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十年。大学生から十年。短いようでとても長い、あっという間の十年間であることを身をもって知った今のわたしにぴったりな1冊だった。おどろくほどに。わたしは真紀とリンクして思わず泣きそうになった。
十年間も中沢と別れたりくっついたりしていた真紀に、いまのわたしととても境遇が似ていたからだ。
十年。二十代からの十年はほんとうにあっという間でそれなのに十年間という期間は重くのしかかる。
子どもとは言えない。中途半端な、けれどどうみたって大人である年代。
かわちくんのあのどうしようもない感じとかとっても好感もてた。
その後的な物語はがっかりすることが多いんだけど、よかった。変に夢みさせないところがよかった。十年経って主人公がいまだに交際してたり結婚して家庭もったりするのはわりと非現実的。大学生のときの恋なんて夢見たいなもの。ふわふわとしていて。ずっとふわふわしたままでいるとあっという間に十年が経過している(わたしはまだ7年ほどだが)
リアルすぎて、身震いした。しょうもない感じ、でも前へ進んでいく様にとても好感を持ちました
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前作でも、映画でも、今作でも、けいとがいちばん愛おしく思える。なんでやろう?
十年前からずっと答えが出せないでいる。
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10年前、京都で一夜を共にした人たちが、10年後、京都である一夜を共にする物語。学生時代には、迷いはあってものびのびと自分のペースですごしていたけれど、今では気を使えるようになったり、疲れた顔をしていたり、どこか距離を感じたり...。変わっていないとは思っても、やはりどこか変わりつつあったり。学生時代とは違い、仕事や結婚、パートナーなど、様々な問題や選択肢が増えている。そんな日々。10年前と同じように、取り留めもない毎日なのかもしれないけれど、真紀やけいとが、以前よりも、のびのびとできない中で、自分のペースで道を切り開いていく姿が凛々しいと思う。
キカやイトウは10年前の真紀やけいとの自由奔放な姿と一致する気がした。
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やはり、柴崎友香さんの本は面白い。
登場人物が周りにいそうな感じだし、台詞回しがとてもリアルだ。
読み後も心地よく、幸せな気持ちになることができる。
本書はきょうのできごとの続編。前作からだいぶ時間が経っているので、細部が不確か。でも彼ら10年後の姿は想像イメージにマッチしていて嬉しくなった。
人の考え方や視点は、それぞれ違うし、だからこそ楽しい。同じ日の出来事をそれぞれの視点で描く本作は、だからこその気持ちのすれ違いが、とてもリアルに浮き上がる。
前作も読み直し、どっぷりとこの世界にはまりたい。
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あっという間に読み終えてしまった。
10年前に映画と原作を読んだ人には特に深みを感じれる、リアルな時の流れが深みを与えるそんな作品だった。
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十年前、京都の飲み会に居あわせた男女。それぞれの時間を生きた彼らは、30代になり、今夜再会する。せつなく、おかしい、奇跡のような一夜の物語。
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九月二十一日 午後二時から、九月二十二日 午前一時までのひと晩の物語。何気ない日常を描かせたら天下一品の著者だが、本作はちょっぴり特別な一夜の物語である。そうは言っても、舞台設定が特別なだけで、集まった人たちのやりとりや心の機微の描かれ方は、さらりとさり気ない。それでいて繊細で深いのである。十年という月日がそれぞれにもたらした変化と、変わらない芯の部分が読んでいてなぜか切なくなる。この時点からの十年後もまたみてみたいと思わされる一冊である。
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正道の大学院合格のお祝いの飲み会から10年後の物語。
10年て歳月はあっという間だけどやっぱり10年分のことがあり、別れや出会い、新しい記憶、成長があるんだろうなと思った。
過去を振り返り、先を考え、思い悩むけど、ちゃんと今を確かに暮らしてるじゃんよ、って彼らに伝えてあげたい。
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社会人として仕事をするようになり、気がきくようになったなー!と思う反面、やはり人間の性分はそうそう変わるものではなく、昔と変わらない部分に気づくとやはり安心する。
周囲からは「やっぱり正道君」といわれる反面、本人は研究者として大学に残り、社会に出た彼らに対して遅れをとったような不安を感じていたり、周囲と本人の評価のギャップがとてもリアルに描かれていた。
ただ、中沢に事件が起こりすぎ。
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同窓会気分の作品。
けいとと、かわちに特に共感。
中沢の感じも妙にリアル。
ちょっとした遊び心もあり。
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比べるのも何だけど、”春の庭”よりずっと面白く読んだ。
こういう群像劇なのって好き。
どの主人公にも共感ができる。あの研究一筋の男子が特に。
映画化にもなってるみたい。観てみたい。」
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10年後思ってもいなかった場所にいる。
それは思い通りにはいかないことの積み重ねによるものだとしたらそれもいいかなって思えた。
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大好きな映画「きょうのできごと」の10年後を描いた本が本屋に並んでるのを見て、すぐにDVDを見直して即読みしました。
やっぱりこの空気感は変わらない感じで
とても読後感の良い素晴らしい作品でした。
これも映画化してほしいー♪
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「休みも合わないし、電話で話しているときにけんかまでいかなくてもぎくしゃくすることが何度もあって、かみ合ってない会話を止めることができないまま、会って顔を見て話していたらこんなふうにならないのに、と思ったけれど、実際会ったら会ったで肝心なことを言い出せなかった。肝心なことってなんだっだのか、もう思い出せないけれど。」
「さびしいね。そんなに簡単に、夢中になられへんね。もう」
「でも、さびしいのって、そんなに悪いことじゃないかもしれへんよ」
まさか十年後が読めるなんて思ってなかった。
この会話の感じ、これが柴崎さんだなぁと思った。
芥川賞受賞後第1作にこれを持ってくるとは。
芥川賞の候補になっていた一連の作品とは、やっぱり少し違って、芥川賞から読み始めた人たちはびっくりするんじゃないかな。
一日の境目がよくわからないように、十年の境目もよくわからない。
日々の繰り返しだから、自分ってなんにも変ってないように思うけど、彼らと同じように、きっと少しずつ変わっている。
彼らの考えていることが「きょうのできごと」と変わってきているように。
20代の怖いもの知らずの時代を超えて、落ち着き将来を冷静に考えるようになる30代はじめ。
20代の頃、「きょうのできごと」を読んで、同時代性、同世代性に熱狂したように、30代になり、この作品を読み、やっぱり同時代に生きる同年代の言葉だと、深く共感した。
みんな成長してないと感じながら、ちょっとは変わってるんだな。
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なんか、ハッキリしない人達の人間模様。ハッキリ出来ないのが、はたから見ると歯痒いんだけど、当人たちは必死なのかな。
駐車場でベンツが燃えたり、車が突っ込んできたりと、最後の方はハチャメチャになるんどけど、その後の言及がないから、残念。
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芥川賞受賞の作家さんとの事から手に取った。
けいと、真紀、中沢くん。
京都。
本を読んでいて幸せを感じる事のひとつに、
“言葉には出来ない、日々ただ漠然と惹かれている事象について、きちんとした言葉での表現に出会える”という事があるのだけれど、まさにそれ。
幸せな読書だった。
こちらは続編との事。