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長編でも一気に読めます!
2015/08/30 06:46
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投稿者:安穏 - この投稿者のレビュー一覧を見る
朱川さんの優しく深い人間分析が言葉のひとつひとつにみなぎっています。感動しました。
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シズクの純粋な気持ちが美しい。
そして、美しいゆえにあまりにも悲しい。
ヒト以外の生き物に変身する能力を持つマガチという
存在。
その秘密を追う記者の失踪。
血のつながらない父を慕う少年の思いのいじらしさ。
ラスト、シズクの一途さに胸がつまる思いだった。
マガチという存在にも、、、
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決してホラーではない、悲しいストーリー。
2段組みで400頁強の大作、あっという間に読み切れるだけの展開、筆力なのに、心の抑揚、揺れるところ、著者に求めるところがなくて残念かな。
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+++
医者である市原玲人は、友人の平松光恵に、首から上だけが狼のいわゆる「狼男」の死体写真を見せられる。彼女はその写真と大切な取材手帳を市原に託し、忽然と姿を消した。時は20年遡る。阿巳雄山の奥に、特殊能力を持つ「マガチ」とよばれる人々が暮らしていた。マガチの青年シズクは、初恋の少女を忘れられず、彼女を追って東京で暮らし始めるが……。一途な純粋さが胸を抉る、一気読み必至の、純愛ホラー巨編。
+++
現在の市原玲人が巻き込まれた事件と、二十年前の曲地谷(まがちや)シズクが初恋の女性に宛てた出す当てのない手紙とが交互に描かれている。マガチという特殊な力を持った一族に生まれたシズクの一途な想いゆえに始まった物語は、ラストでひとつに収束し、結末を迎える。ホラーでありながらこれ以上ないほどの純愛物語であり、切なくもなるのだが、起こしてしまった事々は償いようのないことで胸が痛む。恐ろしくもあり透き通った一冊でもある。
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朱川さんの作品ファンになりました。
昭和50~60年代に書かれた、シズクが想い人の女性にあてた手紙(一度も出されることなく、ただ自分の心をつづった純粋な気持ちの手紙)と、平成の現在に起こっている失踪&殺人事件の謎解きが、交互にそしてだんだんそれらが結びついてくるように作られています。
シズクの手紙に魅力があります。
終盤は、やや緊張感がなくなってしまいましたが、それまでは面白くて、分厚い本もあっという間でした。
シズクの最後は分かったけど、他の登場人物が、その後どういう形で収まったのか、そこも気になるので書いてほしかったです。
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ノスタルジックな描写にふと現れる背筋をヒヤリとさせる怪異。思わずホロリとさせられる人情味溢れる人間描写。
そんな朱川ワールドである事は間違いないんですけど、実際の事件と敢えてリンクさせる必要があったのかなぁ、ホラー要素が前面に出過ぎてて野暮ったいかなぁ、
こういう人ならざるものをテーマにした小説って、ソレを写し鏡のようにして人間の愚かさだったり醜さを浮き彫りにする効果をもってるものですけど、まさにそんな感じで目新しさはない。
手紙の焦点と主人公の焦点が実像に徐々に重なっていくような書き方は良かった。
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本書の説明にある「一気読み必至の、純愛ホラー巨編」の通りの作品だった。
東北の山の中にある、隠れ人の里。そこに住む「マガチ」という住民たちには、シャバの人には明かせない秘密があった....
