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河合莞爾はデビュー作の『デッドマン』から始まって
『ドラゴンフライ』、本作と追いかけている作家だが、
出版を重ねるごとに着実に上手さを増している印象がある。
出版社勤務ということで編集業務を行っているのかはわからないが
過去の名作や最近の人気作の面白さを分析して
自分の作品作りの際にうまく取り入れているように思う。
今作で言うと、島田荘司風の「作中作として書かれた
幻想的な不可解現象から始まる不可能犯罪」というトリック部分と
警察小説としての刑事部と公安の内部対立という人間ドラマを
うまく融合させた作品に仕上がっている。
序盤の作中作から始まる殺人事件の導入は見事な出来で
期待感が一気に高まった状態で読み進める興奮は
傑作を読んでいる感じのそれ。
ただ、中盤にかけてはトリックの追求と検討というより
警察小説に様変わりし、終盤出てきたトリックの判明と解説も
期待した分やや拍子抜けしてしまうもので
後半の失速感はやや残念だった。
とはいえ、作品の中でダレる感じのところもなく
スピード感を持ったまま一気に読ませる面白さはあり
2014年のベスト10ミステリーには間違いなく入る作品だと思う。
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2014.10.23 読了
鏑木シリーズ3作目
サクサクと読める。
途中、タンポポの帯化を放射能の影響とする文字を見つけゾクっとした。
トンデモな感じで話しが進んでしまったら、興醒めしてしまうと。
でも、しっかりと帯化の話しで結んでくれた。
前2作より、鏑木チームと読者の溝を感じた。
犯人まで辿り着く感じ、前2作は鏑木チームと共有できたハラハラ、ドキドキ感が今作ではちょいと置いていかれた感じがした。
ただ単に私の頭が悪いだけかも知れません 笑
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密閉されたサイロで発見された死体と施錠された高層ビルの屋上で発生した殺人事件を追う鏑木班の話を軸に、「空飛ぶ少女」という不可解な民話や「死者」の語りを絡めて読者をミスリードさせます。あからさまな手掛かりが多く、やろうとしている事が想像出来てしまいましたが、事件の奇抜さで掴みは取れていますし、人間関係の背後に隠された構図の反転がお見事。無駄のない造りで物語としては秀逸な出来だと思いました。
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鏑木シリーズ第3弾。今までの2作にもややその傾向は見られたのですが、本作は「とうとうやっちまったなぁ」感がきわめて強いです。ストーリーとしてはなかなか面白いのに、殺害方法があまりにも荒唐無稽すぎて台無し。いくらフィクションと言えども許容範囲を超えています。
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このシリーズ面白いなぁ!
諸所の事情により『ドラゴンフライ』を飛ばして読むハメになってしまったのが悔やまれる。
冒頭から引き込まれて気付いたら読み終わっていた。
事件の謎の吸引力もさることながら、ストーリー運びが格段に巧くなってるよね。
十数年前の浮遊死体のトリックは伏線がわりと露骨だが、現在に起きた解放密室のトリックはミスディレクションが効いていて良い。
そして終盤に明かされる物語の真相は、ミステリとしては常套手段とも言えるものを上手く組み合わせて物語に深みを出すことに成功している。
本当にいい作品読んだ。
今年の本ミス上位には必ず食い込んでくるであろう傑作。
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非科学的事件を解決するシリーズ第三弾。相変わらず、登場人物の個性がしっかりしていて、読んでいて、小気味好い。続編も楽しみ。
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シリーズ3作目。
昔話「空飛ぶ娘」や死体が宙に浮かんでいるような摩訶不思議な殺人事件とのつながり。
先が気になる展開でテンポ良く読めた。トリックは、う〜んと思いつつも許容範囲内。
気になっていたヒメの過去が明らかになり、ほっと一息。ヒメの叔母さんがなんだかんだでいいキャラでした。
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廃牧場のサイロで女性の屍体が発見される。それは空を飛んでいる状態で串刺しされたかのような状況で木乃伊化していた。その女性は姫野刑事の初恋の相手であった。
