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図書館より。
これって本当に児童書?
大人向けだよな~。
上巻でそれぞれの立場にあった主人公達が、下巻で出会ってから、物語の色々なものの姿が見えてくる。
生きるって、なんだろう。生き残ることの意味。そして「鹿の王」。
しかし、彼はもう「独角」じゃない。こんなこと思うのも変だが、無事に帰ってきて欲しいと思う。
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同じ人間なのに戦い争い憎しみ殺し合い、一方から見れば他方は悪でその逆もまた然りで、人を陥れるために足元を掬い、恨みのために病原菌を蒔く。時代によって方法は違えど、同じ過ちを繰り返し人間は進化してきたといえるのだろうか。
共に生きてゆく。強いメッセージは感じるけれど、伝えたいことが多すぎて少し混乱する。そこに意識的なものがあるのか、いつもの心が突き動かされるものがない。
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不思議な犬たちと出会ってから、その身に異変が起きていたヴァン。何者かに攫われたユナを追うヴァンは、謎の病の背後にいた思いがけない存在と向き合うことになる。同じ頃、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡領では、医術師ホッサルが懸命に、その治療法を探していた。ヴァンとホッサル。ふたりの男たちが、愛する人々を守るため、この地に生きる人々を救うために選んだ道は―!?
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面白かった!
生命、医療、生態系、民族の思惑等・・・それぞれの要素が複雑に絡みあい、読み応えのある物語となっております。
そして、希望を抱かせるラストは、きっと皆が出会えて一緒に還ってくるに違いない!と、思わせてくれるものでした。
その後のヴァンやホッサル達の話もぜひ読んでみたいです。
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児童書ですが、子どもにはかなり難しいかな〜やっぱり大人向きだと思います。
上橋さんは大好きなので、自分の中でハードルを上げすぎてしまったかも…今回は守り人や獣の奏者ほど、のめり込めませんでした。
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佇まいがとても美しい戦う男の物語でもあり、
病気と戦う男の物語でもある。
この物語の登場人物たちは現実世界に似ているような似ていないような世界で起こるはかりごとに巻き込まれながらも、自分の信じた使命に生きている。
小さい頃にこの本を読んでたら、医者をめざしたかもしれない。
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この世の中に単純な善も悪も、敵も味方もなく、属する集団の目指すものやあらがいがたい世の中の波や流れと個人の希求するもの(家族との平穏・幸福、自己実現)とのはざまで揺さぶられながら、だれもがみな置かれた立場で必死で生き抜いてゆくこと、また血縁にとどまらない多様な人と人との結びつきの可能性をみせてくれるのは「守り人」シリーズ同様、今回の物語はとくに医と政、医術に関してはいわゆる対症療法・科学的方法と体質改善的方法それぞれの目指すものと限界、政に関しては支配するものとされるものの関係性について考えさせられた。
虚実情報入り混じり陰謀論などもささやかれるなかで、なにを信じ、判断の拠り所にするか、人の心理にせまる箇所もスリリングだし、文化・宗教・信条の違いによる対立・支配・排除をいかに乗り越えるか、現代社会批評としても読み応えあり。
主人公の圧倒的な存在感はファンタジーそのものだけれど、彼らの巻き込まれる問題、迫られる選択は、まったくひとごとではなくわがこととして身につまされる。
なるほど「鹿の王」…
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"そのとき、どこかから、子供の声がふってきた。"
比較対象は『守り人』と『獣の奏者』ですし、読みながらハードルが高すぎたかなぁと思っていたのですが、またまた最終章にもっていかれました。上橋先生すごいです。
ヴァンの生存が絶望的な状況で、崖の上に現れたユナちゃんは、その明るい性格も重なって、本当に太陽のようでした。心が洗われるわー(*´Д`)。*°
ユナ救出シーンとトマ達との再会シーンも好き。
児童文学じゃ無くなって(?)、小難しくなってるよ!でも本質の良さは変わりません。マカンコウサッポウ。
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やっぱり上橋菜穂子先生の作品はおもしろい!
