り得る。また、描かれている愛も、狭義の恋愛ではなくもっと広汎な愛だ。ただ、共通しているのは、歪んでいたり、おかしかったり、兎に角『変わっている』こと。
コンセプトがコンセプトなだけにユニークな短編が多い。
『リアル・ドール』は相手がバービー人形(!)であることを除けば、なかなかヤバそうな女の子に手を出してしまった感がある……バービーだけどw
『柿右衛門の器』は怪奇小説系のアンソロジーに収録されていてもおかしくないホラー小説としても読める、ざわざわと落ち着かない雰囲気に満ちた小品。
少し前に東京創元社から単行本が出たレイ・ヴクサヴィッチは『僕らが天王星に着くころ』『セーター』の2本を収録。これを読んで気になった読者は単行本を買って損は無い。
全体的な傾向としては、収録作の中でも短めの作品の方が面白かった。
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『五月』と『ブルー・ヨーデル』と『僕らが天王星に着くころ』がお気に入り。レイ・ヴクサヴィッチとニコルソン・ベイカーとジュディ・バドニッツは前々からチェックしてたけど、ノーマークだったアリ・スミスとスコット・スナイダーの他の作品も読んでみたくなった。
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その名の通り、ちょっとヘンな愛の話を集めた本。狂おしいほど木に恋してしまった話と、体がなぜか宇宙服になっていってしまう病気に侵されたカップルの話が特に好きだと思った。
ちょっと変わっていても、あれも愛これも愛。
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変。変。変。自分の想像の枠をはるかに超えた、変愛ぶりのオンパレードでした。下品な表現も多く、あまり好きになれませんでした。。
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色んな作家の個性的な『変愛小説』を楽しめた。岸本さんの訳が、おそらく簡潔でリズミカルで美しいのもある。どの物語も長すぎず、短すぎず、でも起伏と工夫があって、楽しい。こんな変な外国文学、作家をもっと知りたい。
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アリ・スミス「五月」★★★
レイ・ヴクサヴィッチ「僕らが天王星に着くころ」★★★
レイ・ヴクサヴィッチ「セーター」★★★★
ジュリア・スラヴィン「まる呑み」★★★
ジェームズ・ソルター「最後の夜」★★
イアン・フレイジャー「お母さん攻略法」★★
A・M・ホームズ「リアル・ドール」★★★★
モーリーン・F・マクヒュー「獣」★★
スコット・スナイダー「ブルー・ヨーデル」★
ニコルソン・ベイカー「柿右衛門の器」★★★
ジュディ・バドニッツ「母たちの島」★★★★
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だって知ってた?あの人の髪、プラスチックなのよ。頭と髪の毛が一体になってるの。そんな人と付き合うなんて、もうぜんぜん無理だし。
ー「リアル・ドール」p.129より
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五月のあの朝、わたしはどうしようもなく恋に落ちてしまった――。木に片思いをしたり、バービー人形と真剣交際したり。変な愛はこんなにも純粋で狂おしい。数多くの熱心な読者を持つ訳者が選び抜いた、奇想天外で切実な想いのつまった11篇。ありふれた恋愛小説とは一味も二味もちがう、「究極の愛」の姿。
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選ぶなら最初の「五月」(アリ・スミス)が一番好きだ。A・M・ホームズ「リアル・ドール」面白かった。ニコルソン・ベイカー「柿右衛門の器」も好き。
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「まる飲み」が一番好き。好きな人を丸呑みにして腹の中で飼うという発想がすごい。確かに自分という箱の中に閉じ込めてしまえば、いずれ終わる関係への恐怖に怯えなくていいのかもしれない。
「”変愛”小説集」というだけあって強烈な話が多い。
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すごく変わっててくらくらする。
変で愛な翻訳短編集。奇想との配分がぐずぐずでどれも酩酊感がある。
誰にでもあてはまらなくてあてはまるので、読むほど変ではない気もしてきた。
どうしようもなかったの。と木に恋をする様が切実だった。それに寄り添って眠るのはやっぱり愛に見えている。
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「最後の夜」「リアル・ドール」「柿右衛門の器」が好きだった。あとがきにもあるように、リアル・ドールの妹が良い味を出している。
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木に恋しちゃったり、バービー人形と付き合ったり…変な愛小説集。外文苦手という意識もなく、ぐいぐい読みました。読ませられました。
秘密めいた誘惑とでも言うのか。
形はどうあれ「愛」には変わりない。のか?