作者の作り上げた世界に、現実に昭和に起きた事件を掛け合わせているところに、心地悪い辻褄合わせ感があったが、それを含め一気に最後まで読まされてしまった。
面白かった。
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玲人に「狼男」が写った写真を見せた友人が忽然と姿を消す。それから30年近く前、ある力を持ったマガチの青年シズクが、初恋の少女を追って上京していた。2つの時が交錯し、物語は切ないエンディングへと疾走する。。
ホラー+昭和が朱川作品の特徴で本作もそこはいつも通りなんだけど、何かが足りなかった。純愛を貫いたマガチに感情移入できないからか、新宿バス放火事件など実際にあった事件の引用が邪魔をしているためか、理由はわからないが期待外れの大作だった。
(C)
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朱川ワールドというのは、わかったようなわからないような、理解の線上をふらふらする所が最大の魅力だと俺は思うのですが、この作品に関してはわかりやすすぎて物足りません。よく使う言い回しですけど、朱川じゃなくてもが書けるお話じゃね?みたいな。
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ホラーというかオカルトめいた設定は「そういうもの」として受け入れるのが違和感のある人もいるかもしれない。現代小説だと特に。
それはそれでいいんですけど・・・なんとなくざっくりと終わっちゃった感があるかな。結局その後どうすんだよ?と。特に主人公の息子をめぐるあれこれはまったく解決することなく、また別れ別れなんだろうし。「血が繋がってないから人質としての価値がない」という部分のためだけの設定だとしたらちょっと重すぎる気が。各論めいた感想になっちゃいました。
読んでる最中、中盤くらいは結構楽しく読めました。
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「マガチ」と呼ばれる異形の人々の物語。特異な外見に変貌し、特異な能力を持つ彼ら。その能力ゆえに迫害され、疎外され、忌み嫌われるなんとも哀しい運命がやりきれなくて。シズクのしたためる出せない手紙は、涙なしには読めません。
とはいえ。その謎を追い求めるものに迫る魔の手は恐ろしく。それこそ「バケモノ」であると思えてしまうのはしかたのないこと。普通の人間から見た「マガチ」の恐怖と、マガチが抱える苦しみのギャップがひどく痛々しいです。「今生はしくじったと思え」の言葉はあまりに救いがない……。
重苦しく哀しくさびしい物語ではありますが。読後感は案外と穏やか。美しさも感じられるラストでした。
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バツイチの医師が、行方不明になった友人を探すうちに、人にはあらざるものの存在の秘密を探っていく。
初期の作品の昭和レトロで切ない短編が好きで、デビュー作からしばらくは追いかけていたけれど、徐々にマンネリ化して大味に感じられるようになったため、ここしばらくはご無沙汰していた。で、ひっそりと沈み込むようなタイトルに惹かれて、久々に手に取ってみた筆者の長編である。
人とは言えないような存在も、謎めいた形で登場するのであれば、想像も膨らんで楽しめるのだけれど…。兄弟姉妹たちが、やけに人間的に関わってきてしまうと、やはり興醒め気味に。シズクの一途な手紙が同時進行するのはよかったので、純粋さゆえの哀しさに絞って、一気に悲劇的にまとめるとよかったのでは。
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特殊な力が発揮できるとしても周囲と風貌が異なるというのは生きづらいと思う。
そんな人生なのに、シズクの純粋さといったら……。
あまりにも純粋すぎて付け入れられてしまったのか。
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人ならざるもの?純粋すぎるシズクと事件に巻き込まれた中年の医師が主人公。
構成は、シズクの手紙と現在進行形の事件とが交錯して進んでいきます。
わかりにくくはないのでグングン読めました。
上下段組みで結構なボリュームの本だったので完読できるかな?と心配でしたが、読み始めたらあっという間でした。
他の朱川さんの作品のように感動!ていう感想ではないのですが、マガチ一族の絆、一途な想い、人に重ねる偶像、人間関係に馳せる思い、それぞれ、おもしろかったです。
登場人物がメイン以外はみんな端役的な感じでしたが、まぁ、シズクくんとお医者さんのお話ということで。
大団円的な終わり方も個人的には好み。
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表紙に惹かれて図書館で借りた。
この作者のものを読むのは初めてだし、なかなか分厚いし、大丈夫かなあと不安だった。
読み進めて50ページあたりの途中には、このまま医学系の推理モノだったらどうしよう、苦手!と心配になって、いっそどこかのレビューページでネタバレ読んで消化しちゃおうかな……とも考えたが、読後の感想が良いので頑張って読んでみようと進めた一冊。
結果、夜更かし…というか朝まで完徹して読んでしまった。だんだん真相に近付いていく市原とようやっと報われそう(?)なシズクの最後を読まねば!と躍起になってしまったお話しだった。