植民地の話から医学、感染症、地衣類、動物の生態の話など、この世界観の中でリアリティを持たせて書かれているところがすごい。
人の持ついのちをめぐって人の中に現われる葛藤、宗教、科学のぶつかり、植民地支配のはらむ危険と、様々な環境に翻弄されながらも生きようとする人の姿が描かれていて、この物語が3年かけて書かれたということにも頷けます。
この上下巻で終わってしまうのが惜しい、もっと続いてほしい、と思う反面、ここで終わるのが正解なのかな、という思いも。
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読むのが遅い私は1週間くらいかけて読み終えましたが、上橋先生は3年かけて書いたと言われているので、もっとじっくり味わって読んでも良かったと思いました。もう一度読み返したいです。話の先がわからないで読んだ時に見落としてしまったものを、先がわかってから読み返すことで見つけ出そうと思います。
読み終えるのに時間がかからないとしてもこの作品は、守人や奏者のシリーズに同じく10年20年読み継がれていく作品だと思います。
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上橋さんならではの、アジアっぽい香りのするハイ・ファンタジー。
児童文学にしとくのもったいないって! ってくらい、色々考えさせられる話です。
風土病をとりまくウイルスや細菌と身体の関係、一国を支配するものとされるもの。民族の融和、命を守るというのはどういうことか、などなど。
ヴァンがめっさかっこいいしな!
子供はもちろん、大人も読んでー、ぜひぜひ。
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結末までヴァンのように走り抜けるように読んだ。
人が自然に加わることで変わっていく生態系。そこで生きていくことのむずかしさ。人の傲慢、人の愛しさ。
ヴァンが最後に選んだことが正しいのかは、私にはわからない。けれどユナとサエの存在が彼に救いの光を与えてくれる。ホッサルはこれからも、自分のやり方で道を進んでいくのだろうと思う。
これは誰が何と言おうと希望の物語だ!
だって、ヴァンにはユナとサエがいる。だから、ユナの一言に笑いながら大丈夫なんだ、そう思った瞬間に涙がこぼれて止まらなかった。
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最後の一行を読み終わったとき、ため息をつきつつ思った。
「あぁ、終わってしまった」と。でも次の瞬間気付いた。
「違う、これは終わりじゃなくて始まりなのだ。そうだ、彼らの長い長い物語がここから始まるのだ」と。
いやでもちがう。これは彼らの物語ではなく、私たちのこれまでの、そしてこれからのずっと続く世界の始まりの物語なのだ。
広くて狭い、大きくてちいさな、この世界の魂の全てがここに宿っている、そんな一冊。
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上巻は病そのものについて迫っていくものであったのに対して、裏で動く人の思惑に視点が移されていく。
人々の想いは複雑に絡み合い、病に対する思いも人それぞれ。ひとりの人物の中でも、複数の思いが蠢く。若く優秀な医師であるホッサルがまさしくそれ。一方、ヴァンは亡き妻と息子を想い、病は何者にも及ぶのだという実感を吐露する。ユナ、サエ、ミラル、トマ…愛する者、そして人々を守るために奔走する2人が眩しく、そして切ない。
他の作品のよりも静かに終わる作品。それだけ、複雑で深く厚みがあるということなのだろう。ヴァンを追う人がいて良かった。彼はもう独角ではないーーー私の中にもそれが強く残った。
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連れ去られた養女ユナを追ったヴァンは、火馬の民の戦士たちと出会う。いっぽう、医師ホッサルたちは黒狼熱伝染の裏にある陰謀に気づく。
上巻で人物の関係がよくわからず、名前もややこしいので、もやもや。その悶えが拭えたわけではないのだが。
ホッサルとヴァンとの出逢いで語られた「鹿の王」の意義がなんとも深い。ホッサルが論理的に噛み砕いて、ヴァンの生き延びた理由を推察していくあたりもみごと。ヴァンの命を狙った者たちには、それぞれの理由や使命があり、こんがらがってくるが、それぞれが敵味方を越えて、恩怨をのりこえ、人々を救うために立ち上がる。ヴァンに感化されたサエの気持ちよい裏切りがそれを物語る。
改行が多くてラノベみたいなのが玉に瑕ではあるが、複雑に絡み合った構成で飽きさせない。さすが上橋ファンタジー。
あの結末はなんとなく予想でき、著者の過去作『狐笛の彼方』と似たように思うが、ヴァンがそれを決意するまでの各人の思惑が緻密に絡み合っていくのが周到。あとがきで明かしている通り、聞き慣れた生命哲学が根本にあるが、それをここまでの大作に仕上げた力量は、国際的に評価されるだけはある。