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お気に入りは、「藁の夫」「カウンターイルミネーション」「男鹿」日常生活の中に異次元の愛や奇妙な行き過ぎた結末が新鮮だった
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SFや妄想の要素が強め。女性向けSF短編集。ある短編集のなかに紛れ込んだ、ちょっとアウトローな1篇をよりあつめた感じ。
最初、SFやファンタジーに頭が切り替わってない状態で読み始めてしまったので、少し拒否反応があった。最初の2~3編くらい。だんだん慣れていく。もっと来いよ、という感じになる。
人を選ぶ。妄想好きな若い女子にはおすすめ。中編くらいから、出オチ(小ネタ)レベルの短編まで幅広いので気軽に読める。
一番好きなのはバービーちゃんでした。面白すぎてはまった。恋愛ってなんだろう、と答えが出そうで出ない感じがもどかしくもあり。
恋愛に限らず、執着とか憧れとか、広い意味でのセレクトになっていて、読み終えてなるほどという感じ。キュンキュンしたい女子には勧められないけども、SFちょっと好きな人にはおすすめ。
忘れないうちに、全話の感想をメモっておく。
1 五月。
木に恋する?話。主人公が少し病み気味で、レズビアンのカップル。これを一番最初に持ってくるのがすごいなと思う。好きな人(木)を遠くから眺めて、夢見がちになったりした遠い日の記憶を思い出させる。
相手の女の子もやっぱり変わっている。最後に木の下で寝転ぶシーンがある。気持ちよさそう。子どもらしい繊細な感覚のあるお話。
2 僕らが天王星に着くころ。
宇宙服に皮膚がなっていく話。ちょっと、皮膚とかの変化がやや苦手めなので、きもこわ設定のSFでした。絶対に映像化して欲しくない。
彼氏が必死に引き留めようとするのが可愛い。ぜんぶ却下されるけど色々考えるのが、男ってこんなとこあるよね、と思う。
昔、好きだった人に手を握っていてもらえれば、たとえ死が間近に来ても何もこわくない気がしたなあと懐かしくなる。
3 セーター。
こんな女の子いる。全部手作りでおしつけてくる子。それで、その 大きな自己欺瞞=セーター に飲み込まれて、どこかに行ってしまうという設定が、作者はそういうのに辟易したことがあるんだろうなあと思った。ちょうどいい長さのSF短編。
4 まる吞み。
若い男の子を飲み込んでしまった金持ち奥さんの話。最初の、まだこの世界観に慣れきっていないときに出てきたのもあって、けっこうグロく感じた。SF妄想話。終わりはあっさりとしている。ギャグと言うか、夢落ちのような感じなのでそこまで深刻じゃないけども、人を選ぶかもしれない。
5 最後の夜。
死にたがっている本命彼女と、浮気中のかわいい彼女と過ごす一夜。だいぶ本命彼女がヤンデレだよ。出てくる登場人物がみんな嫌なところがあって、そのバランスがいい。その嫌なところが、突飛な設定なのに、あるある、という気持ちになる。
6 お母さん攻略法。
小ネタ。危ない方向に行きそうで、おっと、大丈夫かとひやひやしたが、ただのネタだった。
7 リアル・ドール。
いちばん好きだった話。設定を読み取って、そっちに行ったかという、ちょうどいい「やられた感」がある話。しかも設定だけじゃなくて、中身もちゃんと面白い。
あり得ない設定なのに、ものすごくリアルな恋愛。特に、「そろそろこの恋も終わりが近いな」とか主人公が思うあたりが、ああ恋の賞味期限ってあるよね、みたいな今まで思ってたけど形にできなかったことを言い当てられた感。
8 獣。
子どもの頃を思い出す。子どもの頃に見上げていた大人たち、どこか遠くを見ている彼らを不安げに見上げていたことを思い出す。「世の中は、自分が想像しているよりもおかしなことは起きないんだ」という主人公の幼い日の気づきに、はっとさせられる。
9 ブルー・ヨーデル
これは、二番目くらいに好きだったかもしれない。映画を観ているように丁寧な描写でよかった。終わりも、ぜんぶ解決されるようでされない感じが、いいよね。ミステリーではないのだから、このSFの消化不良感がいいよね、と思う。
10 柿右衛門の器。
透明感というか、質感のある話だった。焼き物が好きなので、読んでいて楽しいところもあった。すごく悪いことが起こるのかな、と思ったけど、陶器のようにあぶなっかしい感じを匂わせつつ、きちんと収まったので読んでいてほっとした。
11 母たちの島。
いいんじゃない、ありそうじゃないこんな島、と思う。ここまでくると、だいぶこのおかしな世界観に慣れ切っていて、どんなのでも来い、という感じになっている。
恋愛って、ぴったりの男女だけでは盛り上がらないのかなあ。意外と周りにいる第三者が盛り上げてくれるものなのかもしれない。
酔いまくっていく女子たちが愛おしくもあり、まさしく変愛だなあと思う。