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人は逆境に立った時にどう行動するか、どういった思考をするかということで常に迷ったり悩んだりする。逆境とまではいかなくても、例えば進路をどうするかとか、新事業をどう展開するのかなど、頭を悩ませる場面に立たされることは多々ある。
「どうして自分には才能が無いんだろう」と悩む時もあるだろうし、周囲の無理解を恨めしく思う時もあるだろう。私もそういうことの繰り返しで生きてきているような気がする。
大概がそのまま残念な結果になってしまい、残念な思いを心の中にしまい込むことが多いような気がする。しかし、時には思わぬ発想が自分の中に生まれたり、良い解決策を思いついて事無きを得ることもある。いわゆる「ヒラメキ」というものが生まれる時があるということだが、そんな時には思わず膝を叩いて立ち上がってしまうぐらい嬉しくなってしまう。
振り返ってみると、「真剣に真摯に物事に立ち向かった時」には結果的に「ヒラメキ」が出てくるような気がする。考えて考えて考え抜いたとき。人の意見に素直に耳を傾けたとき。そんな時に自分の中から湧き出てくるのが「ヒラメキ」なのではないだろうか。楽をしていては「ヒラメキ」を訪れないということだろう。
おかのきんやさんが書かれた「自分に革命を起こす、たった一つの方法」という一冊には、そんな「ヒラメキ」で物事を大きく展開させた方々の話が詰まっている。有名無名26人の方々の実体験をストーリー仕立てにまとめた一冊で、実体験を通じて物事の考え方や行動に関して何かを教えてくれる。
例えば造り酒屋の経営者である桜井博志さん。親から小さな酒蔵を引き継ぐが、若者の日本酒離れなどもあって廃業寸前という危機に直面する。値引きを行ったりオマケをつけたりしてもダメ。地元名産のフグに合うお酒を造ってみたり、紙コップを使った低価格のお酒を造ってもダメ。やることが全て裏目に出るという苦しい状態に陥った。
そんな時、苦し紛れに作った「ブドウ酒のような日本酒」を飲んだ一人のご婦人から「こんなお酒を飲むぐらいなら普通の日本酒かワインを飲む」といわれた桜井さん。衝撃を受けるとともに「こんな小手先のことではだめだ。本格的な純米大吟醸酒を作ろう」というヒラメキを得る。
ヒラメキを得た桜井さんは全国を駆け巡ってデータを集め、分析し、小さな造り酒屋でありながら純米大吟醸酒を造ることに成功。今では純米大吟醸酒部門では日本有数の造り酒屋にまで成長してきている。
本書にはそういった「ヒラメキ」の話がたくさん詰まっているが、共通することは「一生懸命に努力して一生懸命に考えて、周囲からの言葉に素直に耳を傾ける」という姿勢。それがあってこその「ヒラメキ」だと感じさせてくれた。
悩んだ時には一度読んでみる価値のある一冊だ。