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宇宙にある、少し不思議な食堂が話の舞台であるからか、食漫画としては結構、異色なんじゃなかろうか?
地球じゃお目にかかれない、奇妙な食材から料理される、ごくごく普通、けれど、食した者の舌、胃、そして、心を満たす一品は実に魅力的だ
その食事が、ほのかに温かい中に、辛いキレも隠すストーリーに芯を作り、読み手を満足させてくれるのだろう
また、私がこの『モトカノ☆食堂』を魅力的に感じる理由に、冒頭やラストで羊皮紙に綴られている抒情詩がある。もし、これがなかったら、私はきっと、星を一つ減らしていた
料理か、店主であるもとかさんの人柄か、店を訪れる人間の様々な生き方か、どことなく妖艶な絵柄か、短いページ数だからこそ濃密な話か、一体、何が私を刺激したのか、まだ判らないけれど、とっても美味しい漫画だってことだけは断言できる
だから、2巻で終わってしまうのは非常に残念
ぶっちゃけ、宇宙より広い人の心を描いた漫画を2巻に収めたな、ってありきたりな満足感すら湧かず、もっともっと味わいたい、もとかさんの出す“料理”を、と私の二番目の胃が訴える
個人的に、この『モトカノ食堂』らしい話だ、と思って、しみじみと何度も読み返せたのは第二十一夜「百年会長の帰還」。ただ、高慢が過ぎる信念は自分を傷つける刃に他人を巻き込む、って当たり前の教訓が強烈に描かれている第十三夜「ガニメデ大海老」や、謎が多いからこそ、人間として美しいもとかの正体と過去がほんの少しだけ見える最終夜「千年食堂」も、これまたお勧め・・・まぁ、ぶっちゃけ、どれも、各読み手の心を打つ話な訳で、甲乙つけがたいですね、えぇ
これは深夜ドラマにして欲しいなぁ