紙の本
色あせない名作
2015/08/14 13:38
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投稿者:hiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
名著と名高い作品が、復刊された。
男どうしの友情、信頼、嫉妬・・・青春小説のようでもある。テニスのゲームシーンでは、息が詰まりそうに緊張する。
本格ミステリファンには物足りないかもしれないが、スポーツを愛する人に読んでもらいたい。
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テニスの最高峰・ウィンブルドン決勝戦。ふたつの若き才能が火花を散らす、白熱の名勝負の裏で進行する犯罪計画!
スポーツ小説とミステリを融合した大傑作、堂々の復活!
キングとツァラプキン。境遇の異なる若きテニス世界ランカーは、試合を通じて意気投合し親友となった。彼らは互いに高めあい、やがてともにウィンブルドン選手権への出場を果たす。
だが、その世界一の大舞台では、ある大胆な犯罪計画が実行されつつあった──。
青年たちの友情を軸に、白熱する試合と犯罪の行方を描いて手に汗握らす、極上のスポーツ小説にして大傑作ミステリ!
訳者あとがき=池央耿/解説=北上次郎
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祝・復刊!とても面白かった。1977年の作品なので、片手バックハンドが主流だったり携帯電話がなかったり、今とは違う状況も多々あるが、前半の青春編も後半のミステリ編も大変読み応えがあった。ラリーの描写もテニスファンにはたまらない内容。ウィンブルドンを舞台にした犯罪がいつ解決するのか、ラストはハラハラドキドキで読み終えた。当時のテレビ中継技術も興味深い。ツァラプキンのように綺麗に負けるかデニスンのように汚く勝つか、誰とは言わないが現役の選手に置き換えて読んだ方も多いのではないだろうか。
p65
相手方のサーブでラブ・フォーティに追い込まれると、
p86
「まだまだ、食えるところまではいってないぞ。なあ、金っていうやつは、十五年寝かしておくこともできるけど、十五分で使っちゃうことだってあるんだ」
p96
双方ニセットずつを取り、試合はやがて三時間になんなんとしていた。
p135
ツァラプキンの悠揚迫らぬ態度は審判に、問い掛けを繰り返すことは余計である以上に非礼であると思わせた。
p164
二人は今一度向きを変えて審判台の下に進み、ラケットを受け取って、試合前の儀式であるかのように、おもむろにセーターを脱いだ(キングはウィンドチーターだったけれども)。
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サスペンス部分はおまけ。
メインは二人の熱い友情(?)の青春小説
そんなカンジで読みました。
ワタシは好きです(*´ω`*)
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ウィンブルドン決勝戦の緊迫した様子が、選手の心理状況に至るまで細かく綴られている。
しかもこの試合は普通じゃない。裏では殺人の脅迫が仕掛けられている。それを知っているのはほんの一部の関係者と、一方の選手のみ。
何てスゴイ試合!ていうか。。。
読みながら感じたのは、テニスって、一流の選手の試合となると、なんて孤独なスポーツになっちゃうんだろうって。
目の前で実況中継を見てるような気にもなったが、(おそらく)翻訳が少し硬いというか、読みづらい箇所もあった。そこが少し残念。
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ウィンブルドン大会男子シングル決勝戦。
ライバルでもあり親友でもある人気プレーヤーの両人が雌雄を決する試合の最中、要求を飲まなければ観戦中の女王と試合の勝者を殺害するという脅迫状が届く。
勝敗が決する前に犯人を取り押さえなければならない警察、お互いを守る為に終わらせられない試合。
緊迫と情熱の名勝負が熱い!
デッドリミット型のサスペンスとしては少々物足りなく緊迫感もイマイチ。しかし、その分テニスの試合は白熱します。ラスタスとゲイリーという二人のテニスプレーヤーの友情が描かれる前半が丁寧にあるからこそ、後半の試合がおもしろいというものです。
大観衆の中、自分を含めた人命とプレーヤーとしての名誉がかかる壮大なスケールで、しかしどんどん自分の内に収縮していくような集中力に息を飲みました。
ミステリ部分はちょっとした味付け程度で、まさに命懸けの試合が素晴らしいスポーツ(ミステリ)小説。
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最初から二人がすごい仲良くて、どんな事件が起こるのか…と心配になってしまった(笑)35年ぶりの復刊ということで、時代背景(ソ連とか)が歴史を感じる…内容は今読んでも大丈夫でした。
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名作。
前半はキングとラスタスの蜜月…友情?(笑)
後半がほぼ二人の1試合のみと云う大胆な構成。
邦訳小説の中でも、読み難い部類かも知れないと思いました。無駄な説明を削いでおきながら、機知にとんだ文章で、ささーっと読み進めてしまうと、誰の台詞だったか覚束無くなったり、急に場面が変わっていたり。
しかしこの文章のお蔭で後半のテンポが素晴らしい出来になっている事も否めません!
解説にも有りましたが、テニス全く分からない人間でも楽しめました。とにかくヴィサリオン…ラスタスが可愛くて萌え苦しいです。はっはっは。
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40年ほど前に書かれたウィンブルドンを舞台に企てられた犯罪を描いたミステリー。
五年くらい前からテニス観戦にはまった身として試合中の心理描写はとても楽しかった。
ただ、ミステリーとしてはそんなに大した仕掛けも感じず、途中から単調に感じた。
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テニス、ほぼやったことないし興味もなかったので、ずっと積読状態だったんだけど復刊されて字も大きくなったので読んでみることに。面白いじゃないですか!食わず嫌いはダメですね。
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1977年発表、プロスポーツを題材としたサスペンス小説の名編。テニスの国際大会「ウィンブルドン」を舞台に犯罪の顚末を描くのだが、本作がメインに据えているのは、若き天才テニス・プレイヤー二人が切磋琢磨し、頂点へと上り詰めていく過程だ。
豪快且つ正攻法のプレイで魅了するオーストラリアの俊英ゲイリー・キング23歳、天賦の才を持ち華麗な技術と純真な人柄で誰からも愛される亡命ロシア人ヴィサリオン・ツァラプキン17歳。この二人が図らずも出会い、テニスを通して友情を育んでいくエピソードを主軸にしており、何よりも青春小説として味わい深い。
ウィンブルドン決勝。時には相棒として数多の強敵を倒し、互いに待ち望んでいた日を迎えたキングとツァラプキン。一方、同日に向けて計画を練っていた犯罪者グループが脅迫を決行。試合が終了するまでに要求が満たされない場合、観覧する英国女王と勝者は殺される運命にあった。ゲーム開始後、ツァラプキンはその事実を知る。敬愛するキングを決して殺させはしない。勝つか、負けるか。すべては、自分自身のプレーにかかっていた。師弟関係にあり、最大のライバルでもある二人が、クライマックスとなる最終戦で熾烈な戦いを繰り広げていく。タイムリミットが迫る中、最終戦のボルテージは最高潮に達し、劇的なゲームセットへと至る。
読みどころは、当然のこと全編にわたり展開する白熱のゲームだ。ルールを知らずとも楽しめるように配慮されているが、テニスファンなら二倍も三倍も試合のダイナミズムを堪能できるだろう。
会話で辞書が手離せないツァラプキンの設定を、犯罪者との攻防で生かし、結末でのツイストに繋げる伏線も見事だ。中盤から一気に緊張感を高め、終盤へと自然に流れていく構成も巧い。極めて過酷なスポーツでもあるテニスの魅力を存分に伝える稀少なミステリである。