現在と過去、刑事の視線と被害者の視線、パート毎に分かれているが微妙な違和感の正体はなかなかのトリックだった。欲を言えば謎が解けていく過程は省かれ思い付きのようだった事と、最後のシーンはいらない気がした事。
シリーズものという事を全く知らずに読んだがキャラクターは面白かったので同シリーズの他も読んでみたい。
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面白かった。 不思議な挿し話、空を飛んだとしか思えない死体、暗躍する公安。 不思議を解体し、過去を見つめなおした時、思いもよらない真実が浮かぶ。 なるほど、空中浮遊死体の仕掛けもそして、被害者の真実なんかびっくりしました。 本格ミステリらしく興奮しました。
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14/11/25
偶然、図書館の新刊コーナーで目について借りた本。いえ、偶然ではなく必然だったのでしょう。面白かったです。ぐんぐん引き込まれてずんずん読み進めちゃいました。
・原発企業を襲撃することが、いつからあたしたち「タンポポの会」の活動になったのだろうか。あたしはゴミを拾ったり、捨てるものをリサイクルしようという、人のためになるサークルだと思ったから入会したのに。「タンポポの国」という自給自足のユートピアを作るという、野臥正の夢を一緒に追いかけたいと思ったから入会したのに。
なぜだろう、いつの間にかあたしは、犯罪者になろうとしていた。(P304)
・そして罪とは、どんなに後悔しても、どんな罰を受けたとしても、永遠に許されないものなのだ。(P343)
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鏑木特捜班シリーズ、第3弾。
人間が空を飛んだ、という不可能事が起こったとしか思えないような事件が2件、立て続けに起こる。その事件に関係しているのであろう女性と姫野の関係は?
一見荒唐無稽そうに見える事件を現実的に解決する、という展開は今まで通り。最初の昔ばなしの取り入れ方といい、島田作品を彷彿させられた(最近、御手洗シリーズを読んでいるからかもしれないが)。にしても、今回は物理的なトリックを駆使してもいたりして、なかなかトリックの幅の広さを感じさせられる。どこかで読んだようなトリックもあるにはあるが、イイ意味でよく研究してるんだなと感じさせられた。個性あるキャラの軽妙なやり取りが楽しい反面、多少大袈裟すぎるのがいつも気になるのだが、今作は姫野の過去も大きく関わっていたせいか、これまでよりは気にならなかったかな。次はどんな事件が待っているのか、次作を期待したいシリーズです。
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本当にこういう殺し方が可能なのかと疑問が残るが、それ以外の刑事たちの会話、捜査の進め方などおもしろく、特に劇中劇のような「空飛ぶ娘」の存在が際立っていいと思う。
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鏑木特捜班シリーズ第3弾。
廃牧場の密閉されたサイロで発見された死体はまるで空を飛んでいるようだった…
冒頭の不可思議性、捜査でいたるところに現れてくる「空飛ぶ娘」というキーワード、姫野の過去とのつながり、暗躍する公安など惹き込まれる要素が多く、いったい何が起こったのかという興味で一気読みだった。
終盤の風呂敷のたたみ方はちょっと拍子抜けな面もあったし、被害者視点のパートが多いせいか個々の捜査陣の活躍が今回はそれほど顕著ではなかったのがちょっと残念だが、安定した面白さ。次回作も楽しみである。
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やられた。今回の作品はまさにその一言に尽きる。待ちに待った、鏑木特捜班シリーズ。もう、3作品目なのかと思うと早い。個人的に『ドラゴンフライ』は不作だったのだが、今作はとても良かった。空を飛ぶ死体のトリックにずっと悩み、理系の友人に助けを求めてみたが友人のトリックはハズレており、最終的にそういうトリックか!と納得。いやはや、難しい。それと極左のせいで拒否反応なのか、頭痛が…。相変わらず、鏑木特捜班は個性揃いだった。
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素直に面白かった。前作はおやっ?となったが、今回はシンプルでなかなかよかった。
シリーズで続いて欲しい。