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いい話のようで実はホラーっぽい作品。霊的なものは信じないと言ってたわりには、霊が出てきた時には随分あっさり信じちゃったところに少し違和感あり。
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作者節満点で、そういう意味では期待通り。過去と現実を行き来する物語展開は、いつも通りといえばそれまでだけど、やっぱり彼の手にかかれば高品質。誰しも持ち合わせる悔恨を、いかにも身につまされる話として突きつけられる感覚。ほろ苦い気持ちとともに、束の間、自分の過去と向き合ったりして。
今年初めは、せっかくの連休を利用して、こういった軽いタッチの作品から。
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久しぶりの浅田さんです。色んな作風を持つ人ですが、これは典型的なダーク系の作品です。
一時ほど手を出さなくなったのは、特にこの手の浅田さんの主人公はどこか性格の掴みどころが無い事が多いためです。
どうも浅田さん、まずは書きたいストーリーがあって、そのための舞台を作る。登場人物の設定は最後というか、ストーリに合わせて性格が揺らめいて行く、そんな気がして若干苦手なのです。
まあ、それに勝る良さもあるのですが。
前後半二つに分かれる物語ですが、特に前半は悲惨さが強く。。。
読み応えは有りましたが、ちょっと苦手です。
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死者と生者が語り合うその世界観に引きずり込まれ、一気に読んでしまいました。
それぞれの人物の背景にある物語がとても鮮やかに浮かんできて、楽しく読むことができました。
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僕は著者より10歳下だけど、キヨみたいな境遇の子は小学生の頃同級生に一人や二人はまだいた。大学に上がる頃は学園紛争はすっかり過去のもので、テニスやスキーの同好会花盛りの頃だから、主人公のゆうちゃんとは多少世代ギャップがあるけど、モラトリアムな感覚はほぼ同じ。この本を読みながら、久しぶりに仲直りしないまま転校してしまった小学校の同級生や、上京と同時に自然消滅してしまった高校時代の彼女のことを思い出してしまった。
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「忘れちまう罪は、嘘をつくより重いんだ。」
浅田さんの仕掛ける伏線、泣くまいと思いながらもまんまと涙してしまいます。
“ゆうちゃん”が蓋をした出来事。
小学生から大学生へと年月は流れますが、人は国や時代に翻弄され、幸福の本質を見抜くことが出来ないままに日々を過ごしているのではないでしょうか。威信、虚飾、これらは時に人を傷つけてしまうものです。
経験や過去を忘れることは、生きることへの糧にはならない。
決して強さではないのだと心に深く刻まれました。
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この本はまた読んでみたい。将来読んだ時に自分がどのような思いを抱くのか。
今は、キヨの父親の、他人から恵んでもらうならば悪事をした方がマシだという日本人の恥に対する価値観。自分の気持ちを押し殺しても相手の気持ちを優先する梶の価値観。かつて日本人がもっていた道徳だが、その道徳は人によって強弱が必要なのかもしれない。百合子のような強く育った人と温室で育った人間には温度差の違う道徳が必要かも。浅田次郎は主人公に、道徳が無なっている現代の日本人を表しているのかも。
結局、人生に何のドラマもなく、気付いたら孤独に佇んでいる現代人。
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前半の「キヨ」編がよかった。後半の「百合子」編は、何だか違和感を感じた。後半は、恋愛ではなく、別の友人とか別の話の方がよかったかも、と個人的には思う。
親友だった真澄のニューヨーク出発の見送りにいかなかったり、真澄のお葬式に火葬場までいかなかったりする「私」は冷たい。
「百合子」はその後、着々と成功への道を歩んでいった気がする。
最後は「私」も実はすでに死んでいて、他の霊のように降霊会に呼ばれたのでした、という展開を予想していたが、全く違う結末だった。
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久しぶりの「途中でやめられなくなる小説」でした。
ひょんな事から生者と死者の魂(霊)を呼ぶ「降霊会」に招かれ、ずっとわだかまっていた人と語り合うというお話しです。
「イタコ」みたいなものですが、ホストの女性3名と主人公がテーブルで輪になって手を繋いで魂を呼び、4名のうちの誰かに魂が憑依して話をするというスタイル。
自分が呼びたい魂が来るとは限らず、別の「知っている人」の魂が来ることもあるし、降霊する魂は一度に数名になることも。
登場人物一人一人の繊細な心の動き、他者との関わりの中で生まれる身勝手さと罪の意識、それを認めたくない自分の心などが丁寧に描写され、読んでいるほうも苦しくなるほど。
最後まで引き込まれるように読み進めてしまいました。
人生において誰かと関わる以上、関わった時間の長短にかかわらず必ず互いの人生に何らかの痕跡は残るもので、相手を傷つけてしまったときには同時に自分の心も傷つき、和解するまでその傷は残り続ける。
自分が「降霊会」に参加できるなら誰を呼びたいだろう。
ふと考えてしまいました。
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日本はめざましく復興した。いや、あれは復興なんかじゃない。肝腎要のなかみをないがしろにして、外づらだけを書割に仕立て上げ、さあオリンピックを開催しましょうと大ぼらを吹いたんだ
解説にも書かれていたが、違和感のなさが怖いな、と思う全体に散りばめられた浅田さんの問いが刺さる作品だった
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浅田節でぐいぐい読ませられたけど、最終的には?で終わったかな。
友だちが怖いよー、とおすすめしてくれたけど、怖さは感じず。
戦後から高度成長期の雰囲気を感じて勉強にはなった。
導入の夢部分の、恨みをかって生きてきたという前振りにしては、そこまでとてつもない恨みではなかったような。
反対に、誰にでも心当たりがありそうなことでもあり、我が身と思えば、他人にとっては些細なことも大きな悔恨や隠したい過去として確かにあるな…と思う。
ごめんもさよならも言わない主人公は冷たく感じるけど、なぜあえてそうしたんだろうか…?